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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

鈴鹿の日本GP開幕直前!灼熱のレースは大波乱の連続:F1 2016 第16戦 マレーシアGP

 開催日が春から秋に移されたマレーシアGPは、レース時刻もいくらか早まり、まだ太陽が燦々と降り注ぐ午後に決勝スタートとなりました。赤道に近い熱帯のマレーシアのことですから、気温は33℃で路面温度も50℃を超えるという、F1カレンダー中でも最も"熱い"コンディションの中で行われます。

 長い直線と各種コーナーが程よく混ざったバランスのいいトラックですが、その気候のため、タイヤにもエンジンにもブレーキにも、そしてドライバーにとっても非常に厳しいレースです。

 毎年マレーシアGPが荒れた展開になるのはシーズン初めで、まだマシンの信頼性が低いからだと思っていたのですが、それだけではなかったようです。シーズン後半になるとランキング争いや来期のシート争いなど他の要素が出てきて、それはそれで一か八かの仕掛けをするドライバーが出てきたりします。

Daniel Ricciardo / Red Bull RB11 / 2015年 日本GPK3II3510.jpg
 でもレース展開を決める一番大きな要素は、トラック特性そのものと気候を含めたコンディションにあるのでしょう。16年ぶりとなった秋のマレーシアGPは大荒れの展開となりました。

「彼に捧げる優勝を待っていたんだ」 ダニエル・リカルド

 「彼」というのはジュール・ビアンキのことを指しています。ここでいきなりビアンキが出てくることを唐突に感じるかもしれませんが、あの事故以降、リカルドにとっては初めての優勝であり、ビアンキに捧げるための勝利をずっと待っていたということのようです。

 続けて彼は「あの事故は自分の人生を変えた」と言っています。確かに、同じレースを走っていたドライバー仲間が命を落とすという経験は、非常に重たいものなのかもしれません。プレス向けの優等生アピールとか言わずに、素直にこの言葉は受け取っておきたいと思います。

 さて、リカルドにとってのレースのハイライトは、レース後半で訪れたチームメイトであるフェルスタッペンとの激しいバトルです。タイヤ戦略が違うフェルスタッペンは、実際のところリカルドが相手ではなく、20数秒前を走るハミルトンと争っていました。

 チームとしては当然、フェルスタッペンを前に出すべきところでしたが、リカルドは抵抗します。いや、実際のところチームからどういう指示が出ていたのか、出ていなかったのかは分かりません。とにかく、優勝の可能性にかけていたフェルスタッペンに対し、リカルドは徹底的に抗い最終的にポジションを守りきりました。この争いが、後の結果を決めたと言えるます。

 今や完全にフェラーリを抜き去り、メルセデスへの挑戦権を手に入れたレッドブルは、二人のドライバーの活躍もあって、非常に元気がいいところを見せています。今年のルノーPUは昨年までとは見違えるようなパフォーマンスを見せ、信頼性も抜群です。

 リカルドにとっては、これでスペインとモナコの屈辱を半分取り返したことになるのでしょう。表彰台は彼の独壇場でした。「シューイ」に巻き込まれた他の表彰台の面々は災難だったと言わざるを得ません。

「チームは僕らにクリーンであれば自由にレースをしてもよいと言ってくれた」 マックス・フェルスタッペン

 ハミルトンがエンジントラブルでリタイアし、2台揃ってソフトタイヤに交換した後の話なら、このコメントも分かります。しかしその前、まだフェルスタッペンにはハミルトンに勝てるかもしれない可能性があったときに、リカルドに追いついてしまったときのことであったら、このチーム指示はおかしいと言わざるを得ません。

 実際のところハミルトンはハードタイヤでも少しずつギャップを広げつつあったし、仮に最終スティントでトップに立てたとしても、ハミルトンが新品のソフトタイヤで迫ってきたら、防御できる可能性は低かったでしょう。

 チームはもしかしたら無駄な抵抗だとして、優勝は諦めていたのかもしれませんが、フェルスタッペン自身、あるいはフェルスタッペン父が、チャレンジさせろ!と声を上げても良かったシーンではないかと思います。

 しかしここはリカルドのレースと言うことで、誰もが納得し丸く収まってしまいました。あの作戦のことを蒸し返す人はいないようです。

 ところで、表彰台でリカルドに強要され「シューイ」に付き合ったシーンが気になります。彼は19歳ですが、マレーシアではアルコールを飲んでもいい年齢なのでしょうか? あるいはイスラム圏だからそもそもあのボトルの中身はノンアルコールだったのかな? だとしたらまずい飲み物をあんな形で飲まされて、ますますかわいそうです(A^^;

「でも僕はスタッフを100%信頼している」 ルイス・ハミルトン

 レース後のコメントはいつになく饒舌です。その内容のほとんどは、いかにメルセデスのスタッフが有能で、エンジニアリングのレベルが高く、最高のエンジンとマシンを用意してくれて、自分はそれに助けられてこれまでの素晴らしい成績を収めてきたか... を滔々と語ったものとなっています。

 それは、言葉通りに受け取ればチームに対する気遣いと感謝と信頼の表明である一方で、実際は怒りの表明でもあるのだろうと思います。あるべき姿になっていない!と。それは、かつてアイルトン・セナが時折ホンダに対する要求を、メディアを通じて伝えていたようなものかもしれません。。

 なぜ今年のメルセデスPUはこんなにも壊れてしまうのか? というだけならまだしも、なぜその故障はすべてハミルトンのマシンに生じるのか? チャンピオンシップ終盤戦のここで、マシントラブルによるノーポイントというのは、3年連続チャンピオンに賭けているハミルトンにとっては絶対に受け入れられないことです。

 幸い、ベルギーでペナルティを受けて一気に投入したパーツにより、今後のレースには影響がないそうです。

 残り5戦でロズベルグに対して23ポイント差となってしまいました。理論上1レースで取り返せる範囲ではありますが、かなり形勢は不利になってきたと言わざるを得ません。

 ハミルトンの力を持ってすればまだ逆転できる可能性は高いですが、大きなミスかトラブルによって、下位に沈んだほうが負け、という状況の中で、すべて勝ちに行く必要があります。

「今日はついていた!」 フェルナンド・アロンソ

 またもやパワーユニットを交換したペナルティで最下位スタートとなったアロンソですが、スタートの混乱に乗じたのか、数週のうちにポイント圏内を走っていました。何度か導入されたバーチャル・セーフティカーも味方したらしく、前レースに続き、今回も7位でチェッカーを受けます。

 ハミルトンとベッテルがリタイアしているので、3強の次と言うわけではなく、ボッタスとペレスというメルセデスPU勢に前に出られています。しかし、このコース特性を考えたら、最下位スタートで7位を取れた上に、チームメイトのバトンも9位にはいるなど、ホンダが2台揃ってポイントを取れたことは、予想外の好成績だったと言えるでしょう。

 今はレギュレーションが厳しく、昔のように「鈴鹿スペシャルエンジン」みたいなものはないわけですが、それでも次戦はホンダのホームレースですので、善戦を期待したいと思います。棚ボタでも何でも良いので、できれば表彰台に乗ってくれると、現地も盛り上がるのですが。

今週末は鈴鹿!

 ということで、次戦はいよいよ鈴鹿の日本GP。マレーシアから月曜のうちに続々とドライバー達は日本入りしており、スタッフや機材なども順次届いているところかと思います。

 台風18号が来ているようですが、どうやら木曜日中には過ぎ去っている模様。週末は引き続き秋雨に降られるかもしれませんが、台風の心配は今年はなさそうです。

 私も例年通り、今週末は鈴鹿に行ってきます!