500万本の彼岸花が咲く深紅の森:巾着田曼珠沙華公園へ行く

投稿者: | 2016年9月25日

 雑食な写真撮影を趣味にしていると、季節折々の花は何となく撮りに行きたくなるものですが、ここ数年来撮りに行きたいとずっと思いながらも、果たせないでいた花の名所があります。それが埼玉県にある巾着田の曼珠沙華公園。その名の通り曼珠沙華(彼岸花)が有名な公園です。その数なんと500万本! 実際行かれた方のブログなどを眺めていると、森の中に一面真っ赤な絨毯が広がってるかのような見事な風景の写真が溢れており、それらを見てるだけ、これはすごい!と思ってしまいます。となれば、自分でもこういう写真撮ってみたい!と思うわけです。

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 彼岸花は名前の通り9月のお彼岸の頃に咲く花ですが、もちろんその年の気候によって変動があります。今年は変な天気が続いてますが、例年通りちょうどこのシルバーウィーク中に見頃を迎えたと言うことで、出かけてみることにしました。

 巾着田を訪れたのは飛び石休日に挟まれた金曜日。平日なので幾分空いてるだろうとの目論見です。池袋から西武線に乗って飯能の先、高麗という駅まで。普段は通過する特急も彼岸花の季節だけは臨時停車するということなので、500円余計に払って特急で行くことにしました。

 この時期東京周辺は毎日雨が降り続いていますが、この金曜日の予報は曇り時々雨で、午後になるほど確率が下がるとのことでしたが、実際は午前中が曇りで午後は雨と正反対となりました。わざとお昼過ぎに着くようにいったので、完全に雨に降られてしまいました。もちろんカッパに大きめの傘も持っていって雨対策は万全。カメラのほうも防塵防滴なので多少濡れても問題ありません。


 巾着田曼珠沙華公園は高麗川がぐるっとUの字を描いている部分にあります。この時期は曼珠沙華まつりが開催されており、彼岸花の群生地は入場料が300円となっています。高麗駅前からすでに曼珠沙華まつり一色で、人の流れと看板に従ってるいていけば迷うことはありません。徒歩で約10分ほど。しかし公園内に入ってからぐるっと群生地全体を見て歩くにはかなりの距離を歩くことになります。私は高麗駅側(上流側)から入場して下流側の端まで行って一往復してきました。途中の広場にテントが出ていて、飲み物や食べ物が売っています。

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 高麗川のほとりは遊歩道があって気持ちの良い場所で、晴れていたら良い散歩コースになると思います。連日の雨で水量が多めだったのか、遊歩道のすぐ側まで水が来ていました。対岸は鬱蒼とした緑に覆われていますが、ぽつぽつと彼岸花の赤い花が見えます。

 さて、これから以下、撮ってきた彼岸花の写真を貼っていきます。カメラはPENTAX K-1、レンズはDFA★70-200mmF2.8、DA★55mmF1.4、DFA28-105mmの3本を持って行きました。

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 RAWで撮影しLightroomで現像しましたが、赤い色を出すのは難しいですね。ホワイトバランスもAUTOではぶれるし、何が正しいのやらスライダーを動かしながら悩んでしまいます。色々試行錯誤の結果、私のiMac/iPhone6s Plus/ iPad Air上では飽和せず花びらの質感が残る程度ギリギリに赤を出したつもりですが、見る環境によってはベッタリした赤になってるかもしれません。その場合はスミマセン。

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 駅に近い上流側はちょうど満開になったばかり。一面の深紅の絨毯の世界は事前に色んな写真で見ていましたが、実物を見るとおもわず「すごい!」と声が出てしまいます。もはやどこをどう撮ったらいいのかまったく分かりません。

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 ならば寄ってしまいましょう。最初に付けていたレンズは望遠ズームのDFA★70-200mmF2.8です。こういうシーンにはぴったりの一本です。

PENTAX スターレンズ 望遠ズームレンズ D FA★70-200mmF2.8ED DC AW 21330

PENTAX スターレンズ 望遠ズームレンズ D FA★70-200mmF2.8ED DC AW 21330

 彼岸花は雨でもまったく問題ありません。むしろ水滴まみれになってかえって美しいです。何となくローキーに仕上げるイメージがありますが、何枚か撮りつつカメラの液晶で確認しつつ気に入ったのは、むしろ明るめに撮ったカットでした。

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 と言いつつ、やっぱり暗めにとって仕上げるのも雰囲気ありますね。みっちりと高密度で咲いているので、お決まりの前ボケもやりたい放題です。

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 木立も苔が生えていたりして良い雰囲気です。彼岸花に気を取られて下ばかり見ていたのですが、もしかしてこれらは桜の木だったのかな? こうなると春も相当綺麗なんだろうと思います。

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 今度はDA★55mmF1.4に付け替えてみました。何となく濃い赤を艶容な雰囲気で撮るにはぴったりな気がして持ってきたレンズ。その予想通りピタッと填まります。画角も絞りのレンジも撮影距離もちょうど良い感じ。なお、クロップはせずフルサイズ画角で使っています。思い切りバックを落としてみても、花がキリリと浮き立ちます。

PENTAX スターレンズ 望遠単焦点レンズ DA★55mmF1.4 SDM Kマウント APS-Cサイズ 21790

PENTAX スターレンズ 望遠単焦点レンズ DA★55mmF1.4 SDM Kマウント APS-Cサイズ 21790

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 ちなみに、この2枚はまったく同じカットから現像だけで別の写真に仕上げたもの。撮影時の露出はこの真ん中くらいで、暗い方は-1.5、明るい方は+1.0をベースに色々調整したものです。RAWならこういうことも(ある程度の範囲で)自由自在です。こうなると現像作業も超楽しいですね。ただ、自信がなくてどうすれば良いのかまったく決まらないこともあります。私自身、この2枚のどっちが良いか(どっちもダメ?)決められません。

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 中流付近まで来ると、満開まではあともう一歩という感じで蕾もちらほら目立ちます。でも見事な景色であることには代わりありません。奥を流れるのは高麗川です。遊歩道は幾筋にも分かれていて、人の流れはそこそこ分散していますが、本気で混雑するとどうなることやら?とも思います。

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 彼岸花は基本赤色と決まってるそうですが、たまに白いのが咲くとか。品種とかでコントロールできないものなのでしょうか? 白一色のエリアというのはなくて、まばらにところどころ白い花が混じってました。こうしてみると白も良い感じです。

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 ちなみにお祭り会場はこんな感じ。休憩用の椅子の上にもテントがあって、雨宿りが出来ます。食べ物や飲み物、お土産類などを売るテントはかなりたくさん出ていました。座間のひまわりまつりより大規模だと思います。この日は空いていたので、簡単に座ることが出来ました。レンズ交換をしたり、着るものを調整したり、焼きそばを食べてちょっと一息ついたりできて良かったです。

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 さて、下流側の端っこまで行ったら引き返しましょう。来た道を戻るときにはレンズをDFA28-105mmズームに取り替えました。何でも撮れる万能の一本です。

PENTAX 標準ズームレンズ HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 21297

PENTAX 標準ズームレンズ HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 21297

 でも今回はちょっとこのレンズで別のことをしてみようと思って持ってきたのです。

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 レンズ単体の最大撮影倍率は0.22倍とごく普通。このカットは最大まで近寄ったわけではないですが、概ねこうやって彼岸花を一房切り取るのが精一杯です。

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 実は今回はこれにクローズアップレンズを付けてみました。使ったのはケンコーのPRO 1D AC CLOSE-UP No.3です。そもそもDFA28-105mmの最短撮影距離が遠いことに対する対策のつもりで買ってみたのですが、No.3では私が期待していたよりややクローズアップすぎて、どうしたものかと持て余していたもの。ここぞとばかりに使ってみました。

Kenko レンズフィルター PRO1D AC クローズアップレンズ No.3 62mm 近接撮影用 026236

Kenko レンズフィルター PRO1D AC クローズアップレンズ No.3 62mm 近接撮影用 026236

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 まさにマクロ風味が体験できて面白いです。こうなると本物のマクロレンズが欲しくなりますね(^^; なお、この日は風が吹いておらず、花がふらふらと揺れることがなかったので、マクロ日和だったと思います。

 ということで、雨の一日でしたが大満足でした。また来年も訪れたいと思います。


 なお、開花状況とか撮り方とか、こちらのブログを参考にさせて頂きました。というかこの記事とその続編に、よし!行ってみよう!と背中を押してもらったというのが本当のところです。