酔人日月抄

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PENTAX今夏の新製品はK-70よりもHD DA55-300mm F4.5-6.3ED PLM WR REに注目!

 PENTAXから新しい一眼レフとレンズが発表されました。K-1と数本のDFAレンズを発売してから2ヶ月も経っていないというのに、このハイペースな新製品投入はどうしたことでしょう。「K-1がPENTAX最後の一眼レフかも?」という私の勝手な思い込みは思い切り外れてしまい、喜ばしいかぎりです。ただし今回発表されたのはいずれもAPS-C対応製品。新しいエントリークラスの一眼レフで名前は「K-70」、そして新しい望遠ズームが「HD DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE」となっています。


 K-70のほうはわりと常識的というか、これまでのK-50やK-S2の流れとK-3 IIあたりとの関係を考えると正常進化とも言える製品ですが、HD DA55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REのほうは、また望遠ズームかよという感想はさておき、今後のKマウントの行く末を暗示するいくつかの新機軸が投入されていて、注目に値する製品となっています。

正常進化すぎてつまらないK-70

 さてまずはK-70です。過去製品との比較をはじめスペック詳細についてはここで改めて取り上げることはしませんので公式ページを見てください。

 特徴的なところをざっと上げると、24MピクセルのCMOSセンサー、K-3 II相当の手ぶれ補正、AFセンサーは9点クロス全11点のSAFOX X、77分割AE、視野率100%倍率0.95倍のガラスプリズムファインダー、動画およびライブビュー時に使用可能な像面位相差AF、バリアングル液晶、リアルレゾリューションをサポート、画像処理エンジンはPRIME MIIでさらにノイズリダクションのためにアクセラレーターユニットを搭載し、最高感度はISO102400... と言ったところがポイントとなりそうです。

 外観は明らかにK-S2をベースとしており、グリップまわりとペンタ部の造形が異なってるのが一目で分かる程度。バリアングル液晶の構造含め操作系はほとんどK-S2と変わりません。ならばなぜ製品名が「K-S3」ではないのか? という当たりがよく分からないのですが、まぁ当初HDコーティングレンズに赤鉢巻きを巻いたものの、すぐに緑鉢巻きに戻してしまった過去もありますし、「K-Sx」品番は一時の迷いだったのだろうと、勝手に思っています。


 ボディカラーはブラックとシルバーのみ発表されています。今のところカラーバリエーションについてのアナウンスはありません。もうやめてしまうのかもしれません。個人的にはレギュラーカラーに絞るならシルバーよりもホワイトのほうが良いのに、と思ってしまいましたが、海外含め一般的には無難な方が好まれるのかもしれません。

 さらにキットレンズがなぜかDA18-135mmのみとなっています。K-S2に合わせて発売された最新の18-50mmREではないところが妙ですね。小さい安いよりも実用性を重視した、と言うことでしょうか。DA18-135mmは発売以来色々言われてきたレンズですが、使い勝手が良くてDAレンズを代表する標準ズームであることは確かです。

 ちなみに細かいながらも重要な変更点として、ケーブルレリーズのサポートがあります。これまでのKシリーズエントリー機にはなかったもの。但し従来品と互換性はなく、マイク端子を兼用する専用品となってしまいました。

PENTAX ケーブルスイッチ CS-310 30239

PENTAX ケーブルスイッチ CS-310 30239

 でもアストロトレーサーに対応し、インターバル合成やスターストリーム動画といった機能を搭載し、さらに今回は背面液晶の赤色表示機能を追加するなど、天体撮影を重視する姿勢を見せているからには、ケーブルレリーズは必須だったのだろうと思います。

 あとNR専用のデバイスを追加してまで実現したという高感度性能が気になるところです。像面位相差をサポートした24MピクセルのCMOSセンサーはK-3/K-3 IIのものとは別と思われますが、画素ピッチからしてあまり高感度が得意とは思えないところをどの程度カバーしてるのか、期待したいところです。

買うの?

 買いません。多分。

 私の第一印象は既に見出しで書いてしまったのですが、「何とも地味なカメラだな」と言うのが本音です。手ぶれ補正はK-3 II並ですが、AFセンサーが古い世代ですし、連写もそれほど速くありません。なのでK-1を補完するという意味でK-3 II以上ではないので必要ない、というのが一番の理由。そしてデザインやカラーなど理屈を越えて「欲しい!」と思わせる色気が残念ながらないようです。

KAF4マウント初採用のHD DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE

 既存Kマウント機ユーザーとして注目に値するのはK-70よりもこっちのレンズです。APS-Cセンサー専用の望遠ズームで開放F値がF4.5〜6.3と非常に暗く、とにかく小さい、軽い、安いを追求したキットレンズ的な製品かと思ったのですが、K-70にはダブルズームキットは用意されず、このレンズはこれ単品で販売されるようです。従来品であるHD DA 55-300mmF4-5.8ED WRを置き換える一本なのでしょうか。

 さてこのレンズの特徴と言えば、沈胴式であること、レンズ内AFモーター式でしかもステッピングモーター(PLM)であること、そのためかAF駆動が非常に速いこと、そして最短撮影距離が0.95mまで短縮され最大撮影倍率が0.3倍と、ちょっとしたマクロ風味が味わえること、などが上げられます。


 しかし特筆すべき一番の特徴は「Kマウント初の電磁絞りを搭載していること」に尽きます。これまでのKマウントレンズはボディ側から機械的なレバー機構を通して絞りの制御を行っていました。旧レンズとの互換性をそうやって保ってきた一方で、いろいろな面でKマウントのしがらみの一つとなっていたことも事実です。

 EFマウントやその他ミラーレス機のマウントは最初から電磁絞りですし、ニコンのFマウントも既に電磁絞り化が進んでいます。そしてここに来てようやくKマウントもとうとう完全電子マウント化されることとなります。新たな電子接点は特に追加されておらず、見た目は従来と変わりませんが、通信仕様の中に電磁絞りのためのプロトコルが追加されたのだろうと推測します。

 電磁絞り化によるユーザーのメリットとなると、静止画を撮るかぎりにおいては微妙です。絞りの精度が良くなるかもしれないですが、連写性能とかシャッターラグへの影響は未知数です。レンズ設計の自由度が高くなり、その結果小型で高性能なレンズが実現されるかも?と言った当たりが現実的なところでしょうか。

 一方で動画では撮影中の絞り調節が可能となるなど、PLMによるAFも含めてかなりメリットがあります。なのでそう考えるとこのレンズは動画用と言えるのかもしれません。
 
 さて、マウントに新しい機能が追加されたときに必ず問題になるのが互換性です。当然ながら電磁絞りを利用するにはボディ側が対応していないといけません。そして今回、この新レンズに対応したボディは、K-70、K-1、K-3 II、K-S1、K-S2の5機種のみで、K-70以外はファームウェアのアップデートが必要となると発表されています。

 この対応範囲はリーズナブルなようでいて、しかしK-3無印は対応してない... というわりとドライな割り切りも見て取れます。営業戦略的な意味なのか、開発リソースの問題なのか、あるいは技術的な問題なのか分かりませんが。K-3はK-3 IIの試作機だったのではないか?と思えるような不遇ぶりがなんだかちょっと可哀想です。

買うの?

 いいえ、買いません。

 PLMや電磁絞りがどんな感じなのか試してみたい気持ちはあるのですが、この焦点距離と明るさのレンズは不要です。これがDFAだったら考えたかもしれませんが。

 ということで、ロードマップに載っているDFAの単焦点レンズはKAF4マウントになるのでしょうか? あるいは従来通りなのか? 今後はその辺が気になるところです。