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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

新予選方式の迷走は止まらず:F1 2016 第2戦 バーレーンGP

F1

 開幕戦で散々な結果となった新予選方式は、その後すぐに廃止されることで関係者の合意が取れたと見られていましたが、結局のところ先週末行われた第2戦バーレーンGPでも、そのままオーストラリアと同じセッション中ノックアウト方式が継続されました。テレビを見て「変わってないじゃないか!」と思わず突っ込みを入れてしまいました。

 「F1運営のファンの声に耳を傾ける姿勢も捨てたもんじゃない」と、2週間前には持ち上げたばかりでしたが、やはり現実はそう簡単に一筋縄にはいかないようです。F1に関わる巨大な利権と政治が不思議な力を発揮し「決定」や「合意」がなかったことになるのは、今に始まったことではありません。

 もちろん技術的にシステムの変更がそんなにすぐにはできないとか、タイヤレギュレーションと密接にかかわってるから戻したら戻したで新たな問題が出るとか、いろいろ現場の問題というのはあるのでしょう。

 それにしても、トラック上で起きていることとは関係なく順位がどんどん確定していくかのような奇妙さと白けっぷりは、より強調されたように思います。これ、本当にこのまま続けていくつもりなのでしょうか?

「改善の余地があるはず」 ジャン・トッド

 各チームはオーストラリアGP期間中に満場一致で廃止に同意した一方で、FIAとFOMは即時廃止に難色を示したことで、今回のごたごたが引き起こされているようです。FIA会長のジャン・トッドのコメントは本音か建前か、その理由を説明したものとなっています。

 確かに改善の余地はありそうです。

 今回のバーレーンGPもそうですが、平均的にアウトラップとアタックラップで3分半かかるF1クラスのサーキットにおいて、90秒ごとにノックアウトされるというのはいかにも早すぎる気がします。

 たとえば制限時間が来て最下位の22位が決まった時、21位にいるドライバーは次の90秒以内にタイムが更新できる位置にいない限り(つまりアタックアップ中でない限り)、その時点で次のノックアウトは自動的に決定して今います。同じように20位のドライバーは次の3分以内にタイムを出せる位置(つまりアウトラップ中)にいないといけないわけです。

 下位チームはそれを予想して動いておけ、と言うのは簡単ですが、実際のところF1の予選はあまりにも短時間で状況が流動しすぎます。特にQ1などで下位争いでちょっとした番狂わせが起きると、とたんにアウトラップ中であったり、渾身のタイムアタック中であったりするドライバーが、その結果を待たずにノックアウトが決まってしまうわけです。

 「その不確定要素が面白い」という一面は確かにあるのですが、タイムアタック勝負と言う予選の基本的なコンセプトからすると、タイム以外の要因、コントロールライン以外の場所で勝敗が決まってしまうという状況は、最初にも書いた通り、どうにも間抜けだし納得がいきません。

 セッション中はとにかく連続周回してタイムアタックを続ける、ということが可能ならまだしも、現在のタイヤレギュレーションは逆に作用し、結局のところ全車最も柔らかいコンパウンドのタイヤでの一発勝負しか選択肢がない状況にあります。

 となれば、事実上時間制限によるノックアウト方式などではなく、1回のタイムアタックですべてが決まる、ということとあまり違いがあるように思えません。

 この状況に対する改善案はいくつかあるでしょう。いずれにしてもタイヤ制限の緩和はキーポイントになりそうです。私的には制限時間が来た時点でタイムアタック中であればそのタイムを認めるようにすればいくらか良いのに、と思っています(もちろん別の問題が起きるのかもしれませんが)。それでもスパのような2分近くかかる長いコースではいったい何が起きるのか? 今から心配になってきます。

 誰も「このままで良い」とは思っていないようなので、何らかの変更が行われるとは思うのですが、結局各チームとFIA、FOMによる話し合いは結論が出ないままになっているようです。これはこのままなし崩しになるような気がしなくもありません。

「スタートが鍵だった」ニコ・ロズベルグ

 これで開幕2連勝、昨シーズンからは5連勝という強さを見せています。この2戦では予選ではハミルトンにやられてしまうものの、決勝ではスタートから躓くハミルトンを尻目に、着実にトップを奪い快走してチェッカーまで走りきります。

 これは昨シーズンまでの関係がまるで逆転したかのようです。ただ、その裏には特にロズベルグが勝負強くなったのか、単なる運なのか、ハミルトンが自滅してるだけなのかは、この2戦だけの内容と結果では良くわかりません。

 今後ハミルトンは必ず復調してくるでしょうし、ベッテルも昨年以上に手ごわくなっているはず。少し歯車が狂いはじめ、いろんな面でプレッシャーがかかったときに自滅する癖がどうなったのか?が、今後の鍵になってくると思います。

「特別なことは何もない」 キミ・ライコネン

 バーレーンとライコネンの相性の良さは抜群で、過去11回のバーレーンGPのうち4戦で2位表彰台に上っていたりします。そして今年もまたもや2位。この巡り合わせは本当にただの偶然なのか、疑いたくなってきます。

 表彰台インタビューでこのジンクスについて聞かれたのに対し、本人はいかにも彼らしいいたってクールな反応を見せました。私なりに意訳するとすれば「べつに...」と言ったところではないかと思います。いえ、実際にはもう少し饒舌だったのですが、ライコネンのキャラクターを考えると、このくらいそっけなくてもアリではないかと思います。

 ベッテルがいない中で確実に仕事をこなすところはさすがです。チームも今回は謎のステイアウト作戦などは取らず、ハミルトンのアンダーカットも確実に防ぎ、定石通りの作戦を見せました。クリーンなオーバーテイクも含めて、ライコネンらしいレースだったと思います。

 やっぱり相性がいいとしか思えません。

「チャンスを最大限に生かした」 ストフェル・ヴァンドールン

 オーストラリアGPで大クラッシュを喫したアロンソにドクターストップがかかり、急遽代役としてF1デビューを果たした新人ドライバーです。2015年のGP2チャンピオンであり、今年はなんと日本のスーパーフォーミュラに参戦しているそうです。と言うことは、当然ホンダのバックアップがあるということでしょうか。今回も岡山にいたところ、急遽バーレーンに召還されたそうです。

 レース経歴は十分そうですが、乗ったことのないF1にいきなり乗って、チャンピオン経験のある大ベテラン、バトンを予選でも上回り、決勝でも見事にポイントを奪い取るという活躍は見事としか言いようがありません。

 今年のホンダPUはさすがに去年から相当に進化しているようですが、まだ結果がはっきり出るところまでは来ていません。今回バトンを襲ったように信頼性の問題も相変わらずあるようです。

 後は何か歯車がかみ合えば... と思うのですが、今シーズンはハース(+グロージャン)と言う強力な伏兵が現れ、中段勢の競争は激しさを増しています。ここからなんとしても早いうちに抜け出し、まずはレッドブルと渡り合えるようにならないと、その先の道筋は見えてきません。何となく不安でならない、というのが本音のところです。

次は上海

 次戦は2週間後、上海で行われる中国GPです!