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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

来年のことは誰にも分からない:F1 2015 最終戦 アブダビGP

F1

 長かったような短かったようなF1の2015年シーズンもとうとう最終戦を迎えてしまいました。その舞台は今年もアブダビのヤス・マリーナ・サーキット。高級な大型クルーザーがひしめく港街にあって、F1新興国の中でもひときわ豪華な設備を誇るサーキットです。日没を挟んで行われるトワイライト・レースの幻想的な風景と合わせて、他にはない一種独特のセレブな雰囲気を持醸し出しているのがテレビの画面からも伝わってきます。

 昨年は馬鹿げたダブルポイント制もあって、チャンピオン争いがここアブダビまでもつれ込みましたが、今年はとっくにハミルトンのチャンピオン防衛が決まった中での落ち着いた最終戦となりました。それでもレースはメキシコ、ブラジルに続いて同じとように白熱し、十分に見応えがありました。

「休みなんていらない」 ニコ・ロズベルグ

 前戦までの絶好調をそのまま維持し、今回もポールtoウィンを飾りました。これで6戦連続ポール獲得にして3連勝となりました。トップから飛び出して独走する、という当たり前の作戦がようやく機能するようになったわけです。

 ロズベルグとしてはこの調子で、今すぐにでも次のシーズンを始めたいところでしょう。長い休みを挟んでマシンやルールが少しずつ変わり、色々リフレッシュしてしまうと、そのアドバンテージは幻と消えてるに違いないのですから。

 終盤戦に入ってからの好調ぶりの理由については色々言われています。恐らくシンガポール以降にマシンにアップデートが加わったことは無関係ではないし、チャンピオンが決してからの二人のドライバーそれぞれの精神的な影響も多分にあるのだろうと思います。

 だとすると、やっぱり来シーズンはどうなるか分かりません。マシンは変わるし、新たなシーズンに向けてハミルトンは再び本気になり、ロズベルグも再びプレッシャーを感じることになるのですから。

 開幕戦の予選と1コーナーの攻防が今から楽しみです。もちろん、メルセデスが来季もダントツに速いマシンを用意することが大前提となりますが、それすらも絶対ではありません。

「2016年の新マシンをすぐに掌握して戻ってくる」 ルイス・ハミルトン

 最高のシーズンの終え方とは到底言えませんが、アメリカGPでチャンピオンを早々に決めてしまった圧倒的な強さを思えば、彼にとっては昨年以上に良いシーズンだったとことに変わりはありません。

 今回のレースでも予選でロズベルグに負け、1コーナーでも並ぶことが出来ませんでした。その時点でほぼ終わったも同然でしたが、ポイントとなったのは第2スティント終盤。しかし、その差1秒まで肉薄し、もしかしたら何か起こるかも?と思わせたところで、ハミルトンはピットインを先延ばしするという謎の決断をして、自らチャンスをつぶしてしまいました。これはいったいなぜなのでしょう?

 もちろん、チームが二台のタイヤ戦略を統一するというポリシーを持っていなければ、ハミルトンは逆転を狙って賭に出ることも可能でした。一つは最後にスーパーソフトを履き、コース上でオーバーテイクを試みるというもの。もう一つは、ハミルトン自身がチーム無線で主張したように、そのまま最後まで走りきると言う作戦。後者は結果的にうまく行かなかったと思われますが、前者だったらどうなっていたでしょう?

 しかしそれはチームの堅いポリシーの前では叶わぬ夢であり、ハミルトンもそれは知っていたはずです。これは見ているファンにとっても、そして逆転を図ろうとするドライバーにとっては手足を縛られたも同然で、面白くないことです。

 ということで、来季に向けてハミルトンにとって必要なのは自分に合ったマシンを取り戻すことです。それが出来るかどうか、シーズンオフの間に色々動きがあるのでしょうが、一ファンとしては来季開幕戦の予選と1コーナーを楽しみにしておきたいと思います。

「完走できなくたっていいじゃないか」 フェルナンド・アロンソ

 不運というか、不注意にもスタート直後に暴れん坊マルドナドと接触してしまい、しかもペナルティを受けてしまったアロンソ。幸いリタイアは免れましたが、レース的にはほとんど無意味となってしまいます。それでもチームはいつも通り完走を目指して手堅いレースをの続行をドライバーに指示していたようですが、今のマクラーレンにとって、アロンソにとって、最終戦でコンサバな作戦をとる意味はありません。何のために走ってるのか分からなくなったアロンソは「完走を目指すのではなくて今しか出来ないことを試してみよう」とチームに訴えます。

 メルセデスと違って、その提案が受け入れられるのは、もちろんチームのポリシーの違いもあるでしょうし、そもそもチームが置かれている状況も違います。それらに加えアロンソというドライバーの力もあるのでしょう。

 そしてアロンソはレース終盤にリタイア覚悟でホンダのパワーユニットを限界まで回し(回生パワーを最大まで絞り出し)てみたそうです。その結果レース中のラップタイムはハミルトン、ベッテルに続く3位という記録を叩き出すことになりました。

 もちろんそれがどのくらいの意味があるのか分かりません。しかしアロンソは少なくとも前向きなコメントを残していますし、チームメイトのバトンも同様に「今シーズンでベストのレースだった」と言っています。結果はどちらもポイント圏外なのに。

 ラップタイム3位という結果よりもドライバーの感触がポジティブだったことの方が、来年に向けて重要な意味を持つのではないかと思います。ホンダにとっては来年は後のない正念場です。こればかりはやってみないと分からない、では困ります。

また来年!

 ということで、今年も19戦が終了しました。これからはストーブリーグに入ります。まだ決まってないシートがいくつかあったと思いますが、あまり目立った大型移籍や引退はないようです。注目点はいまだ最終決着を見ていないレッドブルのパワーユニット問題でしょうか。撤退してしまう可能性は低くなったようですが、まだどうなるか予断を許しません。

 「最終戦は来年を占う重要な一戦」とはよく言われますし、多分に真実を含んでいるとは思いますが、実際のところ過去を思い出してみれば、新しいシーズンになると全てがガラリと入れ替わってることも珍しくありません。

 昨年末から今年にかけても、メルセデスとハミルトンの強さはだれもが予想した通りでしたが、フェラーリが今年ここまで復活を誰が昨年末に予想できたでしょうか? 同じようなことが来年も起こるかもしれません。

 というか、起こることを期待して来年の開幕戦を楽しみしたいともいます。次のレースは15週間後、オーストラリアGPです!