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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

ジンクスはまたもや現実となる:F1 2015 第18戦 ブラジルGP

 アメリカ大陸連戦の締めくくりは、シーズン末おなじみの風景となったブラジルはサンパウロ郊外、インテルラゴス・サーキットです。今年はメキシコGPに抜かれたものの、カレンダー中随一の高地にあって天候も不安定な立地。コースは全長が短く、しかしアップダウンが激しいのが特徴です。
 特に、緩やかな左カーブを描きながらメインスタンドに向けて登ってくる長いストレートと、急な下りのS字となる1コーナーは、過去にも数々のバトルを産んできました。

 最終戦として行われ、チャンピオン決定の瞬間を多く見守ってきたインテルラゴスですが、今年はハミルトンのチャンピオンが決定した後の消化レースです。しかし来季に向けて様々な動きがあり、そしてもちろん1位以外のポイントランキング争いもまだ激しさを増しているところで、見所は大いにあり楽しめました。

「作戦的に違うことをすれば面白かったと思う」 ルイス・ハミルトン

 そうは言ってもハミルトンには違う作戦をとる余地はなかったように思えます。まさか4ストップ作戦とか? それともまだ前戦のタイヤ戦略についてわだかまりがあるのかも?

 メルセデスのマシンはトップを独走するように出来ていて、他のマシンの後につくと、熱や空力面でいろいろ悪影響が出やすいという話しを聞いたことがあります。彼は今回その罠にはまってしまったのか、ロズベルグの後で常にギリギリの状態だったようで、2回ストップにする余力はありませんでした。

 ハミルトンにとってはインテルラゴスは非常に相性の悪いサーキットです。2007年にはチャンピオンを逃し、2008年には辛く1ポイント差でチャンピオンを決めたものの、レース内容は最悪で、インテルラゴスの観客(と、そして恐らくイギリスを除く全世界のF1ファン)はマッサの味方であり、とても後味の悪いものでした。それ以降はレッドブルとベッテルの時代が続き、去年はロズベルグにやられてしまいました。

 果たして今年も「ブラジルは勝てない」というジンクスは今回も現実のものとなってしまいました。

 でも、チャンピオンを既に決めてしまった余裕がないと言ったらウソになるようにも思います。無線で早々にギブアップ宣言をしたのも、彼らしくありません。失うものがないわけですし、来シーズンのためにもニコを完膚なきまでに凹ませるには、もう少し真剣になった方が良いのではないかと思います。

「常にレースをコントロールすることができた」 ニコ・ロズベルグ

 確かにそうなんですが... 表彰台インタビュアーのマーティン・ブランドルと同じ突っ込みを全世界のF1ファンがしたはずです。「なぜこういったレースがもっと早い段階で出来なかったのか?」と。

 今回のレースも前回のメキシコ同様に、予選に勝ち、スタートをきっちりと抑え、タイヤマネージメントをこなし、ミスを最小限に抑えることが出来ました。危なかったのは1回目のピットストップだけ。それも物事がかみ合ってるときはなんとななるもので、うまく切り抜けることが出来ました。

 戦略で言えば、ロズベルグのほうはタイヤに問題がなく、2回ストップでも行けそうな調子でしたが、メルセデスはなぜか絶対に2台の作戦を同じにするというルールがあるようです。ニコはトップを走ってることもあり、抵抗することなくチームの指示を受け入れます。もちろん、十分なマージンがあるなら万一のセーフティカーに備えてタイヤをフレッシュに保つのは、トップを走るリームにとっての常套手段ですから。

 今更絶好調になっても「時既に遅し」ではあるものの、完敗の今シーズンの成績を少しでも挽回しておくことは、来シーズンに向けてロズベルグにとっては重要な課題です。そうはさせじとハミルトンが本気になって立ちはだかるとなれば、チャンピオン決してもなお二人の熱いレースが見られそうです。

「ターン1の追い越しはよかったね!」 マックス・フェルスタッペン

 ここ最近のレースぶりが注目を集めいている今シーズンの二世ルーキードライバー。モナコでは若さ故の雑なバトルを批判されたりもしましたが、今回のレースでのバトルぶりは見事なものでした。非力なルノーのパワーユニットでトップスピードも圧倒的に劣る中、メルセデスを搭載するフォースインディアやロータスと互角に戦った末に入賞したのですから。

 これで今シーズン10回目にして6戦連続入賞、ポイントランキングもグロージャンと同点で11位の座を争っているところです。トロロッソの現状と17歳デビューということを考えれば、今シーズンの働きぶりは期待以上と言えるでしょう。

 トロロッソは親チームのレッドブルとともに来季のパワーユニット問題に巻き込まれていますが、やはりこうした素晴らしい若いドライバーにチャンスを与える、F1にとって重要な存在だと思います。それはミナルディだった時代からのこのチームの役割でした。フェルスタッペンは早い段階でレッドブルに昇格できるのではないかと思いますし、是非そういうチャンスが今後の新人達にも訪れるよう、この2チームには存続してほしいものです。

「2016年に向けて100%稼動し始めるのが待ちきれない」 フェルナンド・アロンソ

 インテルラゴスはホンダのパワーユニットにとって不得意なコースの一つであることは自明であり、今レースも苦戦が予想されていたわけで、実際にそうなりました。セナが愛したホンダの復活がブラジルの観客にどう迎えられたかは、テレビの画面からはよく分かりませんでした。というか、レース中はほとんど国際映像に映っていなかったのではないかと思います。

 順位はともかく、この終盤に来て信頼性の問題が多発しているのが心配なところです。アロンソは来季についての前向きなコメントを連発していますが、正式に来年の残留は発表されてないと思うのですがどうなのでしょうか? 他を見回してもトップチームにはアロンソが手に入れられそうなシートはないので、大丈夫だとは思うのですが。

 まだ迷いがあるのなら、もう一年チャンスをくれ!と、日本人ファンの一人としてもお願いしたいところです。

あと一戦

 今シーズンも残すところあと一戦。来週末に最終戦アブダビGPが行われます。中東のオイルマネーによる超豪華サーキットのマジックアワーは、インテルラゴスの雨模様に変わって、F1最終戦の風景として根付いてきたように思います。ライコネンVSボッタス、グロージャンVSフェルスタッペン、リカルドVSクピアトなど、ポイントランキングの決着も見所となります。