酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

消化レースとは言わせない:F1 2015 第15戦 ロシアGP

 私の記憶の中では遠い昔のことのように思えていますが、鈴鹿の日本GPから2週間が経過しました。もちろんF1シーズンはまだまだ続いており、先週末には昨年に続き2回目のロシアGPが、ソチのオリンピック会場跡に作られた半公道サーキットで行われました。

 今年もまたプーチン大統領が観戦に訪れるなど、ロシアにとっては大きな行事と位置づけられていることを伺わせます。あるいは単にプーチン大統領がF1好きなだけなのでしょうか? お客さんもたくさん入って盛り上がっているようです。

 その一方でドライバーズ・チャンピオン争いは全く白熱しておらず、決定するのはもはや時間の問題となっています。そんな中各チーム、各ドライバーは来季に向けた動きが活発化しているわけですが、却って色々吹っ切れたり、瀬戸際に追い詰められたりしているのか、シーズン終盤らしからぬ大荒れで、とても消化レースとは思えない非常に白熱した内容となりました。

 今回も残念な結果に終わったドライバー達のコメントを取りあげてみたいと思います。

「不運が続きルイスとバトルすることが難しくなっている」 ニコ・ロズベルグ

 昨シーズン、予選ではハミルトンに対し強さを見せた一方で、レースになると負けるというのが常だったロズベルグですが、今シーズンは予選でも負けが立て込むようになり、不運であるかどうかの前に、もはや勝負になってない感じがありました。

 そんな中、久しぶりに昨年のような強さを見せ、フリー走行から予選の各セッションまで完璧にハミルトンに勝ち、日本GPに続いてポールポジションを獲得。スタートもなんとか凌ぎきり、オープニングラップを先頭で戻ってきます。

 基本的にここで優勝への道のりは50%まで達成できたも同然。あとはピット戦略、タイヤマネージメントをしっかりやることだけ... と思っていた矢先に問題が起こります。

 レース開始早々に導入されたセーフティカーの後ろで、スロットルペダルに異変を感じたロズベルグの悲痛な無線が飛び交い、結局レース再開後にドライブ不能となり、あっけなくリタイアしてしまいました。

 うまくいかないときは本当に何もかもうまくいかないものです。ハミルトンが優勝をさらう一方で、ロズベルグはノーポイント。ベッテルにも抜かれてポイントランキングはとうとう3位まで落ちてしまいました。

 チャンピオン獲得の権利はほぼ失ったも同然ですが、ここのところ一発の速さを取り戻しつつあるだけが救いでしょう。ただ、勝手なことを言わせてもらうなら、ロズベルグは今シーズン徹底的に負けてどん底まで落ちる必要があるのではないかと思います。精神面でも生まれ変わらないと、今のままでは何度やっても同じ事の繰り返しになるのではないかと思います。

 来シーズン、まだメルセデスの時代が続くとしたら、ハミルトンを苛立たせる程度に互角に戦えるところまで復活することを期待したいと思います。

「仕掛けると決めたら減速することはできない」 キミ・ライコネン

 最終ラップの事件についての是非はさておき、テレビの解説者が言っていたことが、最近のイマイチなレースの流れをすべてを表してるような気がします。

 というのは、ここ最近のチーム戦略の失策が、ライコネンのレースを必要以上に難しくしているのではないかと思えるのです。イタリアGPではピットインのタイミングが遅すぎ、そして今回は早すぎました。そのために失わなくて良いポジションを、あまりにも簡単に失ってるように思えて仕方ありません。

 今回もピットインで失った本来のポジションを奪い返すべく、レース終盤で見事な判断でペレスを抜き去り、ボッタスもほぼ捕らえたところで、大きなチャンスとリスクをかけてボッタスのインにマシンを突っ込みます。もしかしたら2005年の鈴鹿の思い出が頭をよぎったかもしれません。

 しかしこれは余りにも楽観的すぎたと言えるでしょう。「カミカゼアタック」と言われても仕方ないかもしれません。

 ただ、ライコネンにはもはや失うものはなく、仕掛けることをためらう理由もありませんでした。本心でどう思ってるかは分かりませんが、強気のコメントを残していることで却って安心しました。

 いつもクリーンなバトルをするライコネンのことですので、同じようなラフなバトルを仕掛けることは今後も滅多にないでしょうが、そこまでさせることがないよう、チームも大いに反省して欲しいところです。

 復帰後のロータス時代のような活躍をもう一度みたいものです。とりあえずはあと一年、残留が決まって安心しています。キミはキャラクター的にもまだまだF1に必要な人材ですから。

「この失望を言い表すのは難しい」 ヴァルテリ・ボッタス

 彼こそは何の落ち度もない真の被害者です。今シーズン2回目の表彰台がかかっており、ポイントランキングでも激戦区にいました。なのに最終ラップで3位表彰台からノーポイントに滑り落ちてしまいました。

 ソチは昨年からとても相性が良いサーキットで力を入れていたようですが、予定外のセーフティカーによって戦略が大きく狂ってしまい、まさかフォースインディアのペレスとバトルをすることになるとは、思ってもいなかったでしょう。そういう意味では、思いがけず難しいレースを強いられていたのはライコネンだけでなく、ボッタスも同じです。

 同郷フィンランド出身の大先輩に追突され、逆ギレ気味に「ミラーを見ろよ」と言われて、「自分の方が前にいてラインの優先権があった」という正論を言うしか言葉がないようです。

 心中を察します。

「そのユーモアのセンスが好きだ」 フェルナンド・アロンソ

 日本GPではホンダのパワーユニットへの不満を直接的な言葉でぶちまけたアロンソの無線が物議を醸しましたが、今回はだいぶ穏やかな内容でした。上に引用したコメントはレース終盤にチームから「マッサと戦えるぞ!」と言われたことに対するアロンソの返事です。つまり「そんなことできるわけねーだろ!」と言う意味かと思います。実際のところ、ウィリアムズと戦えるだけの競争力は今のマクラーレンにはありません。

 ソチのトラックは鈴鹿同様にMGU-Hが効くとあって、ホンダには相当厳しいことになると予想されていました。実際なにかミラクルが起きたわけではないのですが、レースでは2台とも10位圏内でフィニッシュするという健闘を見せました。もちろん、リタイアが多かったことも味方しましたが、レース内容自体もそんなには悪くなかったようで、レース後のチームとドライバーのコメントはいつになく前向きな雰囲気でした。。

 とはいえ、今年はこれ以上どうにもならないことはほぼ決定しているわけで、マクラーレンホンダについては来年に期待するしかありません。もう残りのレースはデータ取りと割り切って頑張って欲しいと思います。


 次回は来週末、アメリカGPです!