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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

DA★55mmF1.4 vs FA50mmF1.4

 先日衝動買いしたDA★55mmF1.4 SDMは、これまでにも何度か書いたようにとても気に入っているのですが、よく考えてみれば似たようなスペックのレンズとして、FA50mmF1.4を持っていることを思い出しました。焦点距離の差は5mm。K-3などで使うことを前提にフルサイズ換算すると80mm相当前後の中望遠であり、F1.4という明るさと相まって、その位置づけは非常に近いレンズです。

K3PS7830.jpg
 ということで比較してみることにしました。外観はこの写真のように思い切り違います。APS-C専用のDA★55mmF1.4のほうが大柄。市場価格も倍くらいの違いがあり、まもなくKマウントのフルサイズデジタルが出ることを考えると、FA50mmF1.4もお得に思えます。

スペックなどなど

 まずは基本的なスペックを比較してみます。

  DA★55mmF1.4  FA50mmF1.4 
画角 28.6度 31.5度
フルサイズ対応 No Yes
構成枚数 8群9枚 6群7枚
最小絞り F22 F22
絞り羽根 9枚円形 8枚
絞りリング No Yes
最短撮影距離 0.45m 0.45m
AF駆動 SDMによるレンズ内駆動 ボディ駆動
クイック・シフト・フォーカス Yes No
フィルター径 58mm 49mm
コーティング smc, ABC, SPC smc
最大径x長さ 70.5 x 66mm 65 x 37mm
重さ 375g 220g
防塵防滴 Yes No

 こんな感じでしょうか。DA★55mmF1.4は最新ではないながらも、一応デジタル時代の設計なので、今風のスペックで今でも単焦点レンズとしては何ら見劣りはしません。全部入りといった感じ。FA50mmF1.4はAF時代ではありますが、完全にフィルム時代のレンズであり、最近のレンズとしてはデザインからして古風です。ただ、当然のようにフルサイズに対応していたり、絞りリングがあったりと、今でも存在価値のあるレンズとなっています。

使い勝手

 さて、スペックに見えることで、実使用上でも実際に差を実感する点として、まずはAF駆動方式の差があります。SDMが静かで滑らかと言う感覚的なこと以上に、開放F1.4のピント面の薄さでもピタッと安定したピント合わせが出来ることに一番感動しました。Kマウントの大口径単焦点は軒並みボディモーター駆動で、カプラやギアの遊びの影響か、ピント位置が安定しないことが多かったのですが、DA★55mmF1.4はズバッと安定して合います。光学系の設計や設定の差もあるとは思うのですが、主にはレンズ駆動の違いではないかと感じています。

 そしてピント合わせについて言えば、クイックシフトフォーカスの有無も重要です。ピントリングはクラッチ機構でAF駆動から切り離されているので、ホールディングにも影響しないし、ピント合わせで悩むことが本当に減ります。

 それからK-3世代のデジタル一眼レフと組み合わせるには、防塵防滴であることも大きなポイントでしょう。しかも簡易防滴のWRクラスではなく、本物の防塵防滴でAW相当ですから、かなり信頼がおけそうです。

 一方でFA50mmの良いところは、今時のデジタル用レンズとは比べものにならないくらい、小型軽量であること。そしてフルサイズに対応していることです。

解像度

 レンズの比較と言えばやっぱりこう言うのでしょうか。この2本の差を見つけるのは難しくありません。開放付近の描写性能ははっきりと差が現れます。

 たとえばF1.4開放で比べてみるとこんな感じです。


K3PS7856.jpgK3PS7865.jpg

 上がDA★55mmF1.4、下がFA50mmF1.4です。画角の差は思ったほど気になりません。どちらのレンズもややマゼンダかぶりのように見えます(ホワイトバランスはデイライトで固定しています)が、程度としてはFA50mmF1.4のほうが顕著です。

 そして解像感に関しては中心も周辺もまったく異なります。DA★55mmF1.4も最近のレンズと比べれば甘いと言えますが、FA50mmF1.4は尋常じゃなく甘いです。というより球面収差でフワッとソフト風味。この辺は味と言えば味になると思います。

 歪みはこのシーンではほとんど分かりませんが、単焦点らしくどちらのレンズも優秀。空の両端を見るとやはりDA★55mmF1.4のほうが周辺光量低下は大きいようです。この辺はDAとFAの差かと思います。

 以下、ずらっと絞りを変えながら取ったカットを並べてみました。

  DA★55mmF1.4 FA50mmF1.4
F1.4 K3PS7856.jpg K3PS7865.jpg
F2.0 K3PS7857.jpg K3PS7867.jpg
F2.8 K3PS7858.jpg K3PS7868.jpg
F4.0 K3PS7859.jpg K3PS7869.jpg
F5.6 K3PS7860.jpg K3PS7870.jpg
F8.0 K3PS7861.jpg K3PS7871.jpg
F11 K3PS7862.jpg K3PS7872.jpg
F16 K3PS7863.jpg K3PS7873.jpg
F22 K3PS7864.jpg K3PS7874.jpg

 
 DA★55mmF1.4はF2.0あたりからはキリッとして、F5.6あたりまではK-3でも十分耐えうるシャープさ。周辺光量低下もカラーバランスもF2.0以降は気になりません。F11からははっきりと回折ボケが見られますが、これは仕方ありません。

 FA50mmF1.4は絞りによる画質変化が非常に大きく、F2.8あたりからは20年も前のレンズとは思えないくらいくっきりとしてきます。F1.4〜F4くらいまでのめまぐるしく変わる画質変化を「味」として楽しむことが求められるレンズでしょう。同様にF11以上は明確にボケ始めます。

ボケ味

 大口径レンズであるからにはボケは重要です。その辺はどうでしょうか?

 これもまずはF1.4開放で比べてみましょう。

K3PS7884.jpgK3PS7875.jpg

 上がDA★55mmF1.4、下がFA50mmF1.4です。合わせたつもりだったのですが、露出が1/3段ずれてしまいました。その影響は少しあるのかもしれませんが、やはりDA★55mmF1.4のほうが滑らかで綺麗です。というか、これはDA★55mmF1.4が綺麗と言うより、FA50mmF1.4が悪すぎるのではないかと思います。それでもこのくらい距離差があってボケ量でカバーしてしまえば、写真の表現としては何の影響もないでしょう。あるいはこれもまた「味」としてしまうとか。FA50mmF1.4はボケの点でもなかなか使いこなしは難しいと思われます。

 以下、あまり意味はないかもしれませんが、これもまた絞りを変えながら撮ったものを並べておきます。

  DA★55mmF1.4 FA50mmF1.4
F1.4 K3PS7884.jpg K3PS7875.jpg
F2.0 K3PS7885.jpg K3PS7876.jpg
F2.8 K3PS7886.jpg K3PS7877.jpg
F4.0 K3PS7887.jpg K3PS7878.jpg
F5.6 K3PS7888.jpg K3PS7879.jpg
F8.0 K3PS7889.jpg K3PS7880.jpg
F11 K3PS7890.jpg K3PS7881.jpg
F16 K3PS7891.jpg K3PS7882.jpg
F22 K3PS7892.jpg K3PS7883.jpg

 FA50mmF1.4のボケもF2.8あたりからだいぶ落ち着いてきます。F4を見比べるとボケ量に差があるように見えますね。焦点距離5mmの差が効いているのでしょうか。

 DA★55mmF1.4は解放時の周辺のボケがラグビーボール状になっているのですが、F2.0になるとパタッと消えて周辺まで円形になってきます。ボケ量も豊富でこれだけ背後との距離差がある場合は、F22まで絞ってもパンフォーカスには出来ません。

まとめ

 これだけの比較で結論めいたことを書くのもおかしいですが、逆に言うとこれだけでもこの2本の個性の差、あるいは性能の差ははっきりと分かります。

 FA50mmF1.4はとにかく最近のデジタルカメラで使うには、設計の古さが目立ちます。ボケ量と画質の安定感、バランスを取るとすればF2.8あたりがピークでしょうか。あるいは開放からF4あたりまでのじゃじゃ馬ぶりを楽しむレンズと言えそうです。おそらく、フルサイズ機が出たとしても、常用レンズとしてこれを使うわけには行かないでしょう。たぶん、オールドレンズ遊びの領域に入ってくるものと思います。

 DA★55mmF1.4はFA50mmF1.4に比べるとずっと現代的で安定しているレンズですが、開放はそれなりに「味」を見せるところがあります。これもまたボケ量と画質の安定感を求めるとするなら、F2.0がピークかな?と言う気がします。

 何度も書きますが惜しむらくはDAであって、DFAではないこと。周辺光量低下はFA50mmより確実に大きいこともあり、じつはフルサイズをカバーしている、みたいなところは望み薄かな?と思っています。大きな周辺光量落ちも「味」ととれなくはないですけど。

 ということで、「この2本は画角と開放F値が近いだけで、まったく性格の異なるレンズである」が結論です。

おまけ1

 FA LimitedはFA50mmF1.4ほど古くさくはないですが、フィルム時代のレンズであることには変わりはなく、いろいろ古くささが感じられるという点では、FA50mmF1.4に近いじゃじゃ馬ぶりを発揮することがあります。
K3PS7832.jpg
 画角が大きく違いすぎるので今回比較には使いませんでしたが、FA Limitedで気になるのはAF精度のばらつきです。これもボディモーター駆動の古いレンズの宿命と思います。ピントさえ来れば開放の解像感はそこそこありますし、ボケの綺麗さはDA★55mmより圧倒的に上でしょう。

 でも、防塵防滴、クイックシフトフォーカス、そしてSDMによるAF駆動... はとても魅力的。来るフルサイズ機に合わせて、FA LimitedはD FA Limitedに是非モデルチェンジして欲しいと思います。

おまけ2

 今回の比較写真はすべてカメラ側によるレンズ収差補正(倍率色収差、歪曲、周辺光量、回折)をOFFにして撮りました。遠景の写真でははっきりと絞りすぎによる回折の影響が見て取れたわけですが、K-3の回折補正の威力はどのくらいかな?ということを試してみました。


K3PS7896-Edit-2
K3PS7897-Edit-2
 絞りF22で、上が回折補正OFF、下がONです。思ったよりは効果があって、回折補正を入れると明らかにシャープネスというか解像感が回復します。とはいえ回折ボケが出ない程度に絞りを開けているときには敵いません。

 K-3 IIではこの回折補正も新アルゴリズムで強化されるそうですが、いったいどのくらい効果があるのでしょうか?

関連エントリー

DA★55mmF1.4で撮った写真



FA50mmF1.4で撮った写真


参考