桜とほのかと銀残し

投稿者: | 2015年4月7日

 東京ではまだ散りゆく桜を楽しむことができますが、それでもピークは確実に過ぎてやや桜にも飽きてきた感があり、いまさら桜の写真をしつこくエントリーするのも憚られるのですが、せっかく撮った写真がまだ少し残っているので、今年最後の桜写真としてアップしておこうと思います。

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 桜はストレートに撮るのが一番綺麗だとは思いますが、写真を趣味にしているとあれこれといじってみたくなります。先週の後半は天気が悪かったこともあって、敢えて色を薄めた桜の写真を撮ってみました。

カスタムイメージ

 ペンタックスのカメラにはJPEGに書き出す際の色調やコントラストなどを調節する「カスタムイメージ」という機能があります。キヤノンで言えば「ピクチャースタイル」、ニコンでは「ピクチャーコントロール」、オリンパスでは「ピクチャーモード」、富士フイルムでは「フィルムシミュレーション」と呼ばれている機能に相当します。

 この中にいくつかのプリセットが用意されているわけですが、「ナチュラル」や「鮮やか」や「風景」などの一般的なモードに混ざって、使用シーンがかなり限られそうな極端なモードが二つあります。一つはハイキー寄りの「ほのか」、もう一つは逆に思い切りローキーな「銀残し」です。

 淡くて繊細で、かつ一方で色鮮やかな桜には最も合わなさそうな設定ですが、あえてこの二つのモードを使ってみました。以下の設定画面はK-30のものですが、K-3でもほとんど同じです。

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 まずは「ほのか」です。鉄道写真家の中井精也さんが、ペンタックスのカメラの作例でよく使っているモードです。色は薄くハイキーで低コントラスト、低シャープネスになります。

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 対して「銀残し」は「ブリーチバイパス」とも呼ばれ、フィルム時代の現像による表現手法に由来しています。色のバランスはかなり歪なことになっていますが、総じて彩度は低いことに変わりはありません。それ以外は「ほのか」とは対照的に、ローキーで高コントラストです。シャープネスは普通。

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 一方、デフォルトのモードは「鮮やか」です。「ナチュラル」という一番素直なモードもあるのですが、それに対しややビビッドよりな「鮮やか」が標準となっています。時折色が濃すぎると感じることもありますが、一見したときの印象がいいことが多いので、私自身もわりと普段から「鮮やか」を使っています。

 いずれのモードも詳細設定に入ると、キーやコントラスト、彩度やシャープネスなどなど、それぞれのパラメーターを微調整できますが、基本的にデフォルトのまま使いました。

桜を撮ってみる

 早速撮ってみましょう。富士フイルムのXシリーズなどは「フィルムシミュレーション・ブラケット」なるモードがあって、一回のシャッターで複数の画像処理を加えたファイルを保存できるのですが、K-3やK-30には「カスタムイメージ・ブラケット」なる機能はないので、手動で切り替えながら撮りました。

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 まずは普通に「鮮やか」です。普通ですね。

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 これは「ほのか」。かなり淡くなりました。が、あまり「ほのか」向きではなかったかも。

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 で、これが「銀残し」。私的には結構こういうのが好きです。「ほのか」向きなシーンというのはなかなか見つけられないのですが、「ここは銀残しがおもしろいかも?」というところはあちこちで見つけられます。

ほのか

 ということで、以下「ほのか」で撮った桜の写真を3枚だけ貼っておきます。
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 うーん、やっぱり難しいです。「ほのか」はそもそも光がたっぷりあるところで使った方がいいのかも。前ボケや後ボケをふんだんに入れるなどすればフワッとした雰囲気になって、はまるシーンがたくさんありそうです。来年また桜の季節にトライしてみたいと思います。

銀残し

 次は「銀残し」です。
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 うん、やっぱりおもしろいです!曇っていて光がまんべんなく回っているのも良かったのかも。物珍しいだけかもしれませんが、この怪しげな雰囲気が結構気に入っています。

鮮やか

 でもやっぱり、なんだかんだ言って一番綺麗に撮れるのは「鮮やか」ですかね。

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 はい、これが間違いないです。原色系の草花だと色飽和寸前でのっぺりしてしまうこともありますが、桜くらいの淡さにはちょうどいいバランスではないかと思います。

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 日に日に桜は散って行ってますね。今年の桜エントリーはこれで最後です。今年は最盛期が短くてしかも天気に恵まれず、外れ年だったように思います。自然相手ですから仕方ないですけどね。

 また来年!

桜とほのかと銀残し」への6件のフィードバック

  1. のびー

    鮮やかモード好きです。綺麗に撮れますよねー。でもこれに目が慣れちゃうとCanon機で撮った写真があっさりし過ぎてる気がしませんか?オレだけかなぁ

  2. hisway306

    のびーさん、
    私も鮮やかモードが好きです。ビビッド系の設定としてはとてもバランスが良いと思います。少し使用させてもらったEOSやPowershotは、デフォルトはあっさりだなぁ、と私も思いました。あと、シーンによって振れ幅が大きいな、とも。慣れと好みだとは思いますけど。

  3. kazvski

    はじめまして、いつも楽しく勉強させていただいています。
    仰る通り、銀残しいいですね!
    PSレベル補正でコントラストかけたような。
    桜が白いのでより良く怪しく見えます。
    逆にほのか、はカラーの濃いバック、若しくはガッツリ晴天で方がいいのかなと思いました。

  4. hisway306

    Kazvskiさん、初めまして。コメントありがとうございます。
    面白いですよね、銀残し。RAW現像で同じように仕上げることもできると思います。確かに桜は白っぽい花なのでより合ってるのかも。
    そして「ほのか」は仰るとおり、光量がたっぷりあって、色の濃いシーンで敢えて使うのが良いかもしれません。こんどチャンスがあったら試してみたいと思います。

  5. フランカー

    はじめまして
    ペンタックスK-3と共に一眼レフデビューしたフランカーです。
    まだ鮮やかでばかり撮っていますが設定一つでこんなに印象変わってくるんですね!メモメモ…
    スタイラス1を使っていたのですが雨にやられ工場へ
    そして雪と桜一緒に吹雪いてしまいました。

  6. hisway306

    フランカーさん、初めまして。コメントありがとうございます。
    K-3で一眼レフデビューですか!K-3はかなり値下がりしていますし、ファインダーも綺麗だし、機能も豊富で高性能で、初めての一眼レフにはぴったりな一台だと思います。
    私も普段は「鮮やか」しか使っていません。よほど派手な被写体を撮るときに、たまに「ナチュラル」に変えたりします。で、時々「銀残し」で撮ると良いかな?と思う瞬間があるんですよね。
    K-3は雨にも雪にも強いので、いつでもどこでも使えますよ。

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