酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

今年の時代小説はじめは「吉原裏同心」シリーズから

髪結: 吉原裏同心(二十) (光文社時代小説文庫)

髪結: 吉原裏同心(二十) (光文社時代小説文庫)

吉原裏同心の神守幹次郎に女髪結のおりゅうが相談をもちかけた。妹のおきちが不審な者に狙われているのだという。おきちの警固に動いた幹次郎だったが、それがとんでもない騒動の幕開けだった。そして、次に狙われたのは、「吉原の主」ともいえる人物・四郎兵衛。再び蠢きだした「闇の力」の前に、幹次郎の豪剣が立ちはだかる!大人気シリーズ、待望の第二十弾。

遺文: 吉原裏同心(二十一) (光文社時代小説文庫)

遺文: 吉原裏同心(二十一) (光文社時代小説文庫)

吉原会所の頭取・四郎兵衛の傷がようやく癒えた折り、またも吉原が「脅威」にさらされた。吉原裏同心の神守幹次郎は、いまだ復調ならぬ四郎兵衛に伴って、吉原の秘された過去の「遺文」があるとされる鎌倉へ。そこで彼らを待ち受けていたのは過去最強の刺客たちと衝撃の「秘密」だった。シリーズ史上最高傑作!吉原、鎌倉を舞台に壮大なドラマが繰り広げられる第二十一弾。

 読書量が大幅に減ってしまった昨年の反省に立って、今年は時代小説をもっとたくさん読もうと思っています。まずはリハビリとして、これまでずっと読み続けてきたシリーズものの続編から再開することにしました。となれば、やはり読みやすくて純粋に面白い佐伯泰英作品が最適です。しかも真っ先に思い出したのは「そういえば幹どのはどうしているだろう?」ということでした。

 果たして本屋さんで「吉原裏同心」シリーズを探してみれば、未読作の二十巻と二十一巻の二冊が既に発売済み。うん、二冊ぐらいはすぐに読めるし話に追いつくにもちょうど良いところでしょう。ということで、今年はここから再スタートです。

 前作の十九巻を読んだのは昨年の6月頃。そんな昔ではありません。スーパーマンの幹どのに久々の再会し、汀女や四郎兵衛、薄墨大夫など懐かしい面々が吉原を舞台に織りなすドラマとその背景の大筋は、すぐに思い出すことができました。

 そして、この二冊をまとめ読みしたのは結果的に正解だったようです。こういったシリーズものは通常、一巻一話で完結するのが普通でしたが、この二十巻と二十一巻は合わせてひとつの大事件が完結するようになっています。いえ、それを言うなら十九巻も合わせて三巻でひとつの物語になってるといった方が正しいのでしょう。

 十九巻はかなり消化不良気味で、それは適当に書き進めたものの、オチが付けられなくて力業で読者を煙に巻いたのかと思っていたら、ちゃんと続きは用意されていました。いや、それでも「未決」の事件は解決していないのですが、とにかく二十巻と二十一巻を通して、大筋は決着ついたと言えそうです。

 でも、以前も書いたと思うのですが、このシリーズにとっては、細かいストーリーとか、事件の謎解きとか、前後の整合性とか、そういったことはどうでも良いのです。それを言ったら、前振りで伏線だけ張っておいて、その後全く触れられていない話がこのシリーズには一杯あります。

 それよりも雰囲気と、幹どのの一挙手一投足を楽しむ娯楽小説だと思います。吉原の存亡よりも何よりも、今一番気になるのは薄墨と汀女と幹どのの三角関係です。特に二十一巻では、久々に幹どのと汀女様の濡れ場があっただけでなく、汀女様が思い切ったことを口にしました。

加門麻様は、私の妹のようなお方です。麻様の想いを一度なりとも遂げさせてやりとうございます

 おぉぉ! なんと大胆なことを!!と、この汀女様の大胆な発言に思わず仰け反った吉原裏同心ファンは多かったのではないかと思います。私もお茶を吹きそうになりました。

 いやいや、これだからこのシリーズはやめられません。いつになく吉原の歴史と、そしてなぜか鎌倉の歴史に関する蘊蓄が満載だったこの二冊ですが、そんなことよりも男と女の下世話な話ばかりが印象に残ってしまいました。いや、良いんです、きっと。おかげで良いリハビリになりました。