酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

帰ってきたK-7で初心を思い出す

 久しぶりにPENTAX K-7を手にしてみました。5年前の2009年の6月末、発売とほとんど同時に買ったカメラで、私にとっては初のPENTAX機でした。フィルム時代から細々とやっていた写真趣味から何となく離れてしまっていた数年間を打ち破り、写真を撮ることの楽しさを再び思い出させてくれたカメラとして、私にとっては非常に思い出深い一台です。

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 その後深い機材沼にはまり、カメラ本体もレンズも次々に買い足していく中で、手放すつもりはないけれども使わずに放置するのも忍びなく、使ってくれるという写真友達に長期貸し出ししていたのですが、およそ3年ぶりくらいに私の元に返ってくることになりました。(代わりにK-5を出向させました ^^;)

どんなカメラ?

 まずは手にとって眺めて弄って、どんなカメラだったのか思い出してみましょう。
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 K-7も後にLimited Silverバージョンが発売されましたが、私は発売直後に手に入れたものなのでもちろんレギュラーのブラック仕様です。黒いボディは精悍で良いですよね。ここのところシルバーボディばかり使っていたので、かえってブラックボディは新鮮です。フィルムカメラの時代のようにブラックの方が何となくカッコイイ!とさえ思えてきます。

 K-7もKマウントのデジタル世代の中では、それほど古い方ではありません。組み合わせるレンズも本来は当然DAレンズが適任のはずですが、何となくFA50mmF1.4を付けてみました。この組み合わせ、結構気に入って使ってたんですよね。「開放同盟」とか言って遊んでいたのもK-7の時代でした。

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 5年以上前のカメラとはいえ、基本的な機能性能、デザインなどにはそれほど古さは感じられません。センサーは14MピクセルのCMOS、背面液晶は3インチ92万画素、ファインダーはガラスプリズム式で倍率0.92倍、視野率は100%、その他基本的な操作系は現行のK-3までほぼそのまま引き継がれており、操作性はほとんど変わっていません。高感度がISO6400までと、その点だけは2世代くらい前の仕様となっていますが、実際の高感度性能も登場当時の基準で見ても弱い方でしたっけ。

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 操作系が集中する右手グリップまわり。実際には細かいデザインや形状変更が行われていますが、液晶表示やこの辺りの基本デザインは全く変わっていません。非常に完成度の高いボディです。外装もマグネシウム合金のため、細かい傷はあるものの古さは感じられず、シャッターボタンまわりの電源スイッチダイヤルだけが、テカテカに光ってきていて、使い込んだ年月を感じさせます。

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 K-3と並べてみました。色の違いはともかく、現在のKシリーズをよく知っている人じゃないと、その形状の違いを見分けるのは難しいでしょう。でも、私のようなKシリーズ好きな人間に言わせれば、ペンタプリズム周辺の造形は全く違うし、グリップ形状なども大きく変わっておたりして、簡単に見分けられます。ついでにこの2機種の間にはK-5/K-5 IIシリーズがあるわけですが、それもまた形は微妙に違っていて、世代の移り変わりがしっかりと反映されています。

 こうしてみると、外観デザインはK-7の方が圧倒的に優れていると思います。線が柔らかくてどこにも無理がありません。K-3はこのK-7のコンセプトを忠実に守ってきたところは素晴らしいのですが、中身を一新して最新の機能を入れていくうちに、少しずつ細かいディテールが崩れていってるように思えます。

久々に撮ってみる


 さて、ではいよいよシャッターを切ってみましょう。とりあえず、FA50mmF1.4を付けて他には一切レンズもカメラも持たず、近所の散歩コースへ。秘密の紅葉スポットは良い感じに色づいていました。

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 K-7は登場当時から高感度の弱さを散々指摘され、その反動でK-xやK-5のような高感度に強いカメラが生まれた、というのは(PENTAXファンには)有名な話です。しかしK-7は高感度がダメな代わりに、低感度の画質は独特の雰囲気を持っていて時に素晴らしい映像が得られることがあります。

 なんとも言葉では表しにくいのですが、派手さはないのに微妙な色味の深みが出て、被写体の質感が綺麗に浮かび上がってくるのです。解像だけでは語れない部分で、K-5では絶対に撮れない絵でした。K-3では弱冠K-7よりに戻っているような気がします。K-3が時々「K-7の香りがする」と言われるのは、高感度のノイズの乗り方だけでなく、低感度時の色味の雰囲気をも指しているのではないかと思います。

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 いや、今回撮ってここに貼った写真にそれが表れているとは言いません。ただ、K-5以降の機種で顕著な赤系の色のどぎつさはなくて、やはり発色の渋さは健在なのかな、と思います。こっちの方が紅葉には向いてるかも。

 K-7らしい独特の写真は、ふとしたときに表れるもので、むしろ今回久しぶりに撮ってみたこれらの写真を見ていると、最新のカメラともなんの遜色のない、普通に綺麗な写真が撮れるな、と思います。移り変わりの早い世界にあって5年以上使えるのだから、デジタルとはいえやっぱりカメラはカメラだな、と思います。

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 何となく「渋くて深い発色」というイメージがあったので、こんなのも撮ってみましたが、たぶんそうじゃないんでしょうね。でも、良い感じで結構気に入っています。

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 とはいえ写真はカメラだけで決まるものではなくて、むしろレンズの影響の方が大きいのでしょう。今回使ったのはFA50mmF1.4という、フィルム時代の古いレンズですので、これとの組み合わせでK-7の特徴を語るのもおかしな話しかと思います。

 だってこのレンズ、開放で撮るとこんなことになってしまうのです。球面収差によるフワッとした滲みに加えて背景のボケも酷いものです。いや、滲みに関して言えばソフト効果で、これはこれで面白いのですが、ボケの堅さは何ともしがたいところです。

 いや、いくら開放でもこんなに滲んだっけ?と思ってるところなのですが、最近のカメラとレンズのシャープな絵で等倍拡大するのになれてしまったせいか、あるいはもしかしたらピントも合ってないのかも。そういう意味ではK-7のAFはK-3ほどの信頼性はありません。

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 遠景を絞って撮ればキリッとして何も問題はありません。こういうレンズ面白いですよね。とはいえ、もう少し普通に使えるレンズが良いなぁ、と思っています。K-7用には本当はDA35mm Limitedあたりが欲しいですが、安DA35mmか安DA50mmあたりでもいいかな?などと、また沼の奥から良からぬ声が聞こえてきているところです(^^;

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 K-7のシャッターフィールはK-5ともK-3とも異なります。中身のメカが全く違う設計なのでさもありなん。K-7のシャッターフィールは相変わらず柔らかくてキレがあるK一桁シリーズのそれですが、改めて触ってみるとミラーショックが非常に大きいと感じます

 それまでニコンばかり使ってきた私が、D70sに飽きて手放してしまったきり「一眼レフはもはや要らない」と思って、コンパクト機ばかり使っていたときに、改めて「これ欲しい」と思った一眼レフでした。そして「やっぱり写真は面白い!」と思い直し、今に続く深い沼趣味となっています。

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 ということで、久々のK-7体験で、その時の初心を思い出してみました。これからも忘れないようにしたいと思います。