読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

オリンピック跡地に造られたサーキット:F1 2014 第16戦 ロシアGP

F1

 もう1週間前のことになってしまいましたが、今年初開催となるロシアGPが開催されました。遅くなりましたが一応観戦記を書いておこうと思います。

 韓国GPの代わりにカレンダー入りしたとはいえ、日本GPとの連戦となりました。いかに物流が発達した世の中とはいえ、極東の日本から黒海沿岸でもう少しでヨーロッパというソチへの移動は大変だったことでしょう。

 そうなのです、広大な国土を持つロシアの中でF1クラスのサーキットが作られたのは、冬のオリンピックで有名になったソチ。しかもまさにサーキットはオリンピックが行われたメイン会場に作られました。すでにオリンピック村を開発する際に、F1の誘致が決まっており、それも織り込み済みで建設されたようです。

 近年の新興国レースにありがちな、突貫工事で作られギリギリ間に合った... という感じはありません。そこはさすがに大国ロシアの力なのでしょう。そのコースは例によってティルケ監修ですが、テレビを見ていても特徴的でなかなか面白いですし、ドライバーにもとても評判が良かったそうです。そして雨の鈴鹿とは対照的に、真っ青な空の下で行われたレースは、観客も大いに盛り上がり大成功だったようです。

 政治的には旧西側諸国とぎくしゃくした状態にあるロシアですが、F1は一応スポーツ、あるいはビジネスと言うことでそういったこととは関係なく、予定通り何事もないかのように開催され、しかしながらプーチン大統領が登場するという、カオスな状態でした。

「ロシアでこれほど多くの人が見ているとは知らなかった」 ルイス・ハミルトン/メルセデス

 ロシアGPの初代ウィナーはハミルトンとなりました。ファステスト・ラップは最後の最後にボッタスに持って行かれましたが、予選その他のセッションにおいてもトップを譲ることなく、完全なる勝利。スタート直後の2コーナーで一瞬ロズベルグに前を行かれた以外は、独走となりました。まるで昨年までのベッテルを見てるかのようです。

 レース内容と結果は完璧で、しかもサーキットの雰囲気も良く、最後はプーチン大統領から優勝トロフィーを受け取って、すっかり上機嫌です。ポイントリーダーの地位を着々と固めつつあるわけで、彼の最大の弱点である精神的な不安定さもすっかり影を潜めています。

 こうなると向かうところ敵なしとなり、残り3戦を考えてもチャンピオン獲得の可能性はかなり高まってきたと思います。しかしそこで怖いのは前半戦で散々悩まされ続けたマシントラブル。さらにはベルギーで起きたような偶発的な接触。状況次第ではどちらが今度はブーイングを受ける立場になるかは分かりません。

 2008年のチャンピオン獲得は、アロンソとの確執あり、最終戦でのドタバタありで、今ひとつ私的には印象が良くなかったのですが、今年もしチャンピオン取るならば、このまま綺麗に、最後まで文句ないレース内容で取って欲しいと思います

「あれは不必要なことだった」 ニコ・ロズベルグ/メルセデス

 前半戦は完全にハミルトンを圧倒していたはずなのに、この終盤戦になってみれば17ポイントも差をつけられてしまいました。歯車が狂い始めたのは、ベルギーGPのあの接触以降ではないかと思います。どこかロズベルグに遠慮というか迷いが出てきたような気がします。

 これは焦りとなって今回のスタート直後、2コーナーの不要なハードブレーキングを招きました。ハミルトンの前に出られるかも!という、ごくわずかなチャンスに賭けてしまったのでしょう。結果は失敗に終わり、しかもタイヤにダメージを負って早々に予定外のピットインをせざるを得なくなり、レース戦略は大幅に狂います。というか、もはやハミルトンの前に出る術はなくなってしまいました。

 いや、それでもセーフティーカーが出れば終盤に再度チャレンジできたのかもしれません。確率は50%以上と言われていたセーフティカーは結局出動せず、ロズベルグにとっては辛いレース展開だったはず。それでも50周以上をプライムタイヤで走りきり、しかも最下位から2位まで追い上げたのですから、リカバリーは最大限に出来たのでしょう。

 スタート直後の2コーナーでのチャレンジを思いとどまり、その後予定通りにレースを進めたとしても、結局ハミルトンを抜くことは出来ず、結果は同じ2位だったのかも知れないのですから。

 ロズベルグはチャンピオン獲得に相当執着している様子でしたが、今はどうなのでしょうか? 今年は最終戦でダブルポイントとなるので、チャンピオン争いはそこまでずれ込みそうです。だとすれば今はもうポイント差はあまり問題ではなく、どうやってこの流れを変えるか?だけが彼にとっては重要なことになります。

「ブレーキがひどいオーバーヒートを起こしていた」 小林可夢偉/ケータハム

 このコメントはチームの「公式リリース」に書かれているものです。しかし、彼の肉声によるコメントでは「〜と言うことになっています」という言い方になります。

 小林可夢偉はもうチームへの遠慮もないようで、リタイア直後のインタビューでは「なぜだか分からないが上の方からリタイアしろと言われた」と言い、上の公式リリースを出した後も「本当のところはパーツのマイレージセーブのためのようです」とも言っています。

 それでもチームは「ブレーキのオーバーヒート」と言い張り続けています。が、ブレーキのトラブルが実際にマシンをドライブしているドライバーに感じられず、ピットで分かるなんてバカなことがあるでしょうか。

 アップデートパーツがエリクソンにしか用意されない以前に、レースを走りきることが出来ないマシンしか用意できないのであれば、もはやケータハムはF1に参戦する能力がないと言うことになります。

 チームは明らかに可夢偉をフリーの非正規ドライバーとしか見なしておらず、チームの一員としてともにレースを戦うという姿勢を見せていません。こんな扱いを受けるくらいなら、一人のファンとしては、もうケータハムなんかに乗らないで良いから!って言いたいです。そんなシートはこっちから蹴っ飛ばしてやれ!と。


 次は少し間が開いて2週間後、テキサスで行われるアメリカGPです。F1もいよいよ残すところあと1ヶ月、3戦ですべてが決まります。