酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

退屈なコースではどんなレースも退屈になる:F1 2014 第10戦 ドイツGP

 ドイツGPはいつの頃からか、ニュルブルクリンクとホッケンハイムで交互に開催されるようになりました。さすがはモータースポーツ大国、というよりは自動車大国と言ったところでしょうか。
 しかしドイツGPで問題なのはその両コースとも、どうにも印象が薄いのです。長年F1ファンをやってると、各国各コースの特徴的な部分、風景を覚えてしまうものです。しかしニュルブルクリンクは全く記憶になく、一方でホッケンハイムと言えば、森の中を抜ける旧コースしか思い出しません。

 現代的に生まれ変わるために、ティルケによってリニューアルされた新生ホッケンハイムは、緩く弧を描く高速コーナーからヘアピンへ突き当たる幅広のコースが特徴ですが、それ以外にこれといった特徴のない、実に単調でつまらないレイアウトです。

 そして残念なことに、そんなつまらないコースで行われるレースは、やはり見ていても単調で飽きがくるのです。最後までポジション争いがもつれた、白熱のレース内容だったというのに、これはいったいどうしたことでしょうか。

「ホッケンハイムでの応援に感謝したい」 ニコ・ロズベルグ/メルセデス

 ドイツで暮らしたことはないけれど、ドイツ語をしゃべりドイツ国籍を持つロズベルグですが、前戦シルバーストーンのお返しとばかりに、ドイツのファンの声援を受け、見事なポールtoウィンを飾りました。

 グレーゾーンだったFLICシステムが、ここへ来て急に違法判定される可能性が高まり、今レースからFLICは事実上使えなくなってしまいました。それはF1らしいパドック裏に張り巡らされた陰謀説がまことしやかに囁かれ、すなわちメルセデスの独走を止めるためと言われていましたが、結局FLICがなくてもメルセデスが最速である状況は変わりませんでした。

 ロズベルグはこれで今季4勝目、ハミルトンは5勝していますが、リタイア1回分が効いて再びポイントランキングではギャップを広げました。

 告白しますと、私はシーズン当初、ロズベルグがここまで強いとは思ってもいませんでした。ただの優等生お坊ちゃまドライバーだと思っていましたから。それを言うならハミルトンだって同じかもしれません。

「シルバーストンの続きだったのだろう」 セバスチャン・ベッテル/レッドブル

 現役ドイツ人ドライバーの代表と言えば4年連続チャンピオンを獲得しているベッテルをおいて他にはいません。そのベッテルが今シーズンはダメでも、代わりにロズベルグがトップを行くのですから、ドイツ勢の層の厚さには恐れ入るばかりです。

 このコメントにあるとおり、今回のレースもベッテルはフェラーリとともに多くの時間を過ごしました。コース上で仕掛け、仕掛けられ、そしてピット戦略を弄して前に出たり、出られたり。

 ベッテルとアロンソがライコネンを挟んでの3ワイドのポジション争いは、このコースでしかなかなか起きえない珍しいシーンでした。

 ベッテルは結局今回もアロンソを制した上に、スタートの混乱でとばっちりを受けたリカルドにも久々に勝つことが出来ました。今のレッドブルのマシンとベッテルの相性を考えれば、上出来の結果だったと言えるでしょう。

 ニューウェイによればベッテルは非常に独特のドライビング・スタイルを持っているそうで、現在のレギュレーションでベッテル好みの車を仕上げるのは相当困難なようです。

 彼のキャリアは早くも上がりに達してしまったのか? もしそうでないとするなら、ベッテル自身が適応するしかありません。

「今日のレースには本当に満足している」 ヴァルテリ・ボッタス/ウィリアムズ

 これで3戦連続表彰台に上ったわけですが、予選での強さも考えると、現時点でメルセデスに続く速さを持っているのは、ウィリアムズであることは確定的です。ここ数年、1ポイント獲得に苦労していたことが嘘のようであり、その底力はさすが名門チームと思わせます。

 その名門チームの強さは、ボッタスのような優れたドライバーを見つけてくるところにも表れています。彼がペイドライバーなのかどうかはよく知りません。仮にそうだとしても、持参金付きで速いドライバーなんて、チームからしたら理想的としか言いようがないはずです。

 この調子が本物であるならば、優勝もそう遠いことではないかもしれません。もし今後もカナダのようなことがあるとするなら、何より重要なのはメルセデスの真後ろを走っていることですから。

 そしてそれは大いにあり得る話でもあります。メルセデスは依然としてブレーキにトラブルを抱えていることは、今回の予選でも露呈しましたし、チャンピオン争いが白熱してくると、トップを行く二人はエキサイトしてひょっとするかもしれません。

 今シーズン2回目の「初優勝」を見てみたいものです。

「ハンガリーで頑張ります」 小林可夢偉/ケータハム

 いろいろ悪い噂が小林可夢偉の周りには飛び交っていますが、ダントツに出来の悪いマシンに、ダントツ出来の悪いルノーPUを積み、チームはゴタゴタ続きで資金もないという、三重苦の中、予選でも決勝でもマルシアを確実に一台は押さえ込むこの力がなぜ買われないのか、本当に不思議です。なんとしても鈴鹿までシートに居座って欲しいです。

 頑張れ、可夢偉!

 次回は早くも今週末、夏休み前の最後のレースは低速でオーバーテイクが難しいハンガロリンクで行われるハンガリーGPです。ヨーロッパラウンドも折り返して、シーズン的にも後半戦に入ってきます。