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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

XQ1で撮る真冬の散歩道

 先月末からお借りしているFUJIFILM XQ1ですが、ちょうど良いサイズのコンパクトカメラとして、いつも持ち歩いてことあるたびに写真を撮っています。そういう意味では、私にとってはPENTAX Q7のポジションに相当するカメラなのでですが、曲がりなりにもレンズ交換ができるQ7と、レンズ固定式のXQ1では色々と違うところがあります。しかしカバンの中にすっぽり入って、いつでもどこでも使え、しかも奥深いカメラという点では共通しています。

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1/120sec, F4.9, ISO100, -1EV, AWB, 17.5mm
 一眼レフを持ち出すまでもなくて、しかしスマホのカメラでは飽き足らない、という場面と用途は、写真を趣味としている人には意外にたくさんあるのではないかと思います。XQ1はそんな用途にぴったりな一台です。


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冬の陽と公園

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1/320sec, F2.8, ISO100, -2.33EV, AWB, 8mm
 ふとイメージが頭に浮かんだら、とにかくカメラを向けてみるしかありません。何でも無い植え込みは普通に撮れば何でも無い植え込みなのですが、思い切りマイナス補正してシャドーをつぶしてしまえば、冬の低い太陽が作り出すコントラストの強さが出るような気がして試してみました。Xシリーズは露出補正の専用ダイヤルが用意されてる機種が多いですが、小型のXQ1にはさすがにありません。しかし十字キーから一発で呼び出すことができ、補正量の選択もそのまま十字キーでできるので、このサイズのカメラとしてはその操作性にしやすさは抜群だと思います。

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1/110sec, F4.9, ISO400, AWB, 25.6mm
 鳩が集まっている日陰の一角にカメラを構えながらそっと近づいて行ったのですが、ギリギリのところで一羽を除き逃げられてしまいました。XQ1のシャッターボタンはいわゆる"フェザータッチ"と言うのでしょうか? ものすごくストロークが浅くて軽いので、うっかりすると指を置いただけのつもりなのにシャッターが切れてしまったりします。AFも高速でしかもAF中もライブビュー画面はフリーズしないし、この軽いシャッタータッチと相まって、シャッタータイムラグの短さ、思ったときにすぐシャッターが切れる感覚は非常に独特です。

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1/220sec, F1.8, ISO100, AWB, 6.4mm
 公園のちょっとした木立では紅葉がすっかり終わり、気がつけば茶色い落ち葉の絨毯の上にはドングリが転がっていました。動物目線で思い切りローアングルに。液晶はチルト式ではないですが、このボディサイズなら問題ありません。視野角も十分ありますしフレーミングとピント合わせは何とかなります。距離差が十分ある事に加え、F1.8開放の威力で背景は思い切りボケます。輝度差もあってなかなか難しいシーンですが、ボケ味はともかく階調の豊かさはさすがFUJIFILMですね。

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FUJIFILM XQ1, A MODE, 1/1600sec, F2.8, ISO100, AWB, 6.4mm
 今度は思い切り日向にある花壇へ。秋桜の仲間でしょうか?可憐な淡い色合いの花が咲いていました。ワイド単の開放の明るさに気をよくして、こいつも思い切り近寄って、前ボケと後ボケを楽しもう... と思ったのですが、ここでレンズシャッター式のカメラの罠に。昨年、X20を試用させていただいたときにもこの罠にはまり、もどかしく感じたのですが、開放F1.8に設定してもシャッタースピードが追いつかないのです。
 絞り優先モードの場合、絞りを開けすぎてシャッタースピードが追いつかない場合は、警告が出るもののそのままシャッターは切れます。オーバーの写真が撮れるので、少しずつ絞りながら許容範囲を探していきます。結果、F2.8まで絞り込まざるを得なくなりました。まぁ仕方がありません。こうなるとむしろ、いかにも小型センサーのカメラで撮った感に溢れる写真になってしまいます。

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1/800sec, F8.0, ISO100, AWB, 6.4mm
 強烈な逆光で画面に太陽をわざと入れてしまいましたが、冬の澄んだ青空は健在です。XQ1のワイド端はフルサイズ換算で25mm相当の画角ですが、普通に水平に構えてもこんな位置に太陽が入ってしまうわけで、冬の陽は本当に低いですね。ここまで絞り込めばほぼパンフォーカスですし、本物の光学絞りが付いてるおかげか、綺麗に光芒が出ました。少しゴーストが出ていますが、全体的にクリアでとても抜けが良いレンズです。コンパクト機とは言え、光学系には抜かりはないようです。光芒も含め、地味ながらスマホでは撮れない写真ですよね。

アドバンスドフィルターで遊ぶ

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FUJIFILM XQ1, Filter MODE, 1/950sec, F2.8, ISO100, AWB, 6.4mm,ミニチュア
 アドバンスドフィルターで色々遊んでみました。モードダイヤルを"Filter"に合わせたら、レンズ周囲のコントロールリングを回してフィルターの種類を選びます。もちろんライブビューでリアルタイムにフィルター効果を確認することが出来、ふと思いついたらコントロールリングを回しながら、イメージにぴったり合う効果を探すことができます。この手の機能は"おまけ"になりがちですが、スマートホンのフィルター系のアプリで遊ぶことに慣れてきたせいか、最近はわりと本気に使える機能に昇格してきたと思います。特にこのサイズのカメラならなおさら。設定と操作が簡単で直感的なこのXQ1は、フィルターで遊ぶのにも最適なカメラだと思います。ダイヤル一発でどのモードからでもフィルターモードには入れるQ7の次くらいに。

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FUJIFILM XQ1, Filter MODE, 1/160sec, F4.9, ISO160, -1EV, AWB, 6.4mm,パートカラー(グリーン)
 パートカラーは一部の色だけ残し、他はモノクロ化してしまうフィルターです。パープル、ブルー、グリーン、イエロー、オレンジ、レッドの6色が選べます。上のカットはトップに貼った写真と同じ場所で撮ったもの。面白いフィルターですが、自然界は無限の色で構成されているので、ピタッと合うシーンは中々見つかりませんが、上手く決まると面白いです。
 Filterモードではもちろんほとんどの撮影パラメータはいじれなくなりますが、露出補正は普通に出来たりします。

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FUJIFILM XQ1, Filter MODE, 1/850sec, F2.5, ISO100, AWB, 6.4mm,ダイナミックトーン
 ダイナミックトーンはHDR系のとても効果がわかりやすく、何でも見栄えを良くしてしまう面白いフィルターです。むらいさちさんのXQ1セミナーでは、どんより曇り空の冴えない風景に使うと良い、と教えてもらいましたが、今回は敢えて普通に撮ってもダイナミックなシーンをさらに強調してみました。ザラザラしたテクスチャはノイズが浮いてきたのではなくて、わざと加えてるんでしょうか?

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FUJIFILM XQ1, Filter MODE, 1/160sec, F1.8, ISO125, AWB, 6.4mm,トイカメラ
 そしてこれもまた人気のトイカメラ風。色が転んで激しく周辺減光します。これはダイナミックトーンとは真逆の方向で何でも面白い絵にしてしまいます。ちなみにアスペクト比を変えて、例えば1:1にしても周辺減光はそれに合わせてかかるようになっています。ちなみにこのカットは4:3で撮ったあとで3:2にトリミングしてしまったので、正しい効果を現したものではありません。

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FUJIFILM XQ1, Adv MODE, 1/125sec, F2.5, ISO200, AWB, 7.4mm,120°パノラマ
 アドバンスドフィルターとは別に、モードダイヤルには"Adv"というポジションがあります。これはパノラマ、ぼかしコントロール、多重露光、連写重ね撮りという特殊撮影モードを選ぶもの。これらの特殊撮影機能は数年前からFinepixでサポートされていたものなので、私を含む従来からのユーザーには分かるのですが、Advという名前を含め、アドバンスドフィルターと区別されている理由は今ひとつわかりにくいところ。敢えて言えばこれらAdvモードでサポートされる特殊撮影は、結果をライブビューで見ながら撮ることが出来ない性格のものばかりです。
 で、上に貼ったのは「ぐるっとパノラマ」で撮ったものです。カメラを縦位置に構えるようにして水平に120°振りました。その他、180°と360°にも設定できますし、もちろん垂直方向に振ることも出来ます。このモードで一番難しいのは振り方はもちろんですが、スタート時点で露出が固定されるので、撮影範囲内の輝度差が大きいと、白飛びや黒つぶれが発生しやすいことです。

高感度、スローシャッター

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FUJIFILM XQ1, A MODE, 1/10sec, F5.6, ISO800, AWB, 6.4mm
 さて、Xシリーズと言えば高感度性能です。APS-CサイズのX-Trans CMOSセンサーは飛び抜けた高感度性能を持っていますが、2/3インチとなるとどうでしょうか? 流石にAPS-CのようにISO1600あたりまで名にも考えずに使える、とはいきませんが、小型センサーのコンパクト機としてはやはり頭一つ飛び抜けていると思います。1/1.7インチ裏面照射のQ7よりは確実に1段は強いと思います。
 上のカットは、夜の駅で撮ったもの。電車をぶらそうと低速シャッターを切るのにとっさにAモードにして絞りで調節してしまうのは、単なるいつもの癖です。もちろんシャッター速度優先にすればもっと簡単ですし、プログラムモードのままコントロールリングを回してプログラムシフトしても構いません(しかしISOやダイナミックレンジをAUTOにしてると、なぜかプログラムシフトは出来ません)。いずれにしても、しかしこうした非常に基本的な撮影パラメータをすぐに思い通りにいじれるあたりが、Xシリーズたる所以でしょう。

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1sec, F3.6, ISO400, AWB, 9.7mm
 地下鉄のトンネル。ホーム端の柵の手すりに置いてシャッターを切りました。ISO400なので高感度と言うほどではありませんが、当然このくらいは何ともありません。この写真がやや眠いのはわずかなブレによるものだと思います。ISO3200くらいにしても手ぶれが完全に押さえ込めるほどのシャッター速度は稼げなかったので諦めました。しかしこのくらい薄暗くなるとAFがかなり妖しくなってきます。そして、右上に強い光源がありますが、ゴーストは出ていません。

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1/15sec, F1.8, ISO800, AWB, 6.4mm
 とあるバーのテーブルで。寒い冬の夜は温かい飲み物が欲しいですよね。ということで、これはホットギネスという一風変わった飲み物です。あの黒ビールの王様、GUINNESSを暖めたもの。シナモンで味付けしてあるあたりはホットワイン風です。
 照明の薄暗いバーで、テーブルには小さなろうそくの明かりがあるだけ。当然高感度が必要になるかと思えば... F1.8効果でそれほど感度は上がりません。ISO AUTOを使っているのですが、APS-Cサイズのセンサーを積むXマウント機はやたらに感度を上げる傾向があったと記憶していますが、このXQ1はできる限り低感度で粘る設定です。いくら高感度に比較的強いといっても2/3インチですので、これのほうが感覚的にも実用上も理にかなっていると思います。

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1/25sec, F4.9, ISO1600, AWB, 25.6mm
 グラスの向こうからじっとこちらを見ているのは友人宅の愛犬、フレンチブルドッグ。望遠側でレンズのF値が暗くなると、低感度で粘るわけにいかなくなります。このカットでISO1600。やはりそれなりにノイズっぽくて、NRの痕跡が伺え、コントラストも下がり気味。いかにも高感度な写真になってきます。でもまぁ、ISO1600はまだまだ十分に使える範囲でしょう。

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FUJIFILM XQ1, P MODE, 1/30sec, F4.9, ISO1250, -1EV, AWB, 18.9mm
 明暗差がハッキリあってシャドーが潰れてしまえば(実際のところこのカットのシャドーは潰れているわけではありませんが)ノイズもNRも気になりません。

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FUJIFILM XQ1, A MODE, 10sec, F4.0, ISO100, AWB, 6.4mm
 K-3で東京ゲートブリッジを撮りに行った時にはXQ1も一緒に持って行きました。そしてついでにXQ1も三脚に据え付けてスローシャッターを切ってみました。これまたいつもの癖で絞り優先を使ってしまいました。まぁ、その方が感覚的になれているので仕方ありません。シャッター速度優先モードにすると最長30秒まで設定可能です。

 ということで、この年末年始に撮りためていたXQ1で撮った写真をピックアップしてみました。こうしてみると、本当にいろんなことができて、多才なカメラだなと実感します。しかも覚えてしまえばそれらの多様な機能は簡単な操作で切り替えできて色々試してみることが出来ます。さらに設定状態をつかみやすく、以前の設定を解除し忘れて変な状態でとり続けていた、という失敗もありません。
 また、今回は紹介しませんでしたが、スマートホンやタブレットとのWi-Fi接続機能も非常に便利で、スマートホントの親和性も非常に高いです。マクロとF1.8が使えるのがワイド端のみ、しかもシャッター速度の連動範囲が狭い、というのが大きな欠点ですが、それさえ受け入れてしまえば、カバンに常に入れておく普段使いのカメラとしては完璧ではないかと思えてきました。

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 成り立ちはかなり違いますし、この2台を比べるのはフェアではないこと重々承知していますが、私にしてみればPENTAX Q7の代わりになり得る一台だとも思います。色々フィルターをかけて遊んだりしてしまったり、シャッターや絞りをいじって「写真を撮る」行為そのものを楽しめるあたりの感覚はまさに同じ。ただレンズ交換式か固定式かの違いだけ。Q7は魚眼など面白いレンズに交換できる代わりに、XQ1はそのままで100mmまでの望遠が使えますし、沈胴式で使わないときはコンパクトです。...と言う意味では、逆になにかもう一つ一芸があればなぁ、と思ってしまうところ。

 ただし、なにか手応えがあるコンパクトカメラが欲しい、という向きにはぴったりなのは間違いありません。正直なところ、これまで使ったことのあるXシリーズの中では、X-Pro1、X-S1と並んで欲しいと思える一台です。