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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2013年F1第12戦 イタリアGP

F1

 F1の夏休みが明けたのは2週間前、スパ・フランコルシャンで行われた第11戦のベルギーGPもちゃんとテレビで観戦したのですが、いろいろあって観戦記が書けないまま、この日曜日には早くも第12戦イタリアGPが開催されました。スパはとても見応えのあるコースで大好きなのですが、残念ながら昨年もベルギーGPの観戦記は書けずじまいだったので、これで2年連続となってしまいました。ですが、気を取り直して久々のF1観戦記です。
 伝統のイタリアGPの舞台はもちろんモンツァ。今年の第12戦にしてヨーロッパラウンドの最終戦です。モンツァは私が先週まで訪れていたミラノからほど近く、金曜日以降はミラノ市内もF1色がそこらに見られ始め、私の宿泊していたホテルも、F1特別料金で金曜日の部屋代がそれまでの2.5倍に跳ね上がりました。そのホテルにはもちろんF1を見に来たと思われるお客さんがたくさんいました。彼ら彼女らを羨ましく思いつつ、モンツァ上空を飛んで日本に戻り、決勝はいつも通りテレビで観戦です。

 レースは微妙な天候の下で行われました。ミラノ市内はそんなに天気悪かった記憶はないのですが、結局のところ雨は降らずドライのレース。去年同様シーズン終盤になって、各チームともタイヤの使いこなしができるようになってきたためか、前半戦のようにタイヤがすべてを支配するようには見えません。超高速サーキット、モンツァの様子はそのクラシックなコースと同様に、昔から変わらないエンジンとブレーキとドライバー、そして作戦が支配する当たり前のわかりやすい、見応えあるレースが展開します。

「このイベントでまた優勝ができたのは素晴らしい」 セバスチャン・ベッテル/レッドブル

 ベッテルにとっては3回目のイタリアGP優勝ですが、一番印象にあるのは2008年のレース。ウェット・コンディションの中で行われたレースでしたが、弱小トロロッソで完璧なポール to ウィンを飾りました。その後ベッテルの黄金期はここから始まります。
 最近レッドブルにとって目の上のたんこぶになっていたメルセデス勢が予選で振るわなかったおかげで、余裕のポール奪取。ほとんど敵はいないかのようでした。スタートも決めるとそのままレースも独走パターンに持ち込みました。唯一の失敗と言えばスタート直後、1コーナーの進入でタイヤをロックさせてしまったこと。冷えたタイヤに冷えた路面で少し無理をしたのでしょう。しかし事なきを得ました。
 あとは終盤、ウェバーの車と同様にレッドブルのギアボックスに訪れたトラブル。詳細は分かりませんが、ピットからはショートシフトをしきりに命じます。幸いベッテルには十分なギャップがあり、ペースを調整する余裕もありました。
 これでベルギーに続いて2連勝、今季6勝目。ポイントランキングでは2位に50ポイント以上の差を付け、いよいよ結末が見えてきた感じです。こうしてみると、ベッテルにとっては過去3年と比べると、いつになく順調なシーズンとなりつつあります。

「ここはチームに対するファンの愛をすべて感じられる場所だ」 フェルナンド・アロンソ/フェラーリ

 モンツァと言えばフェラーリの地元。熱烈なフェラーリファン、ティフォシがスタンドを埋める独特の雰囲気のレースです。ですのでこのレースは象徴的な意味では当然フェラーリのためのレースであり、それはとりもなおさずアロンソのためのレースでした。しかしここ最近の不調というか、レッドブルに全く届かない状況は改善せず、予選でも思ったほど振るいませんでした。ただフェラーリもメルセデスの不調に助けられたと言えるでしょう。いずれにしてもそろそろチャンピオン争いも大詰めを迎え、アロンソも苛立ちを見せるようになってきています。
 そういう状況であまり良い感じで迎えたとは言えないホームレースでしたが、結果的にはそれなりに盛り上がり、チームもアロンソもティフォシも最低限納得できるレースになったと思われます。スタートを決め、自力でウェバーを抜き去り、マッサのサポートを受けて手に入れた2位。その後ウェバーの猛攻に耐えるだけでなく、ピットイン前後でプッシュをかけるなど、結果的に歯が立たなかったながらも、できるだけのチャレンジをした結果と言えそうです。
 チャンピオン獲得は当然まだ最後まで諦めない、という優等生なコメントを残していますが、12戦を終えて50ポイント以上の差は、当たり前に行けばまず埋まることはなさそうです。せめてその可能性を最終戦もブラジルまで持ち越すくらいの、アロンソの意地を見てみたいものです。

「残念ながらあのようなスタートのあとでは、僕らにできることはあまりない」 キミ・ライコネン/ロータス

 一時は2位を押さえていたポイントランキングは、夏休み明けの2戦でノーポイントが続き、4位まで落ちてしまいました。ベッテルとの差は90ポイント近く、チャンピオンの可能性はほぼ消えたと言えそうです。前戦のベルギーではブレーキにトラブルを抱え、そしてここモンツァではスタート時のアクシデントに巻き込まれてしまいました。ブレーキミスと言うよりは、その前に誰かにコース外に押し出されたのが原因かもしれません。しかしいずれにしてもレーシング・アクシデントです。
 連続ポイント獲得記録も既に途切れているなか、最下位に落ちてからも諦めることなく猛追を見せた気迫は流石にレーシング・ドライバーです。終盤はメルセデス、マクラーレンと入り乱れて10位争いを見せていました。あまりロータス向きとは思えないこのサーキットで、しかもタイヤ戦略に差が出せない中で、純粋にスピードだけで戦ったレースとしては、そこそこ内容は良かったのかもしれません。ただし結局は11位に終わりポイントも獲得できず、結果は得られませんでした。
 来季へ向けてのストーブリーグが早くも始まっていますが、ライコネンはどうするのでしょうか?チャンピオンが狙えるトップチームのシートは限られています。レッドブルは既に満席となりました。厳格なナンバーワン、ナンバーツー規定を持つフェラーリというのも考えにくいと個人的には思っています。今回も素直に道を譲ったマッサの役目をキミがするとは考えられませんし、そんな姿は見たくありません。しかしロータスでできることも限られていそうです。

 次のレースは2週間後、いよいよ終盤のアジア・フライアウェイ戦が始まります。まずはシンガポールから。あの美しいナイトレースが今年も行われます。市街地コースでありストップアンドゴーのコース特性は、ここモンツァとはがらりと変わります。レッドブルとフェラーリの関係はどうなるのか、メルセデスは再び上位に戻ってくるのか、見所はたくさんあります。