酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

Q7でハードモノクロームを使いつつ理想のカメラについて考える

 無理矢理タイトルをつけてみましたが、実はあまり意味はありません。PENTAX Q7を使い始めて1ヶ月が経ったのでその感想と、Q/Q7のスマートエフェクトの中で「ハードモノクローム」がとても面白いよ、という話と、最近いろんな新しいカメラを見ていて思う「ぼくのかんがえたさいきょうのかめら」をちょっとまとめてみたくなりました。

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PENTAX Q7, 02 STANDARD ZOOM, 1/2000sec, F5.6, ISO200, -0.3EV, ハードモノクローム
 ということで、以下写真は全てQまたはQ7で「ハードモノクローム」に設定して撮ったものばかりです。本文と特に関係はありません。

PENTAX Q7の使い心地

 さてまずはQ7です。いきなり結論を言ってしまうと、このカメラは「Qマウント初号機としての完成形」だと思います。

 最新の1/1.7インチ裏面照射CMOSセンサーを積んだこのカメラ、初代Qと比べると画質の差は圧倒的ですし、動作もいちいち軽快になりました。AFの精度もスピードもまたく問題ありません。レンズとのマッチングも含め、これこそが本来の"Q"の姿ではないかと思います。初代Qの登場から約2年掛けてこういう正常進化な製品を出してきたというところに、それが表れているように思えます。ちょうどK-5IIがK-7以来の「プレミアムスモール」路線の完成形であるように。

 こんなに小さいのに本格的なシステムカメラである一方で「写真で遊べる」というところがQ7の、というよりはQマウント機の最大の特徴です。「一眼レフのサブカメラ用途として」とか、「コンパクトカメラに飽き足らなくなった人向けの入門一眼カメラ」みたいな、メーカー自身が言うような志の低さは、実機からは感じられません。

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PENTAX Q7, 02 STANDARD ZOOM, 1/250sec, F5.6, ISO100, ハードモノクローム
 Qシリーズはレンズが交換できることから「一眼」とか「ミラーレス」とかに分類されがちですが、決して一眼レフカメラの代わりにはならないし、他にたくさんあるミラーレス機と比べるのもしっくり来ません。むしろ高級コンパクト機と言われるカメラと近いように思います。でも、それらだって最近は大型センサーへとシフトしつつあり、写真に真面目に向き合う硬派なカメラばかりになりつつあります。その流れが加速すると早晩、Qマウント機は他に比べられるもののない、唯一無二のカメラになるかもしれません。

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PENTAX Q7, 02 STANDARD ZOOM, 1/40sec, F2.8, ISO250, ハードモノクローム
 豆粒センサーだけどレンズを変えれば明るい単焦点レンズを積んだ硬派なカメラにもなるし、普通のズーム機にもなるし、本格的な望遠だって使えます。高感度だってそこそこいけるし、強力な手ぶれ補正だって入っていて、普通に撮ればそこらのミラーレス機に負けないくらいしっかりした「写真」を撮ることができます。だから「写真を撮る」という意味では、大型センサーを積んだ他の高級コンパクト機には負けていません。こんなに小さいのにちゃんと「カメラ」しているのです。

 その一方で魚眼をはじめとした変なレンズとスマートエフェクトでトイカメラ風に遊ぶこともできます。遊ぶと言えば、マウントアダプター使って超望遠ごっこもできたりして、硬派で真面目なカメラでありながら、レンズを変えてちょっとダイヤルを回したら、簡単に写真を崩して遊べるのです。ミニチュアサイズでも本気で作られてるだけに、そうした遊びもある意味本格的です。そんなQシリーズのコンセプトを代表するカメラとして、Q7はほぼ完成形に近いのではないかと思います(もうこれ以上先がないという意味ではなく)。

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PENTAX Q7, 01 STANDARD PRIME, 1/4sec, F1.9, ISO1600, ハードモノクローム
 とても気に入っているQ7ですが、もう少し電池の持ちが良くなって、背面液晶の解像度をせめて世間並みの96万画素にして、さらに欲を言えばGPSが搭載され、防塵防滴になると私的には完璧かと思います。金属外装については、確かに多分そうなったらそうなったで嬉しいでしょうが、このままでも良いかなと思っています。

 でもまぁ、そういう既存ユーザーの声を聞いているだけでは、この世界で生き残ってはいけないでしょうから、次の新製品には私の想像の斜め上を行くようなあっと驚くものを期待したいと思います。そもそも、このQシステムの登場自体が私の想像だにしないものだったのですから。

ハードモノクロームが面白い

 さて、そんなQ7で最近特に気に入って使っているのが「ハードモノクローム」です。

 モノクロの超ハイコントラスト仕上げで、グレーの階調なんて無視し、どっちかというとローキー気味で黒と白だけで記録されたかのようなある意味ビビッドな写真ができあがります。これ、決してQ7にしかない特徴的な機能というわけでなく、似たような機能を持つカメラは多いことでしょう。現像処理で同じように仕上げることだってできるでしょうし、それこそスマートホンの得意分野でもあります。

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PENTAX Q, 06 TELEPHOTO ZOOM, 1/500sec, F4, ISO200, ハードモノクローム
 でもダイヤル一つでこのモードに設定できるQ7では、真面目に写真を撮ろうとしているその場で、ふと思いついたらいつでもハードなモノクロ写真を撮ることができます。とりあえず撮っておくか、というやる気のなさでもOK。言い訳ではなく「写真遊び」の一環でできてしまうのです。

 以前、GRDIIを使っていた時に一度モノクロモードにはまったことがありましたし、FUJIFILMのX-Pro1を試用したときもモノクロモードがなんだか気に入って使ってみたりもしました。これらのカメラのモノクロモードは彩度をゼロにしただけではないと思いますが、いわゆる普通のモノクロ写真になります。それはそれで撮るのはとても難しいものです。

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PENTAX Q7, 02 STANDARD ZOOM, 1/1250sec, F4.5, ISO200, ハードモノクローム
 それこそどんなカメラでもモノクロモードにはできるわけですが、なぜか一眼レフでやる気にはなりません。やはりカメラ全体が醸し出す雰囲気というものがあるのではないかと思います。単なる思い込み、刷り込みであるにせよ。そういう意味ではGRDIIやX-Pro1は正統なモノクロ写真を撮る気にさせる雰囲気があったと思います。特にX-Pro1の作り出すモノクロ写真は、私のようなど素人の目にも何とも言えぬ美しさが感じられました。

 Q7ではそうではなくて、ちょっと崩した遊び写真としてのモノクロを撮る気にさせてくれます。印象的で何もかもが珍しく見え、何でもないものが急に「写真」に見えてくるような気がします。そういうのは遊びだとしてもありなんだろうと思うことにしています。

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PENTAX Q, 02 STANDARD ZOOM, 1/1250sec, F5.6, ISO250, ハードモノクローム
 いや、ちょっといろんな意味で後ろめたい気がしてくるのは事実で、これって邪道だよな、と心のどこかで思っています。だってあまりにも簡単に、面白い新鮮な写真が撮れてしまうから。なので撮りためていた写真をここぞとばかりにこのエントリーに貼りまくっています。

 このモードはカスタムイメージではなくて、スマートエフェクトによるもの(この辺の違いはPENTAXユーザーにしか分からないと思いますが)ですので、パラメータの微調整はできず、強と弱の二段階のみ。何が変わるかと言えばコントラストの強さです。ちなみに私は大抵の場合「弱」で撮っています。

 Q7には他にも面白いエフェクトがたくさんあるわけで、何が気に入るか、何がぴったりくるかは、人それぞれ、状況次第かもしれません。だとするとフロントダイヤルは現在の4ポジションと言わず、もっとたくさん設定できれば良いのに、と思います。

(私的)理想のカメラとは何か?

 で、この流れでなぜこういうお題になるのかというと、これだけQ7をべた褒めしてきて、自分でも不思議なことにこのカメラは私の理想とするカメラにはほど遠いことに気づいてしまったからなのです。そこでとりあえず、私的理想のカメラというのを書いて立場を明確にしておこうと思います。かなり偏った内容になっていると思いますので、ご了承ください。

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PENTAX Q, 06 TELEPHOTO ZOOM, 1/6400sec, F2.8, ISO200, ハードモノクローム
 デジタルカメラにとってはセンサーや画像処理エンジンや、そしてもちろんレンズ性能は言うまでもなく重要なわけですが、それらは一定レベルをクリアしているという前提で、私的に理想とするカメラは「光学ファインダーが付いていて、アスペクト比が3:2で、なるべくボディが小さなレンズ交換式カメラ。AFは方式問わず画面一面にAFポイントがあって動体対応。電池は1000枚くらい持って2ダイヤル式、もしくは絞りリング付き。防塵防滴でWiFiとGPSが付いていたらなお嬉しい。」です。以下もう少し詳しく書きますと...

 光学ファインダーはやはり一眼レフが理想的ですが、ミラーレスだったらブライトフレーム式のビューファインダーが欲しいです。光学ファインダーがしっかりしていればライブビューとかバリアングルとか要りません。私がファインダー(ライブビューだって立派なファインダーですよね?)に求めるのは、仕上がり予測ではなく被写体のありのままの姿だと思っています。
 もちろんライブビューはついていても害はありませんが、バリアングルとかチルト機能は正直言って邪魔だと思っています。いっさい出っ張りがなく動きをロックできるならまだ良いですけど。視線と光軸がずれるというのは気持ち悪いことこの上ありません。
 光学ファインダーの代わりにEVFもないよりはましですが、最近の200万画素越えのパネルを使ったものでも、やはり残念な気持ちになってしまいます。

 ちなみに私のライブビュー嫌いは老眼が進んできていることも大きな理由の一つです。3インチ程度のあの画面、手元の自然な距離では霞んでほとんど見えません。かといって腕を伸ばしてしまうとフレーミングも定まりません。眼鏡だったら外せばいいのですが、その場合被写体が見えなくなりますし、コンタクトしてたらもうどうにもなりません。光学ファインダー(とおそらくEVFも)はスクリーンにしろ、フレームにしろ、視距離は1m程度あるので問題ありません。

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PENTAX Q7, 01 STANDARD PRIME, 1/60sec, F1.9, ISO1250, ハードモノクローム
 センサーサイズは大きい方が良いに決まってますが、ボディサイズとの絡みで言えばAPS-Cって結構バランスの良いところじゃないかなと思っています。フルサイズが小さくなるなら、APS-Cはもっと小さくできるよね、と思いますし。
 画素数はあんまり気にしていませんが、私は気軽に後からトリミングする方なので、そろそろ20Mくらいは当たり前じゃない?と思っています。最近何かと話題のローパスフィルターはベイヤーセンサーなら「付いてるべき」と思いますが、D800やK-5IIみたいにどっちか選べと言われたら無しを選んでしまうかも(^^;

 ちなみにアスペクト比については35mmフルサイズ、APS-CやニコンのCXフォーマットは3:2ですが、小型のコンデジ用センサーやフォーサーズ系は4:3なのが残念なところ。Q7のセンサーは4:3で12Mピクセルですが、私は3:2の10Mピクセルに設定して使っています。上下0.2Mピクセル程画素を捨ててますし、レンズの画角も狭くなっています。これ、勿体ないですよね。 

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PENTAX Q, 02 STANDARD ZOOM, 1/50sec, F2.8, ISO400, ハードモノクローム
 操作系については、2ダイヤルと言うよりも絞りをどうやって操作するのかが重要です。私は基本的に絞り優先しか使いませんので。その場合、やはり絞りリングって非常に理にかなったインタフェースだと思います。残念ながらもう絶滅しそうですけど。絞りリングに変わって最近のカメラは背面にダイヤルが付くようになりましたので、それで妥協するしかありません。もしボタンだったりしたら、その時点でもうダメです。

 積極的に悪天候のなかカメラを持ち出すことはありませんが、何度かK-7とK-5の防滴性能には助けられたことがあり、それ以来防塵防滴信奉者になりました。Q7もある程度防滴性能があればスキーに持ち出せるのに、と思っています。

 とまぁ、色々考えていくとKマウントの一眼レフ機はそれなりに私の考える理想に近いことになります。AFとか全然ダメですけど。一方でこれはいわゆる普通のミラーレス機に興味がわかない理由でもあります。いえ「それだったらX-Pro1しかないだろ!」なのですが、とりあえずX-Pro2を見てみたいと思っています。XマウントもX-M1みたいな私の嫌いなタイプのカメラが出てきて今後どうなっていくのか心配ですけど。

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PENTAX Q, 02 STANDARD ZOOM, 1/60sec, F2.8, ISO200, ハードモノクローム
 Q7はほとんどの条件から外れるのですが、むしろ外れすぎていて私はやっぱりQ7を本気で使っていないのかもしれません。液晶が見えなくても構わずシャッター切ってしまいますし、だからこそ気軽にダイヤル回してハードモノクロームとか撮ってしまうのでしょうか。肩肘張らずに自然に撮れるってのも一つのカメラの性能だとは思います。

 少なくともQ7を「一眼」(ってなんぞや?というのはさておき)とは思ってませんし「ミラーレスカメラ」(ってなんぞや?と言うのもさておき)とも思っていません。先にも書いたとおり「コンパクトカメラ」と言うのが一番近いと思います。そういう意味では「理想のコンパクトカメラ」と言えば一番しっくりくるような気がします。

 なんだかまとまりのないエントリーになってしまいました。特に最後のパートは異論反論あるかもしれませんが、勝手なこと言って先に謝っておきます。スミマセン。