酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

K-30の使い心地

 ふと気がつけばK-30を手に入れてから早くも半年が経っています。発売されたのは1年前のことですし、来月にはK-50が発売されるという噂なども出てきています。ということで、もうすっかり旬は過ぎ去っていますが、ここらで一つ、長期使用レビューをまとめておこうと思います。
 で、いきなり結論から書きますと、このカメラは「最高」です。K-5のサブとしてというよりは、ほとんどの場合K-5の代わりになり得ます。

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 それはスペックを見ても明らかなのですが、実使用感も含めとてもエントリー機とは思えない出来映え。その実力を知ってしまうと、最初はどうかと思っていたこの個性的な外装も格好良く思えてきました。いや、格好良いですよね、これ(^^;

K-5と同じところ

 スペック上、K-5(無印)との差異はそれほど多くありません。なんと言ってもK-30が優れている一番のポイントはファインダーです。ガラスプリズムを使用した視野率100%のファインダーは、その見え具合や撮影情報表示を含めてK-5と全く同じ。ファインダーを覗いているかぎり差異が分かりません。もちろんAFポイントのスーパーインポーズも付いています。

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PENTAX K-30, FA77mm F1.8 Limited, 1/25sec, F2.0, ISO800, -0.7EV, AWB
 次に大きなポイントと言えるのは、前後に取り付けられた電子ダイヤル。背面のボタン配置と機能割り振りは実はK-5とかなり違っています。しかしそれにも関わらず、同時使用していてもそれほど違和感を感じないのは、このデュアルダイヤル操作系のおかげと思います。これによってPENTAX独自のハイパー操作系もほぼ完璧に使用でき、どのモードで使っていても露出コントロールは自由自在です。

 さらにK-30はK-5と同じ防塵防滴ボディとなっています。その恩恵にあずかることはそれほど多くありませんが、多少の雨や雪でも大丈夫と分かっていれば、これほど心強いことはありません。そしてもう一つ上げておきたいのが電子水準器。水平およびあおり方向の水準器が内蔵されており、これによる自動水平補正もサポートされています。これも私的には重要な部分です。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/200sec, F5.6, ISO100, AWB
 センサーはAPS-Cの16.2Mピクセル、SAFOX IXi+センサーによるオートフォーカス、ボディ内手ぶれ補正に、3インチ92万画素の背面LCD、その他カスタムイメージやファインシャープネスなどなど、ほとんどの機構や撮影機能はK-5相当となっているとても優れもののカメラです。

K-5に及ばないところ

 外装がプラスチックだったり、上面のサブ液晶表示がなかったりするわけですが、K-5と比べて一番違うと感じるのはシャッターフィールです。シャッターやミラー、絞りの駆動メカがK-5系とは違っており、K-r譲りとなっているためと思われます。K-5は「シャコッ」と言った感じのかなり上品なシャッターフィールですが、K-30は「バシャッ」っと言う感じで割と賑やか。しかしキレがあって悪くありません。タイムラグや振動、ミラーのバウンスと言った面でもそれほどネガティブな感じはありません。これでも最高で6コマ/秒の連写ができてしまうのです。

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 その他シャッタースピードの最高速度が1/6,000secまでと中途半端だったり、最低感度がISO100、最高感度がISO25600までだったり、RAWが12ビット記録だったり、JPEGも超低圧縮なプレミアムモードがサポートされていなかったりしますが、それらは実使用上はどうでも良かったりします。

 それよりも一番残念に感じるのはセンサーのゴミ取り機能。超音波振動式のDR IIではなく、センサー振動式のDR Iなのです。過去にK-xを使っていたときの記憶からすると効果はかなりイマイチ。しかしK-30ではこれまでのところ、写真に写り込むようなゴミが取り切れなかったのは1回だけ。ただし、それもブロアで吹けば取れました。SPコートは気休めではなく結構役に立っていると思います。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/60sec, F3.5, ISO200, 銀残し
 さらにセンサーのゴミ関係ではもう一つ、驚いたことにダストアラート機能もサポートされていないのはどうしたことでしょう? 確かK-xでもできたはずなのに。使い方が難しいという面があったかもしれませんが、ゴミの状態を確認するにはとても便利な機能だったのでこれは残念です。

 それから些細なことなのですが複数台のPENTAX機を使っていると地味に効いてくるのがファイルネーム。4桁連番の頭に付く4文字を変更することができません。PENTAXのカメラばかり使っていると、そろそろファイル名の重複が目立ってくるようになりました。そうでなくてもファイル名から撮影したカメラを判別できると整理する上で便利だったりするのですが、K-30では"IMGP"で固定となっています。ついでに言うとQもできません。なので現在はK-5だけ変更しています。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/200sec, F5.6, ISO200, AWB
 なお専用のリチウムイオン電池DL-I109は容量が1050mAhとK-5用のDL-I90と比べると2/3程度。その分電池の持ちは悪くなっています。感覚的には500カットくらいが限界でしょう。別売りホルダーを買えば単三形の電池が使え、その場合撮影可能枚数はもっと伸びるようですが、重たくなるので使いません。なんだかんだで予備のリチウムイオン電池を買わないままできてしまいましたが、そろそろ買っておこうと思います。

K-5に勝るところ

 2年分の技術進歩のおかげで、クラス下のK-30の方が優れている部分もいくつかあります。まずはなんと言ってもライブビュー時のAF。ミラーレス機では当たり前のコントラストAFが、K-30でもほとんど同じ感覚で当たり前に動くようになっています。しかし私はライブビューで写真を撮ることはまずないので、実はどうでもいい部分だったりします。

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 どうでもいい機能と言えば動画。詳しくは見ていませんが、多分K-30のほうが優れているはずです。H.264だったりFull HDの30fps記録ができたり、動画撮影中にAFすることもK-30なら可能なようです。

 それよりもい実使用上で恩恵を最も感じる改善点と言えば、まずはレンズ収差補正の速度です。ダイナミックレンジ補正はK-5でも一瞬で終わっていましたが、歪曲補正と色収差補正は2〜3秒ほど計算時間がかかっており、かなりのんびりした撮影時じゃないと実用に耐えませんでした。それがK-30ではほとんど一瞬、無意識のうちに終わるようになっています。それでもCPUへの負荷はゼロではないので、これらの補正をONした状態では連写はかなり制限されます。

 とはいえ、多くの単焦点レンズでは、効果という点でも味をそぐという意味でも、あまりデジタル収差補正を利用する価値はありません。しかしDA18-135mmのような高倍率ズームなど、やや設計的に無理をしているようなレンズではその効果は絶大です。特に歪曲が補正されるのはとても気持ちいいものです。なのでDA18-135mmは今やK-30専用レンズにしています。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/60sec, F4.5, ISO200, AWB
 そしてもう一点はオートフォーカス。9点クロスの計11ポイントのセンサーは変わっていませんが、少しずつ性能アップしているように思います。5ポイントオートや、動体自動検知のオートモードなどはおまけ程度としても、選択ポイントだけでなく周辺のセンサー情報も補助に利用するセレクトエリア拡大AFは、PENTAXが特に弱いとされていた動体撮影には非常に効きそうです。なので今年のF1日本GPにはK-30を持って行こうと思っています。

K-5との画質の差

 「画質」という言葉はあまり好きではないのですが、便宜上こう書くしかありません。センサーは解像度こそ16.2MピクセルとK-5とほとんど同じですが、センサー自体は違うもののようですし、画像エンジンもK-5はPRIME II、K-30はPRIME Mと違っています。しかしながらカスタムイメージの味付けなど含め、撮れる写真はほとんど同じと言えます。ホワイトバランスやJPEGの色味の味付け、コントラスト感などなど、PENTAXの一眼レフ機としてしっかり統一されており、混在使用しても感覚的に問題ありません。これもまた複数台使用する上では重要なポイントだと思います。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/400sec, F5.6, ISO200, +0.7EV, AWB
 ただし、少しだけ差を感じるとすれば、まずはノイズの出方。どちらも基本的にNR AUTOしか使っていませんが、K-30もK-5並に高感度に強いことは間違いないものの、時と場合によってK-30では「何でこんなにノイズになるんだろう?」と思うこともあれば、「ISO3200とは思えない!」という絵が撮れるときもあって、その傾向をややつかみあぐねています。いずれにしてもISO800は安心、ISO1600も十分行けるし、必要ならISO6400も使えるという高感度性能はK-5とほぼ同様でAPS-C機としては十分と言えると思います。

 あとは解像感とハイライトの粘りの点でK-30のほうがやや優れていると思います。そもそもK-30(とK-01)のほうがローパスフィルターの効きが弱いとか、シャープネスが強いとか言われていましたが、実際にそうなのかな?と思います。場合によってはモアレや偽色を発生するくらいなので、私としてはK-5のほうが穏やかで好きなのですが。ハイライトについてはK-5は意外に白飛びしやすくて気を遣うことがあるのですが、K-30は全く気になりません。AEのチューニングなのか画像処理なのか、センサーの特性なのか、あるいは個体差なのかは分かりません。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/320sec, F7.1, ISO100, AWB
 最後に「画質」とは直接関係ないのですが、背面液晶のコントラストと発色がが非常に派手で、ポストビューやカメラ内再生の映像は信頼がおけません。明るいところでも見やすいのはいいのですが、あとでPCで見て「な〜んだ...」となることもしばしば。むしろK-5の背面液晶はかなり大人しかったので、そのギャップにはやや戸惑いました。

デザイン

 さて、K-5との比較はこのくらいにして、ここからはK-30本体について見ていきましょう。と言っても、もうあまり語るところは残っていないのですが、何はともあれK-30の特徴と言えばその個性的なデザインが一番目を引くところです。

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 バキバキに線の多いやり過ぎ感のあるデザイン。とくにペンタ部の造形は初めて写真を見たときにはギョッとしてしまいました。しかしグリップ周りなどは結構しっかりと考えられていて、実物を手にすると少なくとも私の手にはぴったり。使い勝手を犠牲にしたデザインのためのデザインと思われる部分はどこにもなく、実は非常にまじめに作られています。

 そしてK-30もK-x/K-rに続き、レギュラーカラー3色、オーダーカラー15色のカラーバリエーションが用意されていました。派手な色から渋い色まで揃っていて目移りするのですが、中でもこのシルキーグリーンはとてもいい色だと思います。K-30の造形や外装の質感に合っているし、落ち着いた色なので普通のDAレンズも、古いFAレンズも、そしてシルバーのFA Limitedoレンズでも、どんなレンズにも合います。

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PENTAX K-30, DA★60-250mm F4ED SWD, 1/640sec, F4.5, ISO200, -0.3EV, AWB
 大きさは格別小さくもなく、重量もそこそこ。一眼レフとしてはちょうどいい大きさ。ボタン類の配置も悪くはありません。ただ、グリーンボタンのカスタマイズがもう少し自由自在にできるといいのですが。一等地に配置されているだけに、ハイパー操作系を少し崩してでも他の機能を割り当てたくなることがあります。

まとめ

 ということで、K-5との比較を中心に色々書いてきましたが、まとめです。と言っても結論は最初に書いてしまったとおりです。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/8sec, F5.6, ISO1600, -1EV, AWB
 手触り、操作性、撮れる絵はとても素晴らしく全幅の信頼が置けます。ゴミ取り機能だけが残念ですが、それも実害はあまりありません。そして個性的なデザインに個性的なボディカラー。買うまで半年、そして買ってから半年かけてじわじわと気に入ってきました。エントリー機(中身は立派な中級機ですが)としての割り切りや遠慮、エクスキューズはどこにもなく、堂々としているところが素晴らしいです。

 正直なところ、K-30があればK-5はもう要らないと言っても過言ではありません。そういう意味ではサブ機として、というより後継機として手にしてもそれなりに満足がいくカメラではないかと思います。なので最近は写真を撮りに行こうと思ったときに、どっちを持ち出すか悩んでしまうことがしばしば。DA18-135を使う場合はK-30...と言うのは決まっているのですが、それ以外の場合は用途を考えても、どっちでも同じように使えて同じように写真が撮れるのですから。結局は気分で選ぶか、仕方なしに両方持ち出すことになってしまいます。そして出先でどっちにどのレンズを付けて撮るかでやっぱり悩んでしまうのです(^^;

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 そして、カリカリに作り込まれた上級機よりも適度に真面目に作られた中級機がやっぱり私は好きなんだな、ということを改めて思い出しました。K-7もK-5も手放すことはないだろうと思っていますが、このK-30もきっと手放すことはないだろうと思います。本気でかなり気に入っています。