K-30の使い心地

投稿者: | 2013年6月11日

 ふと気がつけばK-30を手に入れてから早くも半年が経っています。発売されたのは1年前のことですし、来月にはK-50が発売されるという噂なども出てきています。ということで、もうすっかり旬は過ぎ去っていますが、ここらで一つ、長期使用レビューをまとめておこうと思います。
 で、いきなり結論から書きますと、このカメラは「最高」です。K-5のサブとしてというよりは、ほとんどの場合K-5の代わりになり得ます。

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 それはスペックを見ても明らかなのですが、実使用感も含めとてもエントリー機とは思えない出来映え。その実力を知ってしまうと、最初はどうかと思っていたこの個性的な外装も格好良く思えてきました。いや、格好良いですよね、これ(^^;

K-5と同じところ

 スペック上、K-5(無印)との差異はそれほど多くありません。なんと言ってもK-30が優れている一番のポイントはファインダーです。ガラスプリズムを使用した視野率100%のファインダーは、その見え具合や撮影情報表示を含めてK-5と全く同じ。ファインダーを覗いているかぎり差異が分かりません。もちろんAFポイントのスーパーインポーズも付いています。

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PENTAX K-30, FA77mm F1.8 Limited, 1/25sec, F2.0, ISO800, -0.7EV, AWB

 次に大きなポイントと言えるのは、前後に取り付けられた電子ダイヤル。背面のボタン配置と機能割り振りは実はK-5とかなり違っています。しかしそれにも関わらず、同時使用していてもそれほど違和感を感じないのは、このデュアルダイヤル操作系のおかげと思います。これによってPENTAX独自のハイパー操作系もほぼ完璧に使用でき、どのモードで使っていても露出コントロールは自由自在です。

 さらにK-30はK-5と同じ防塵防滴ボディとなっています。その恩恵にあずかることはそれほど多くありませんが、多少の雨や雪でも大丈夫と分かっていれば、これほど心強いことはありません。そしてもう一つ上げておきたいのが電子水準器。水平およびあおり方向の水準器が内蔵されており、これによる自動水平補正もサポートされています。これも私的には重要な部分です。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/200sec, F5.6, ISO100, AWB

 センサーはAPS-Cの16.2Mピクセル、SAFOX IXi+センサーによるオートフォーカス、ボディ内手ぶれ補正に、3インチ92万画素の背面LCD、その他カスタムイメージやファインシャープネスなどなど、ほとんどの機構や撮影機能はK-5相当となっているとても優れもののカメラです。

K-5に及ばないところ

 外装がプラスチックだったり、上面のサブ液晶表示がなかったりするわけですが、K-5と比べて一番違うと感じるのはシャッターフィールです。シャッターやミラー、絞りの駆動メカがK-5系とは違っており、K-r譲りとなっているためと思われます。K-5は「シャコッ」と言った感じのかなり上品なシャッターフィールですが、K-30は「バシャッ」っと言う感じで割と賑やか。しかしキレがあって悪くありません。タイムラグや振動、ミラーのバウンスと言った面でもそれほどネガティブな感じはありません。これでも最高で6コマ/秒の連写ができてしまうのです。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/60sec, F3.5, ISO200, 銀残し

 さらにセンサーのゴミ関係ではもう一つ、驚いたことにダストアラート機能もサポートされていないのはどうしたことでしょう? 確かK-xでもできたはずなのに。使い方が難しいという面があったかもしれませんが、ゴミの状態を確認するにはとても便利な機能だったのでこれは残念です。

 それから些細なことなのですが複数台のPENTAX機を使っていると地味に効いてくるのがファイルネーム。4桁連番の頭に付く4文字を変更することができません。PENTAXのカメラばかり使っていると、そろそろファイル名の重複が目立ってくるようになりました。そうでなくてもファイル名から撮影したカメラを判別できると整理する上で便利だったりするのですが、K-30では”IMGP”で固定となっています。ついでに言うとQもできません。なので現在はK-5だけ変更しています。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/200sec, F5.6, ISO200, AWB

 なお専用のリチウムイオン電池DL-I109は容量が1050mAhとK-5用のDL-I90と比べると2/3程度。その分電池の持ちは悪くなっています。感覚的には500カットくらいが限界でしょう。別売りホルダーを買えば単三形の電池が使え、その場合撮影可能枚数はもっと伸びるようですが、重たくなるので使いません。なんだかんだで予備のリチウムイオン電池を買わないままできてしまいましたが、そろそろ買っておこうと思います。

K-5に勝るところ

 2年分の技術進歩のおかげで、クラス下のK-30の方が優れている部分もいくつかあります。まずはなんと言ってもライブビュー時のAF。ミラーレス機では当たり前のコントラストAFが、K-30でもほとんど同じ感覚で当たり前に動くようになっています。しかし私はライブビューで写真を撮ることはまずないので、実はどうでもいい部分だったりします。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/60sec, F4.5, ISO200, AWB

 そしてもう一点はオートフォーカス。9点クロスの計11ポイントのセンサーは変わっていませんが、少しずつ性能アップしているように思います。5ポイントオートや、動体自動検知のオートモードなどはおまけ程度としても、選択ポイントだけでなく周辺のセンサー情報も補助に利用するセレクトエリア拡大AFは、PENTAXが特に弱いとされていた動体撮影には非常に効きそうです。なので今年のF1日本GPにはK-30を持って行こうと思っています。

K-5との画質の差

 「画質」という言葉はあまり好きではないのですが、便宜上こう書くしかありません。センサーは解像度こそ16.2MピクセルとK-5とほとんど同じですが、センサー自体は違うもののようですし、画像エンジンもK-5はPRIME II、K-30はPRIME Mと違っています。しかしながらカスタムイメージの味付けなど含め、撮れる写真はほとんど同じと言えます。ホワイトバランスやJPEGの色味の味付け、コントラスト感などなど、PENTAXの一眼レフ機としてしっかり統一されており、混在使用しても感覚的に問題ありません。これもまた複数台使用する上では重要なポイントだと思います。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/400sec, F5.6, ISO200, +0.7EV, AWB

 ただし、少しだけ差を感じるとすれば、まずはノイズの出方。どちらも基本的にNR AUTOしか使っていませんが、K-30もK-5並に高感度に強いことは間違いないものの、時と場合によってK-30では「何でこんなにノイズになるんだろう?」と思うこともあれば、「ISO3200とは思えない!」という絵が撮れるときもあって、その傾向をややつかみあぐねています。いずれにしてもISO800は安心、ISO1600も十分行けるし、必要ならISO6400も使えるという高感度性能はK-5とほぼ同様でAPS-C機としては十分と言えると思います。

 あとは解像感とハイライトの粘りの点でK-30のほうがやや優れていると思います。そもそもK-30(とK-01)のほうがローパスフィルターの効きが弱いとか、シャープネスが強いとか言われていましたが、実際にそうなのかな?と思います。場合によってはモアレや偽色を発生するくらいなので、私としてはK-5のほうが穏やかで好きなのですが。ハイライトについてはK-5は意外に白飛びしやすくて気を遣うことがあるのですが、K-30は全く気になりません。AEのチューニングなのか画像処理なのか、センサーの特性なのか、あるいは個体差なのかは分かりません。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/320sec, F7.1, ISO100, AWB

 最後に「画質」とは直接関係ないのですが、背面液晶のコントラストと発色がが非常に派手で、ポストビューやカメラ内再生の映像は信頼がおけません。明るいところでも見やすいのはいいのですが、あとでPCで見て「な〜んだ…」となることもしばしば。むしろK-5の背面液晶はかなり大人しかったので、そのギャップにはやや戸惑いました。

デザイン

 さて、K-5との比較はこのくらいにして、ここからはK-30本体について見ていきましょう。と言っても、もうあまり語るところは残っていないのですが、何はともあれK-30の特徴と言えばその個性的なデザインが一番目を引くところです。

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 バキバキに線の多いやり過ぎ感のあるデザイン。とくにペンタ部の造形は初めて写真を見たときにはギョッとしてしまいました。しかしグリップ周りなどは結構しっかりと考えられていて、実物を手にすると少なくとも私の手にはぴったり。使い勝手を犠牲にしたデザインのためのデザインと思われる部分はどこにもなく、実は非常にまじめに作られています。

 そしてK-30もK-x/K-rに続き、レギュラーカラー3色、オーダーカラー15色のカラーバリエーションが用意されていました。派手な色から渋い色まで揃っていて目移りするのですが、中でもこのシルキーグリーンはとてもいい色だと思います。K-30の造形や外装の質感に合っているし、落ち着いた色なので普通のDAレンズも、古いFAレンズも、そしてシルバーのFA Limitedoレンズでも、どんなレンズにも合います。

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PENTAX K-30, DA★60-250mm F4ED SWD, 1/640sec, F4.5, ISO200, -0.3EV, AWB

 大きさは格別小さくもなく、重量もそこそこ。一眼レフとしてはちょうどいい大きさ。ボタン類の配置も悪くはありません。ただ、グリーンボタンのカスタマイズがもう少し自由自在にできるといいのですが。一等地に配置されているだけに、ハイパー操作系を少し崩してでも他の機能を割り当てたくなることがあります。

まとめ

 ということで、K-5との比較を中心に色々書いてきましたが、まとめです。と言っても結論は最初に書いてしまったとおりです。

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PENTAX K-30, DA18-135mm F3.5-5.6WR, 1/8sec, F5.6, ISO1600, -1EV, AWB

 手触り、操作性、撮れる絵はとても素晴らしく全幅の信頼が置けます。ゴミ取り機能だけが残念ですが、それも実害はあまりありません。そして個性的なデザインに個性的なボディカラー。買うまで半年、そして買ってから半年かけてじわじわと気に入ってきました。エントリー機(中身は立派な中級機ですが)としての割り切りや遠慮、エクスキューズはどこにもなく、堂々としているところが素晴らしいです。

 正直なところ、K-30があればK-5はもう要らないと言っても過言ではありません。そういう意味ではサブ機として、というより後継機として手にしてもそれなりに満足がいくカメラではないかと思います。なので最近は写真を撮りに行こうと思ったときに、どっちを持ち出すか悩んでしまうことがしばしば。DA18-135を使う場合はK-30…と言うのは決まっているのですが、それ以外の場合は用途を考えても、どっちでも同じように使えて同じように写真が撮れるのですから。結局は気分で選ぶか、仕方なしに両方持ち出すことになってしまいます。そして出先でどっちにどのレンズを付けて撮るかでやっぱり悩んでしまうのです(^^;

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 そして、カリカリに作り込まれた上級機よりも適度に真面目に作られた中級機がやっぱり私は好きなんだな、ということを改めて思い出しました。K-7もK-5も手放すことはないだろうと思っていますが、このK-30もきっと手放すことはないだろうと思います。本気でかなり気に入っています。

K-30の使い心地」への4件のフィードバック

  1. pentaくん

    はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。コメントは初になります。自分は3ヶ月前にk30を入手しました。それまではK10Dのグランプリを愛用していました。もちろんいまでも所有していますが、最近はもっぱらk30のみの出動となっております。個性的なシルエットも今では大変気に入っています。たまに登場するk30ネタは勉強になります。構図は素晴らしいですね。美しくしすぎます。レンズはまだまだ少ないですが、ブログを参考に増やしていこうと思います。これからも素晴らしい写真を見せて下さい。

  2. hisway306

    pentaくん(さん)、コメントありがとうございます。
    K10D、しかもグランプリ版をお持ちと言うことは、私よりPENTAX歴はずっと先輩ですね。さすがにそれだけの世代差があると、K-30の便利さが際立つでしょうか。
    私はレンズはじめ機材ばかり手に入れるものの、ちゃんと使いこなしてる気がしません。というか端からそんなこと諦めて、写真を撮ることをとにかく楽しんでいます。
    写真についてもお褒めいただいてありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

  3. みのちゃん

    いつも楽しく読ませていただいてます。
    最近、やっと念願のK-5(無理してⅡs)を買いましたが、
    この記事を見るとK-30で良かったのでは?
    と、思いました。
    これからも楽しみにしてます。

  4. hisway306

    みのちゃん(さん)、コメントありがとうございます。
    K-5IIsですか、いいですね。私が比較したのは無印のほうなので、IIsとなるとまた話は違うと思います。なんと言ってもローパスレスですし、AFも全く違うんですよね。私は逆に無理してK-5IIsにしたほうが良かったかな?と思っています。
    これからもよろしくお願いします。

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