酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2013年F1第4戦 バーレーンGP

 もうレースから約1週間が経ってしまいましたが、一応観戦記録をエントリーしておきます。開幕からのフライアウェイ4連戦の最終レースは中東のバーレーンGP。政情不安で3年前は中止されてしまいましたが、去年に続き今年も何とか無事に開催されました。砂漠の中のしかも灼熱の気候の下行われるこのレースは、タイヤはもちろんマシンにも人にも特に厳しい条件となります。今年ピレリが用意したソフト側のタイヤは、あまりにもデグラデーションが激しく、各チームとも使いこなしに苦労していることから、珍しいことに一度発表されていたタイヤラインナップが変更されて、ハードとミディアムが使われることになりました。そのおかげで予選もレースも当たり前の状態になったわけですが、もしここでスーパーソフトを使うとどうなるのか見たかった気もします。
 タイヤのおかげもあって、作戦面でもコース上の争いの面でも、最初から最後まで目が離せない面白いレース展開となりました。

「先頭に立つことが大事だ」セバスチャン・ベッテル/レッドブル

 もちろんその通り。特にベッテルにとってはトップを走り続けることは必勝パターンと言えます。しかし今回はポールポジションは取れず、2番グリッドからのスタートとなってしまいました。偶数グリッドはコース状況が良くありません。砂漠の中で普段ほとんど使われていないバーレーンのこのサーキットではなおさらその影響が大きいわけです。しかし被害は最小限に抑え、1コーナーをクリアした時点で3番手。そこから意地を見せてアロンソとロズベルグをパスし、トップをもぎ取ります。
 この序盤のオーバーテイクでタイヤを使いすぎたことが心配されましたが、その後スピードは十分、タイヤマネージメントもきっちりこなして、スピードを維持したままトップを最後まで守りきります。しかしそれも、最大のライバル、アロンソが早い段階で上位から消えたことが大きいかもしれません。もしあのままアロンソとのトップ争いが続いていたら、どうなったかわかりません。
 スタート後のバトルでもぎ取ったトップの座をきっちり守り切ったということで、今回のレースは文句なくベッテルのものでした。誰も文句のつけようがないないレース内容と言うことで、ある意味彼の今季初勝利と言えるのかもしれません。

「2位は優勝に一番近いと思う」 キミ・ライコネン/ロータス

 この翻訳が正しいのかどうか、原文を読んでないので何とも言えませんが、実にライコネンらしい物言いではあります。そう、2位は優勝に一番近いのは事実です。前を行くベッテルは単独クルーズ状態でペースを調整していたはずなので、最終的な9秒差とギャップは力の差を測るにはあまり信頼がおけません。実際の感覚としてはベッテルにはとうてい届きそうになかったと思われます。
 それでもタイヤに優しいマシンの特性を生かし、今回も開幕戦と同様に他のトップチームとは1回少ないピット戦略で走りきり、9番グリッドから見事に2位表彰台まで上り詰めました。これは今年のロータスの王道戦略になりそうです。だとすると問題はやはり予選ということになるのでしょう。予選には強いけれどもレースではタイヤをあっという間に使い果たしてしまうメルセデスとはある意味対極にあるロータスのマシンですが、どう両立させていくかが課題であるという点では、メルセデスと実は同じ悩みを抱えていると言えそうです。
 それにしても今シーズンのライコネンはなかなかにこやかで表情豊かに見えるのは気のせいでしょうか。開幕戦でいきなり優勝して、その後も力強い結果を残し手応えを感じている証拠かと思います。あともうちょっと何かが進化すれば、ベッテルをいよいよ脅かす存在になってくるはず。今シーズンのチャンピオン争いにおいて一番の注目株なのは間違いありません。

「何度かヒヤリとする場面もあったが楽しいレースだった」 ロマン・グロージャン/ロータス

 実に見事なレースぶりでした。国際映像にも何度もグロージャンのオーバーテイクシーンが写りましたが、昨年までの暴れん坊ぶりがなりを潜め、非常に冷静でクリーンで鋭くて良いバトルばかりでした。うん、これが本来の彼の力だと信じたいところです。昨年の日本GPで彼を「頭がイカれてる」と非難した某ドライバーよりは、少なくとも今回に関しては圧倒的に上手かったと言えます。
 レース戦略はほとんどライコネンと同様で、11番グリッドから3位まで追い上げるというのは素晴らしい結果です。ロータスのマシンがいかにタイヤに優しく、ペースを落とすことなく軽々と2回ストップ作戦が機能したことを証明しています。これをやられると、チームによってはまったく歯が立たないわけで、非常に大きな脅威になっていると思われます。メルセデスはもちろん、フェラーリもかなり警戒していることでしょう。
 奇しくも今回の表彰台の顔ぶれは昨年のバーレーンGPと全く同じでした。ただしグロージャンは昨シーズン、後半に向けてどんどんと調子を落として、果ては「当たり屋」と呼ばれ今年のシートまで失いかけたわけです。今シーズンはここからどんな戦いを見せてくれるでしょうか。 キミと同じような成績を残していければコンストラクターズ・ポイントの点でロータスはチャンピオン争いができるかもしれません。

 次のレースからいよいよF1のハイシーズン、ヨーロッパ連戦の始まりです。まずは2週間後にスペインGPが開催されます。地元アロンソとしてはなんとしても今の悪い流れを断ち切らなければなりません。