酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2013年F1開幕戦 オーストラリアGP

 今年もいよいよF1が始まりました。開幕1戦目の舞台は今年もオーストラリアはメルボルンの市街地サーキットです。今シーズンはレギュレーションの大きな変更はなく、マシンもタイヤも昨シーズンの延長線上にあり、勢力図に大きな変わりはないだろうと言われています。一方でドライバーの入れ替わりが比較的多く、新人ドライバーは下位チームを中心に実に5人もいます。また、ミハエル・シューマッハが抜けてしまいましたが、上位チームには依然として5人のチャンピオン経験者が並んでいます。
 そして、残念なことに小林可夢偉の姿は開幕戦のスターティング・グリッドにはありません。そのせいで今ひとつ個人的に盛り上がりにかけるシーズンになりそうだと感じていたのですが、F1はやっぱりF1。レースを見始めてしまえば面白くて目が離せなくなりました。

「一番簡単な優勝のひとつだった」 キミ・ライコネン/ロータス

 相変わらずクールなコメントです。7番グリッドから優勝を奪い取るというレースが、今までで一番簡単なレースだったとはどういうことなのでしょう? 大幅なレギュレーション変更はないとはいえ、新しいマシンに2013年仕様の新しいタイヤの組み合わせとなれば、まだまだ未知の領域はあるわけで、思ったようなタイヤ戦略がとれずに苦労するチーム、ドライバーが続出しました。結局は典型的なシーズン序盤のレースらしく、ピットイン合戦が繰り広げられていました。
 そんな中、まるで昨シーズン終盤のレースを見てるかのように、タイヤに優しく安定した速いラップを重ね、2ストップで危なげなく走りきってしまうロータスのマシンとキミ・ライコネンのコンビは、タイムの浮き沈みが激しく3回ピットインでさえギリギリのライバルたちに対し、勝つべくして勝ったといえるのかもしれません。
 まだたった1戦が終わったばかり。しかし復帰後のキミの成績とその上昇傾向、安定性を考えれば、今シーズンの行方を決める重要な一人となるのは確かだと思います。あとはロータスのチーム力、開発力次第ではひょっとするかも?と期待してしまいます。

「レッドブルより上位でフィニッシュしたことは優勝に等しい」 フェルナンド・アロンソ/フェラーリ

 ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、アロンソのこの2年間を考えれば、常にレッドブル基準でレースを考えるのは当然なのかも。なんだかんだ言って、やっと掴みかけたチャンピオンをかっさらっていくのはレッドブルなのだから。決してマシンの熟成不足とは言えないレッドブル、特にセバスチャン・ヴェッテルに勝ったことは、アロンソにとって大きな慰めなのでしょう。
 しかしレッドブルばかりを意識しすぎて伏兵にやられるという経験も、初めてではないはず。ロータスキミ・ライコネンがどうやら2回ストップで行ってしまうらしいと気づき、最終スティントで猛追をしますが、結局タイヤが持たずに追いつくところまでは行きませんでした。ある意味戦略通りにうまくいったレースなのに優勝できなかったわけで、フェラーリがもう一歩足りないところは、対レッドブルを意識するあまり、自分たちの最善のレースが実はできていないのではないかと感じてしまいます。
 でも、攻めるところで攻められる今回のレースを見ていて、開幕戦から確実にこうやってポイントを重ねていけるなら、今シーズンはダントツのチャンピオン候補になることは間違いないと思います。

「トラック上でキミを見なかった」 セバスチャン・ヴェッテル/レッドブル

 なるほど、実際そうなのでしょう。位置関係からして彼は優勝争いをしながらも、一度もキミ・ライコネンの姿を見ることなく、つまりトラック上で争うことなく負けてしまったのです。ドライバーとしてはどうしていいのかわからない、ということかと思います。
 予選では素晴らしいスピードを見せ、定位置のポールポジションを取り、スタートもうまく決めあっという間に2位以下とのギャップを開けるところまでは、この3年間、彼の勝ちパターンのとおりでした。しかし、今回のレッドブルのマシンはあまりにタイヤに厳しすぎたようです。スティント後半になるとタイムが伸び悩み、ライバルたちに追いつかれてしまいます。
 その結果、そこそこうまくタイヤを使いこなしたフェラーリのフェルナンド・アロンソのアンダーカットにやられてトップを譲り渡し、完璧にタイヤを使いこなしたロータスのキミ・ライコネンは、一度もヴェッテルの前に姿を現さないまま20秒以上前でフィニッシュしてしまいました。
 マシンに速さはあるし、自分はミスをしなかった。タイヤに優しいマシン作りは課題として残っているけど、メルボルンは特殊なサーキットだし... と言うことで、ヴェッテルもそれほど不機嫌ではありません。もちろんまだ第1戦ですしね。4連覇がかかっている今シーズン、出足は悪くないというのは確かでしょう。ニューウェイがちょいちょいと修正を加えたら、スタート以降「誰もヴェッテルを見なかった」というレースをやってのけてしまうかもしれません。


 次のレースは早くも今週末、熱帯のマレーシアGPです。