酔人日月抄

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BOEING787 運行停止

 一昨年就航したばかりの最新鋭の旅客機ボーイング787が、度重なるトラブル発生によって、とうとう運行停止になってしまいました。16日の飛行中に発生した電源系の故障が最後の引き金となったわけで、当初は航空会社による自主判断でしたが、その後米国FAAが出した緊急耐空性改善命令を皮切りに、日本を含む世界中で事実上B787を飛ばすことが出来なくなっています。

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 電子制御の塊みたいな飛行機にとって、飛行中に電源系の根幹に異常が生じるのはとても深刻なことですし、それに加えて火災が発生しようものなら、事態は深刻と言う言葉だけでは済まされなくなります。それは過去に飛行中に火災を生じた飛行機が最終的にどうなったかを見れば明らかです。

ボーイング787関連の最新ニュース (Aviation Wire)

 B787はすでに7カ国8つの航空会社に計50機がデリバリーされています。そのうち約半数が日本のANAとJAL向け。中でもローンチ・カスタマーとして開発にも関わり、戦略的機材としてすでに17機も導入しているANAにとっては特に頭の痛い問題でしょう。

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 B787が使えない間は他の余剰機材を当てるしかないわけですが、それも限界があり欠航便が毎日相当量発生してしまいます。特にB787のサイズ、航続距離そして低コストを前提に開設した国際線は、仮にB767-300ERかB777-200ERを代替機として当てられたとしても、コスト的に厳しいことになりそうです。現時点ではANAが22日まで、JALは25日までのB787の運行停止による欠航便が出ることを発表しており、すぐに運行再開できる状況にないと見込んでいます。

【お知らせ】ボーイング787に関わる欠航便・機材変更について (全日空 2013/1/18)
【お詫びとお知らせ】ボーイング787-8型機の国際線運航見合わせについて (日本航空 2013/1/18)

 就航中の航空機に対して、原因も対策も不明のまま耐空性改善命令により運行停止にまで至ったのは、30年以上前のDC-10の事例以来だそうです。この時は結論が出るまで、運行停止期間は1ヶ月以上に及びました。その結果は機体の問題ではなかったのですが、この間DC-10を持つ航空会社に与えたダメージは大きく、またDC-10のイメージも傷ついたまま回復することはありませんでした。

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 今回のB787のケースでは、航空機には初めて搭載されたリチウムイオン電池まわりに問題があると言われています。リチウムイオン二次電池は重量および体積あたりのエネルギー密度がニッケル系の二次電池よりも高くて高性能な反面、発火性があって扱いの難しい電池ではあります。充放電の管理は綿密に行わないといけないし、外部環境から受ける熱や衝撃によるストレスにも対策が必要です。

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 一方でリチウムイオン電池は携帯電話やパソコンはじめ私たちの日常生活の周辺にはすでに山のように使われており、ある意味「枯れた」技術という側面もあります。少なくとも普通の充放電では何も難しいことはありません。最近は自動車に採用され始めたことからも、いずれ航空機に搭載されるのは自然の流れで、それ自体が無茶だったということはないとはずです。

 いずれにしても技術的なことは部外者の素人には分かるわけはありません。ただ、短距離路線で一度乗ったことがあるだけですが、とても乗り心地の良い快適な飛行機ですし、普通の双発機としてはボーイングらしからぬ流麗さをもっている美しい機体なだけに、すぐに日本の空に戻ってくることを願っています。

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 一方で日本の航空会社もボーイング一辺倒ではなくて、もっとエアバスを使ってくれたら良いのにと、一航空機ファンとしては無責任に思ってしまいます。A330はすでに10年以上前の機体ですが、250~300席の双発機で長距離を低コストで飛べるというB787のコンセプトの原型ですし、B787対抗のA350も数年後には登場しそうです。と思っていたら、スカイマークがA330とA380を導入するんでしたっけ。それはそれで楽しみです。