酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

ミラーレス考

 個人的には、デジタル時代の新しいシステムカメラとして気になりつつも、食わず嫌い的に敢えて避けてきた感のあるミラーレス機。「一眼レフ」に対する「ミラーレス」という構図の中では、頭の固いカメラオヤジとしては当然、一眼レフ側に立ちたいという気持ちからなのですが、本来はそういう対立構図自体がおかしいのだと、頭では分かっているつもりです。
 そもそも私は「ミラーレス」という言葉がとても嫌いなのですが(「一眼カメラ」というのはもっと嫌いですが)、そうは言っても既にカメラとしての一つの形式やジャンルを表す言葉として、市場に浸透しているようなので、敢えて「ライブビューもしくはEVFファインダー搭載のレンズ交換式カメラ」みたいな分かりにくい表現をするわけにもいかず、このタイトルをつけてみました。
 昨年新しく市場に登場したカメラはいろいろありましたが、各社力をいれてきた一番の注目株は、やはりミラーレス機と言えそうです。そしてその流れは今年も衰えそうもなく、今後もミラーレス機の進化はどんどん続きそう。ということで、ここらで私的ミラーレス論をまとめておきたいと思います。
 「論」などと大層な事を言ってみたところで、要するに個人の戯れ言、好き嫌いのお話です(A^^;
 このエントリーを書く気になったのは、FUJIFILMのX-Pro1が発表されたことがきっかけです。これはいわゆる「一眼レフからミラーを取り払ったカメラ」とは明らかに違う雰囲気がします。これだったら好きになれるのかも?と(^^;

FUJIFILM X-Pro1

 今週発表になったばかりの最新機。事前にメーカー自ら開発をリークし、発表日を予告するという珍しい経緯を辿り、その宣言通りCESで正式発表となりました。昨年のX100から始まった富士フイルムの高性能カメラ路線も、とうとうレンズ交換式までやって来ました。富士フィルムにとっては、Nikon Dシリーズを流用したFinePix S-Proシリーズを除けば、AXマウント以来のオリジナルの新マウントにして、久々のレンズ交換式カメラとなります。

Xpro1

 富士フイルムが独自開発したAPS-CサイズのCMOSセンサーに、X100で定評のあるハイブリッド・ビューファインダーの進化版を搭載したそのボディは、非常に高級感あふれるデザインです。エプソンやライカのレンジファインダー機に似た雰囲気で、これを一眼レフを基準にした「ミラーレス」と呼ぶのはちょっと違うかな?という思いを新たにします。昨年、X100が登場したときはレトロ調のデザインがちょっとやり過ぎに感じたのですが、ブラック塗装のせいもあってか、このX-Pro1はとても落ち着いていて格好良く思えます。

 独自のカラーフィルターと画素補間アルゴリズムによるローパスレスの高解像度センサーとか、光学ファインダーとEVFの融合みたいなテクノロジー面の特徴もとても魅力的ですが、それ以上にこの雰囲気というかこのコンセプトを買いたい所です。持っている技術をうまく消化し、デジタル時代の(趣味の)レンズ交換式カメラとはこれだ!という明確なメッセージが感じられます。

 あとは、実際の手触り、操作感、そして画質を無視することはできません。また、ズームレンズを(現段階では)用意せず、F2以上クラスの単焦点レンズ2本と、マクロレンズを1本というレンズラインアップは、なかなかツボを押さえていると思えます。私は比較的富士フィルムの画作りが好きな方なので、画質には期待しています。ただ今のところ大きさ重さと、そしてお値段が心配ですね。日本ではきっとCP+に登場するはずなので、実物に触れるのを楽しみにしたいところです。そして、シリーズ展開にも期待です。

参考リンク(デジカメWatchおよびデジカメプラスより)

 富士フイルム、レンズ交換式ミラーレス「FUJIFILM X-Pro1」を発表
 インタビュー:ミラーレスの「今」と「これから」【富士フイルム編】
 ミラーレスと呼ばないで欲しい―「FUJIFILM X-Pro1」とは何か 

Nikon 1

 昨年秋、ニコンが満を持して発表したミラーレス機。EVFを内蔵した上位機種のV1と、小型軽量に徹してカラバリ展開したJ1の2機種展開です。マウントはもちろん新開発のオリジナル。ニコンにとってはFマウント以来、50年ぶりの新マウントです。

Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 (ニコンワン) V1 (ブイワン) 薄型レンズキット ブラックN1 V1ULK BK

Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 (ニコンワン) V1 (ブイワン) 薄型レンズキット ブラックN1 V1ULK BK


 センサーは独自開発の1インチCMOS。このセンサーはサイズ的にもユニークですし、一眼レフ主体のカメラメーカーらしく、アスペクト比もちゃんと3:2になっており、むやみに解像度を追ってないのも好感持てます。しかも撮像面に位相差検出用のラインセンサーも埋め込まれていて、ライブビュー(またはEVF)と同時に位相差AFが出きるのが特徴です。位相差検出とコントラスト検出のいいとこ取りのこの仕組みは、ライブビューファインダーのカメラにとっての理想的なAFシステムであり、一眼レフとの大きな壁を一つ乗り越えたと言えると思います。

 また、その新センサーの高速読み出し性能を生かして、「モーションスナップショット」とか「スマートフォトセレクター」とか、デジタルならではの新しくて面白い撮影機能をサポートしていますし、「ミラーレス」や「一眼カメラ」という言葉は使わず、「レンズ交換式アドバンストカメラ」と主張する姿勢はさすが老舗のカメラメーカーだと思います。

 しかし、個別の技術や機能については、一つ一つ納得できるものの、全体的に仕上がったこのカメラの姿を見ていても、どうにも目指してる方向性が分かりません。デザインもかっこわるいと言うよりはむしろ非常に凡庸。ミラーレス機の独壇場であるマウントアダプター遊びをわざわざ禁止してるところも含め、このカメラに対するニコンのスタンスは今ひとつ理解し難いところです。

 ということで、このカメラをじっと見ていると、ニコン自身は否定していますが、DXフォーマットの一眼レフと被らないように、その下のラインナップとして企画した、という位置づけありきのカメラではないのかな?と思えてなりません。私としては次の展開を見てみたいと思っています。

参考リンク(いずれもデジカメWatchより)

 インタビュー:「Nikon 1」の秘密に迫る(前編)
 インタビュー:「Nikon 1」の秘密に迫る(後編)
 インタビュー:ミラーレスの「今」と「これから」【ニコン編】

LUMIX GX1

 PanasonicのLUMIX Gシリーズはミラーレス機としてはもっとも歴史が古く、EVF付きのG/GHシリーズとEVF無しのGFシリーズがラインアップされています。そこに昨年末、新たにGX1と名のつく新製品が投入されました。

Panasonic デジタル一眼カメラ LUMIX GX1 電動ズームレンズキット エスプリブラック DMC-GX1X-K

Panasonic デジタル一眼カメラ LUMIX GX1 電動ズームレンズキット エスプリブラック DMC-GX1X-K

 姿形はGFシリーズというか、GF1にそっくりですが、その基本コンセプトはそれまでのGFシリーズのような「簡単」でも「便利」でも「女流一眼」でもなくて、「プレミアム」となっています。つまりLUMIX Gシリーズの中のフラッグシップという位置づけの硬派なカメラのようです。GF1にそっくりな外観も、実物はかなりしっかりとしていて高級感があるそうです(スミマセン、店頭でもまだ触ったことがありません)。
 マイクロフォーサーズが「女子カメラ」の方向に市場の裾野を広げたのは事実ですが、今後もしっかりと市場に根付いていくためには、ちゃんとしたフラッグシップ機がやはり必要なのだと思います。ですが、Panasonicがこの段階でこれをやってきたことは良い意味で意外でした。でも、Gシリーズのフラッグシップは本当はEVF内蔵のGHシリーズのラインで作るべきなのでは?とも思いますけど。

PENTAX Q

 このカメラに付いては散々これまでに書いてきましたので、ここでは過去エントリーへのリンクだけ貼っておきます。

PENTAX デジタル一眼 Q レンズキット ブラック PENTAXQLKBK

PENTAX デジタル一眼 Q レンズキット ブラック PENTAXQLKBK

 PENTAX Q体験イベント:開発秘話編
 PENTAX Q体験イベント:実写編
 PENTAX Q体験イベント:まとめ編
 ナノ一眼 PENTAX Q

 PENTAX Qほど「一眼」とか「ミラーレス」という言葉が不似合いなカメラもありません。「一眼レフとも似て非なるもの。他のミラーレス機と比較するのもナンセンスだと思います。でもメーカーは「デジタル一眼」って呼んでますけど。市場に根付くかどうかは別にして、非常にコンセプトの明解なカメラとして、これを製品化したPENTAXはすごいと思います。

NEX-7

 昨年末のタイの洪水の影響により、残念ながらだいぶ前に発表されたものの未だに発売されていない不運のカメラ。

nex7

 Eマウントシステムは、一昨年のNEX-5の発売後純正レンズがほとんど選べない状態でしたが、ここへ来て急速にレンズラインアップも広がってきたようです。NEX-7については実物を見ていないので何とも言えませんが、薄くて小型軽量なボディはそのままに、横に並んだ2ダイヤルなど操作系もよく考えられ、有機ELパネルのEVFを内蔵してあるあたりはさすがSONYです。

 NEXは良くも悪くもSONY的なマーケティングの結果生まれた、スタイル優先の家電的カメラなのかな?とずっと思っていたのですが、NEX-7というフラッグシップを作ってきたことで、システムカメラとして育てていく本気度を感じます。LUMIX GX1の場合と同様に、私の勝手な思い込みの中では、SONYがこれをやってくることも少し意外でした。

 しかし理由は上手く説明できませんが、私としてはNEXシリーズにはピンと来るものがなく、自分が使うカメラとして想像することが全くできません。むしろ、トランスルーセントミラーを積んだαシリーズのほうに興味があります。一眼レフとミラーレスのいいとこ取りという意味では、純粋にエンジニアリング面で素晴らしい発想のカメラだと思います。

PEN E-P3

 ミラーレス一眼と言えばオリンパス。本当はLUMIX G1のほうが先に出ていたのに、なぜかPENがこのジャンルの火付け役となったように思います。それから3代目。短い間に下位機種などなどが乱発されて、もはやラインナップは何が何だかわかりませんが、現時点でのPENシリーズのフラッグシップがこのE-P3です。

OLYMPUS マイクロ一眼 PEN E-P3 レンズキット シルバー E-P3 LKIT SLV

OLYMPUS マイクロ一眼 PEN E-P3 レンズキット シルバー E-P3 LKIT SLV

 ボディ内手ぶれ補正を搭載したミラーレス機はPENシリーズとPENTAX Qだけ。当初はなかったフラッシュまで内蔵してこのサイズに収めているパッケージングは秀逸です。センサーが古いようですが、ローパスを弱めた解像感のある画質も定評があります。

 しかし... 新時代を開こうとしたミラーレス機に"PEN"という懐古趣味な名前を付けたことからして、私はPENシリーズが気に入りません。そして旧来の「一眼レフ」に成り代わる「ミラーレス一眼」という言葉とイメージを作り上げたのも、このPENシリーズなのだと思います。

 それは製品の善し悪しにとっては本質ではないのですが、メーカーの姿勢がそこに表れているような気がします。それを好意的に捕らえるという考え方も分かるのですが、私はどちらかというとネガティブな印象を持ちました。いや、PENシリーズは良いカメラで、マイクロフォーサーズには良いレンズが揃っているらしいことは分かっているのですが。

 それはさておき、X-Pro1やNEX-7やGX1に対抗し得る、オリンパスとして本気で作ったフラッグシップ機というのを見てみたい気がします。実際、そういうカメラが用意されているという噂もありますし、それほど絵空事ではないようです。巨額粉飾決算のゴタゴタが今後どうなるかにもよるかも知れませんが。

Canon ???

 さて、真打ちのキヤノンはどうするのでしょうか? 何も出さない? そうだったらカッコいいですが。キヤノンもEF-Sマウントを抱えていて、Kissシリーズというエントリークラスの超ヒット機を持ってるだけに、ニコンのようなアプローチをとるのがありえそう。でも... ??

 今年中には見られるという説と、来年以降になるという説があります。さてさて、どうなるでしょうか?
 

まとめ、というか私感

 で、私は今のところいわゆる「ミラーレス機」は持っていません。1年前には「ミラーレス機なんて絶対いらない!」と思っていたのですが、昨夏にPENTAX Qを見て「これは面白そう!」と思い、昨年後半からGX1、NEX-7に続きX-Pro1が出てくるに至って、「そのうちメインに使うカメラとしてミラーレス機を買うことになるのかなぁ」と漠然と思い始めました。例えばX-Pro1の実物が気に入って手に入れたりしたら、動きものを超望遠で撮るとき以外はK-5もいらないんじゃないの?って思います。
 それでも一眼レフが好きなのですが、一眼レフという形式はいよいよごく特殊用途でしか必然性がない機構になって行くのかも。そのスピードはどのくらいになるのか分かりません。フィルムからデジタルへの流れはすんなり受け入れられたと自負しているのですが、一眼レフを捨てされるかどうかには、大きな壁があります。乗り越えるにはもう少し時間がかかりそうです。多分、あと10年くらい(A^^;