酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

越中島貨物線

 東京の江東区には多くの鉄道(主に地下鉄)が通っていますが、どれも都心から千葉県各所を結ぶ東西に走っている路線ばかりです。しかし実は南北にも、亀戸から越中島に向けて1本の鉄道が通っているのです。昭和4年に開業した越中島貨物線と言う名の貨物専用路線で、東京の23区内にありながら単線で非電化という、時代から取り残された路線。旅客用途ではないので普通に私たちが利用することはできません。

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PENTAX K-5, FA31mm F1.8AL, F2 AUTO (1/2000sec, ISO160, AWB)

 運行本数は非常に少ないのですが、それでも長年このあたりで暮らしていると、ディーゼル機関車に牽かれた貨物列車を時々(年に1回くらい)見かけることがありました。と言っても一番最近見たのももはや数年前のことだったと思います。

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PENTAX K-5, FA31mm F1.8AL, F2.8 AUTO (1/2000sec, ISO160, AWB)
 途中にあった小名木川貨物駅が数年前に廃止され、ショッピングモールやマンションが建ち、それと同時に廃線になったのではないかと思っていましたが、改めて調べてみると、現在でもちゃんと現役で使われており、平日には3往復の貨物列車が走っているそうです。

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PENTAX Q, 06 TELEPHOTO ZOOM, P AUTO (F4.5, 1/800sec, ISO250, AWB, 31.7mm)
 亀戸から旧小名木川駅あたりまでは高い土手の上を走っており、道路や運河に鉄橋がかかっています。アップダウンもそれなりにあります。周囲は古い下町の民家と大きなマンションがごちゃ混ぜになっていて、その中をひっそりと線路が走っています。

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PENTAX K-5, DA18-135mm F3.5-5.6WR, F5.6 AUTO (1/400sec, ISO160, AWB, 135mm)
 そうかと思えば、小名木川駅から南側へ向けてはほぼ道路と同じ高さの地表をまっすぐに走っており、物流基地の大きなビルに囲まれています。しかし線路の周辺だけは草や木が生い茂り、砂利の上に木製の枕木が並ぶなど、まるで地方のローカル線の風情です。1両だけのディーゼル列車が走っていてもおかしくありません。

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PENTAX K-5, FA31mm F1.8AL, F3.2 AUTO (1/2000sec, ISO160, AWB)
 そして平地を走っているとなれば、当然踏切があります。"幹線27号踏切"という味気ない名前のこの踏切は、浦安へ向かう大動脈、葛西橋通りを渡る踏切。なので幅員は22mもあります。

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PENTAX K-5, DA16-45mm F4ED, F8 AUTO (1/320sec, ISO160, AWB,16mm)
 片側2車線ずつの交通量の多い幹線道路。ヤマダ電機の脇を単線の非電化路線が横切ります。このあたりは渋滞ポイントなのですが、それはこの踏切のせいではありません。ほとんど列車がやってこないので、「開かずの踏切」ではなくて「開きっぱなしの踏切」です。

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PENTAX Q, 03 FISHEYE, P AUTO (F4.5, 1/800sec, ISO250, AWB, 31.7mm)
 さらに南側には永代通りを横切る幹線3号踏切があります。こちらは片側3車線でさらに太い幹線道路で幅員は30mオーバーです。この地下には地下鉄東西線が走っています。こちらはさらに交通量が多いためか、踏切にも信号機が取り付けられています。看板にあるとおり、隅田川を渡る永代橋まで3.5km、そして東京の起点、日本橋まで道のりわずか5km。一説にはこの踏切は東京都心に最も近い踏切だそうです。

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PENTAX K-5, DA18-135mm F3.5-5.6WR, F8 AUTO (1/500sec, ISO160, AWB, 36mm)
 そうかと思えば幅員6mしかない一方通行の細い裏路地を横切る踏切もあります。葛西橋通りと永代通りの間にあります。越中島貨物線の踏切は、永代通りの南にさらに一つあります。

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PENTAX K-5, DA18-135mm F3.5-5.6WR, F8 AUTO (1/50sec, ISO160, AWB, 88mm)
 木の陰からチラッと見えている緑色の構造物は越中島貨物線の鉄橋です。こうしたオーバーパスは至る所にあります。

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PENTAX K-5, DA18-135mm F3.5-5.6WR, F8 AUTO (1/250sec, ISO160, AWB, 28mm)
 踏切を渡るとき、足下の線路をふと見るとこんな状態。雑草やらゴミやら...。都心から5kmの地点で営業している鉄道とは思えません。

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PENTAX K-5, DA18-135mm F3.5-5.6WR, F5.6 AUTO (1/400sec, ISO160, AWB, 135mm)
 木製の勾配標識とか。

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PENTAX Q, 06 TELEPHOTO ZOOM, P AUTO (F4.5, 1/640sec, ISO125, AWB, 45mm)
 残念ながら今回写真を撮ってる間に列車はやって来ませんでした。

 その昔は豊洲や晴海まで線路が延び、東京港に陸揚げされた貨物を運び出したりしていたそうですし、小名木川貨物駅が現役だったときには、東北方面への貨物の出発地点だったりしました。現在は、終点の越中島貨物駅にあるJRのレールセンターからレールを運び出すために使われているようです。
 その役目もいつまでなのか分かりません。早いところ廃線にしてここにトラムを通すという計画が大昔からあります。あるいは道路にしてしまうとか。でも、この雑踏の中にぽっかりと穴が開いたような不思議な空間がなくなってしまうのは寂しいです。いつまでも幻の鉄道として生き残って欲しいです。


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