酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

85mmF1.4の世界

 SIGMAの85mmF1.4 EX DG HSMを一ヶ月にわたって試用させていただいたまとめ編です。何か特にこのレンズで撮ってみたいと思うあてがあったわけではなく、むしろ85mmF1.4を使うと何が撮れるのだろう? 普段撮ってるようなものがどう撮れるのだろう?と思って借りたレンズでした。フィルム時代を含めこのスペックのレンズを使ってみたのは初めてです。

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PENTAX K-5, SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM, F1.4 AUTO (1/160sec, ISO160, -0.7EV, AWB)
 結論から言ってしまうと、開放から描写は安定していて、絞りはいつでも積極的に開けられます。その場合、ボケの質と量は素晴らしくてファインダーを覗いているだけでも楽しめます。一方でピントの薄さにはかなり苦しめられました。


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 まずはこれまでのレビュー一覧です。8月の後半は色々あって十分試用できたのは8月前半だけになってしまいましたが。

開封レビュー:SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM (2012年8月4日)
実写レビュー1:真夏の街角散歩 (2012年8月5日)
実写レビュー2: 向日葵 (2012年8月10日)
実写レビュー3: 85mmF1.4で撮る富岡八幡宮例大祭 (2012年8月15日)

 以下、これまでのいくつかのエントリーに書いたことと重複しますが、それは最初から最後まで印象が一貫していて変わらなかった、ということになります。もっと1年くらいに渡って四季をすべて経験すると、また違った面が見えるのかも知れませんが、私が使った限りでは最初の100カットくらいで感じた第一印象がそのまま結論となりました。

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PENTAX K-5, SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM, F1.6 AUTO (1/2000sec, ISO160, -1.3EV, AWB)
 ちなみに私は過去にPENTAXのDA Limitedシリーズを中心に単焦点レンズを使ったことは多々ありますが、F1.4クラスの大口径レンズは、PENTAX純正の古い50mmF1.4を持っているだけです。その上での感想ですのでご了承下さい。以下、写真の配置と本文にはあまり関連性はありません。

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PENTAX K-5, SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM, F5.6 AUTO (1/500sec, ISO160, AWB)
 とにかく開放からシャープでキリリとメリハリが感じられます。深いフードのおかげか空にレンズを向けても、ゴーストは皆無でコントラスト的な面でもびくともしません。APS-Cで使っていたおかげか周辺光量低下も全く感じませんでした。なので、絞りは単純にボケ量のコントロール、あるいはシャッタースピードの調整のために選ぶことが出来ます。さすが最新設計のレンズです。絞りによってどんどんその描写性能が変わっていく... という味わいといううか、使いこなす楽しみはありませんが、どんな条件でも安定していて安心して使える万能レンズです。

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PENTAX K-x, SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM, F1.6 AUTO (1/1000sec, ISO100, AWB)
 好き嫌いがあるかと思いますが、画角的には意外なほどに長さを感じませんでした。APS-Cで使うとフルサイズ換算で130mm程度に相当するので、もはや立派な望遠レンズですが、私にとってはしっくりくる画角です。もちろんこの面では何でも撮れる万能ではありません。これ一本勝負というわけにはなかなか行かないはず。
 でも見えてる風景の一部を切り取っていく、と意識しながら使えば、遠すぎず近すぎず、適度に遠近感が圧縮されて、被写体のフォルムも綺麗に出るし、予想していた以上にAPS-Cでも使いやすい焦点距離だと感じました。。

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PENTAX K-5, SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM, F2.2 AUTO (1/8000sec, ISO160, AWB)
 特に期待していたボケ味は期待以上でした。絞り開放からふんわりと柔らかいボケが得られます。ゴチャゴチャした町並みが背景でもうるさくなり過ぎず、綺麗にボケてくれます。そして背景とある程度距離差があれば、背景は完全に溶かしてしまうことも場合によっては可能。ボケの量と質については(設計の古い)50mmF1.4とは明らかに一段違う世界を感じられます。

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PENTAX K-5, SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM, F1.4 AUTO (1/60sec, ISO400, -1EV, AWB)
 明るいので暗いところに強い... のは確かですが、やはりこの焦点距離、このボケ量となると光量を稼ぐために暗いところで絞りを開ける、というのは何か違うかな?と思います。もちろん条件が合えば薄暗いシーンでは無敵のレンズとなります。特にPENTAX機のようにボディ内手ぶれ補正が常に使えるとなると、その範囲はより広がります。ですが、AF性能的には暗いところではただでさえ難しいピントがさらに怪しくなってくるのが何とも...。

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PENTAX K-x, SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM, F4 AUTO (1/1000sec, ISO100, AWB)
 このレンズの欠点としてよく言われるのは最短撮影距離。85cm以上に近づくことはできず、撮影倍率もたったの1:8.6しかありません。マクロ的にもっと大きく写そうとか、被写体に思い切り近づいて背景をトロトロにボカそうと思っても、今一歩のところでピントが合わなくなってしまいます。
 でもそれも事前に知っていたせいか、実際撮影している上では思ったほど気にはなりませんでした。比較的狭い画角と非常に薄いピントのせいか、わりと近距離のものでも、ファインダーを覗きながらフレーミングやピント位置を考えているうちに、むしろ対象物に近づくよりもある程度の距離を無意識に取ろうとしてしまいます。

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PENTAX K-x, SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSM, F2.2 AUTO (1/500sec, ISO160, AWB)
 むしろ気になったのがパープルフリンジ。開放付近で輝度差の大きいエッジに盛大に出ます。でも、他にはあまり言われていることではないようなので、もしかしたら特定の条件、あるいはカメラとの組み合わせで出やすく、たまたま私がそこに当たってしまっただけなのかも? という気がしなくもありません。強いハイライトがあっても出ないときには出ない場合もあるので。いずれにしても後処理で簡単に消せるので、致命的欠点とまでは言えません。

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 HSMによるピント駆動は非常に高速でスムーズですが、AF前提のレンズらしく無限遠と最短距離の回転角は非常に小さく、MFの操作性はそれほど良くありません。ピントリングも十分広くトルクもそれなりにあるのですが。
 鏡胴が大きくて重たいのは仕方がありません。フードはAPS-C用のアダプタ含めよく考えられています。APS-C用のアダプタはそのままでキャップも出来るし、花型フード本体をその上から逆さ付けすることも出来ます。サイズさえ許せばつけっぱなしに出来るように考えられています。ただそう考えると取り付けがもう少し固ければ良いのに、とは思いますが。さすがにフード本体と2段になるとガタがどうしても出ます。

 これはやはり一眼レフの醍醐味を感じられるし、是非一本持っておきたい種類のレンズかと思います。でもこうなると純正のFA77mmF1.8が気になってきます。焦点距離はともかく、開放F値0.5段の違いがちょっと引っかかりますが。う~ん...

 ということで、SIGMA 85mmF1.4 EX DG HSMの試用記は以上です。