酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

深川あかりつむぎ

 江東区の東、清澄白河駅からほど近い清澄庭園で、晩秋のこの時期に毎年恒例の深川あかりつむぎというライトアップイベントが行われています。清澄庭園は通常は夕方に閉園してしまうのですが、このイベント期間中は日の入りとともに園内がライトアップされて、夜9時まで延長営業しています。以前から気になっていたのですが、開催期間がわずか1週間しかなく、なかなかタイミングが合わなくて、訪れたことはありませんでした。

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PENTAX K-5, FA31mmF1.8AL, F5.6 Auto (30sec, ISO200, +0.7EV, AWB)

 今年はしっかりと事前に日程を調べてスケジュール調整... と言うほどのことではなくて、ちょうど開催二日目の日曜日の夕方、天気も良くて風もないので、夕飯前の散歩がてら軽い気持ちでカメラを持って出かけてみました。残念ながらこの時期、東京都内はまだほとんど紅葉していません。

 清澄庭園は六義園や小石川後楽園、浜離宮庭園などと並ぶ、東京都内の代表的な日本庭園。正確には「回遊式林泉庭園」と呼ぶそうです。その歴史は江戸時代、紀伊国屋文左衛門の時代まで遡り、その後は下総関宿藩久世家の下屋敷だった時代にこの庭園の基礎ができました。今に残る庭園が作られたのは明治時代。三菱グループの創始者、岩崎弥太郎氏が造園したものだそうで、現在では東京都が管理しています。

 住宅に囲まれた敷地はそれほど広くないのですが、その庭園としての質の高さは他に優るとも劣りません。隅田川の水を引いて作られたという大きな池に、島や山などが造りこまれていて美しい自然を感じる空間です。入園料はわずか150円。これはライトアップ期間中も同じです。

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PENTAX K-5, FA31mmF1.8AL, F4.0 Auto (1.3sec, ISO400, AWB)

 入ってすぐの大正記念館前の通路。園内を一周する石と砂利の通路はすべて足元に行灯がつけら、光の道になっていて幻想的な雰囲気です。写真の撮影は三脚使用を含めて特に制限されていませんが、混雑した場合は係員の判断で三脚が禁止される場合があるようです。いずれにしても、通路を塞いだり長時間同じ場所に居座ったりしないよう基本的なマナーを守れば、気兼ねなく写真が撮れます。

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PENTAX K-5, FA31mmF1.8AL, F5.6 Auto (15sec, ISO200, AWB)

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PENTAX K-5, DA40mmF2.8, F5.6 Auto (4sec, ISO400, +0.7EV, AWB)

 敷地のほとんどは「泉水」と呼ばれる大きな人工の池です。対岸には池に張り出して建てられた「涼亭」が見えます。この建物が常にこの池を眺める風景のポイント。水面は時折水鳥が立てる波紋を除けばほぼフラット。雨水が溜まっているだけの流れのない池なので、あまり水自体が綺麗とは思えないのですが、夜ならそれも関係ありません。
 上の写真でひときわ明るく照明されたこの手前の木はハゼの木。最盛期には真っ赤に紅葉するはずです。残念ながらこの日はようやく紅葉が始まったかどうかというところ。下の写真の右の木が赤いのは紅葉しているからではなく、照明が赤いからです。

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PENTAX K-5, DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-5.6ED, F8.0 Auto (25sec, ISO400, +0.7EV, AWB)

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PENTAX K-5, DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-5.6ED, F8.0 Auto (10sec, ISO400, -1EV, AWB)

 カメラバックの隙間を埋めるために投げ込んでおいた魚眼レンズも使ってみました。画角が広く空の高いところが青く写るのが綺麗です。東京の空は明るすぎて地平線付近は締まりがありません。と言うか、それよりも魚眼じゃなくて本当は超広角ズームが欲しくなってきました...。
 下の写真は涼亭の入り口側です。ここは予約すれば集会場として利用できるそうで、庭園を眺めながら食事とかいいかもしれません。この涼亭は明治に岩崎家が建てたものが、関東大震災や太平洋戦争をくぐり抜けてそのまま残っているそうです。

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PENTAX K-5, DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-5.6ED, F8.0 Auto (25sec, ISO400, +1EV, AWB)

 こちらは魚眼ズームですがテレ端使用。そういわれないと気づかないくらい普通に写ります(よね?)。ヘリコプターか飛行機か飛行船か何か分かりませんが、軌跡が写り込みました。ちなみにこのカットは+1EVしてるのですが...
 今回、K-5の特性に関して一つ大きな発見をしてしまいました。というのも、こういう夜景では普通に光学ファインダーを覗いてで撮影する場合と、ライブビューで撮影する場合で、露出が激しく変動するのです。光学ファインダーではアンダー、ライブビューではオーバーに。両モードで露出の測定方法(センサー)が変わるので、如何にも起こりそうなことです。
 しばらくそれに気づかず、なぜこんなに露出がバラつくんだろう?と試行錯誤して露出補正を大きく振ったりしてしまいました。今回の場合はどちらかというと、ライブビューで撮った方がイメージに近く撮れるような気がします。

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PENTAX K-5, DA21mmF3.2AL, F5.6 Auto (5sec, ISO200, +1EV, AWB)

 中の島に渡る小路にも行灯が設置されて照明されていたのですが、残念ながら渡ることが出来ませんでした。夜間は危ないから禁止されているようです。また、東日本大震災で橋が壊れたようなことも書いてありました。
 それにしてもこの庭園、樹木はもちろん、岸辺の土の盛り方や草や苔の生え具合、全国から取り寄せたらしい名石の置き方などなど、本当に細かいところまで凝っています。人工的に造られた自然の美ですが、ここまで徹底しているとかえって風情を感じます。ちなみに園内には「富士山」と言う名の小高い丘もあります。もちろん土を盛って造ったもの。これが見上げるような山に見えてくるから不思議です。

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PENTAX K-5, DA40mmF2.8, F8.0 Auto (8sec, ISO400, -1EV, AWB)

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PENTAX K-5, DA70mmF2.4, F5.6 Auto (5sec, ISO400, -2EV, AWB)

 泉水のまわりをぐるっと時計回りに歩いて池の西側にやってきたとき、東の空に少し欠けた月が登ってきました。ライトアップされた日本庭園と月。良い組み合わせなんですが... こちらからは周囲のビルや高層マンションが見えるし、何といっても空が明るすぎ。これはこれで街中の庭園らしくて良いとは思いますけど。

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PENTAX K-5, FA31mmF1.8AL, F5.6 Auto (5sec, ISO400, -2EV, AWB)

 ようやく周回路を一周しました。最後にまた橋が架けられた島があるのですが、そこも夜間は立ち入り禁止。このあたりは狭い内海のような海峡のような感じに作られており、夜よりは昼に見た方が良いかも。
 1時間もあれば一周するだろうと思っていたのですが、思いがけず長居をしてしまいました。多分2時間くらい。もちろんその多くのはああでもない、こうでもないと写真を撮ってた時間です。30秒とかいう長時間露光をしてると1枚撮るのにそれなりに時間かかりますので。すっかりお腹が空いてしまいました。

 なお、今年の「深川あかりつむぎ」は次の日曜日20日までです。今週は寒かったので紅葉も少し進んだかも知れませんが、あまりそれは期待しない方が良さそうです。しかし紅葉はさておき、一見の価値がある庭園ではないかと思います。


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