酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2011年F1第8戦 ヨーロッパGP

 1国1レース開催が原則のF1GPにおいて、毎年ワイルドカード的に曖昧な地名を冠して行われるヨーロッパGP。以前はドイツで2回目のレースが行われていましたが、ここ数年はスペインで行われています。本物のスペインGPがカタロニアで開催されたのはつい1ヶ月前のこと。今回はバレンシア市街地コースでレースが行われました。
 これはやはりスペイン人ドライバーにして2年連続チャンピオンとなったフェルナンド・アロンソの存在によるものと思われます。もちろんドイツで行われていたときはミハエル・シューマッハがいたためでしょう。だとすると、また数年後にヨーロッパGPはドイツへ戻ってしまうのかも知れません。
 それはさておき、あまり面白いレースにならないと不評のバレンシア市街地コース。今年のレギュレーションを持ってすればこのコースもオーバーテイクショーで目が離せなくなるかと思えば、やっぱり今年もイマイチ見所にかける退屈なレースとなってしまった、というのが正直な感想です。
 それはセバスチャン・ベッテルがまたもやポールtoウィンしたからでも、小林可夢偉が下位に沈んだからでもなく、このコースにはやはり何かが足りないように思います。

「この結果は僕にとって大きな意味がある」 フェルナンド・アロンソ/フェラーリ

 このレースはアロンソのためのグランプリと言っても良いわけですし、今シーズンは1勝もできずに苦戦している中で、レッドブルの1台を押さえてもぎ取った2位というのは、彼にとって、フェラーリにとっても大きな意味があることでしょう。表彰台での表情も実ににこやかで心の底から喜んでいる様子でした。レース内容を見ても、マクラーレンには圧勝し、想定できる中でもっとも良い結果が得られたと言えそうです。
 でも... やはりチャンピオンを狙っているドライバーとしては、ベッテルに挑戦することすできなかったことを、もう少し心に病むものなのではないか?無邪気に喜びすぎではないか?という気もします。
 それこそ、アロンソとフェラーリは今シーズンのチャンピオン獲得はもう諦めてしまったのだろうか?と。現実的に考えれば... チャンピオンへの道はかなり閉ざされてしまったのは事実ですが、排気関係のレギュレーション解釈が変更されると、何が起こるか分かりません。

「外から見るとレースでたくさんのことが起こっていたように見えるのかどうか分からないけれど、1周1周マシンと自分が1対1で向き合って走る時間はすごく楽しい」 セバスチャン・ベッテル/レッドブル

 ちょっと長いコメントを引用してみましたが、ドライバー的には、特にトップを独走していたベッテルとしては、このレースは決して退屈ではなかったよ、と言うことかと思います。と言っても、終盤に各車がポジション固めに入るまでは、後ろで2位を争うアロンソやウェバーとのタイム差はそれほどなく、ピットミスやちょっとしたスピンでもあれば、カナダの悪夢再来となりそうな雰囲気もありました。
 今シーズン毎度のことながら、今回のレースでもタイヤ管理は非常に重要で、特に今シーズン初投入となったミディアムタイヤの扱いには各チームが手こずり、タイヤ戦略には非常に神経質になっていました。そんな中トップをゆくベッテルは、他車とバトルをする必要がないのを最大限に利用し、タイヤ管理に集中していたのではないかと想像します。それがマシンとの1対1の対話(の一部)だったのかな?と。
 ウェバーやハミルトンがドタバタしてタイヤを消耗していくのとは対照的にベッテルはファステストラップを刻みつつも、安定したほぼ予定通りの作戦を完遂しました。それはやはりポールポジションを取ったからこそなし得ることなのだと思います。

「僕らにはやるべき仕事がある」 小林可夢偉/ザウバー

 今回のリザルトは16位。特にトラブルがあったわけではなく、必死に走り続けてようやくこの結果。これで7戦連続ポイント獲得が途絶えてしまいました。いや事実上の8戦連続トップ10内完走記録と言っても良いのかも知れませんし、別の見方をすれば、スターティング・グリッドよりも後方でチェッカーを受けたのは今シーズン初のレースではないかと思います。これで小林の夢は覚めてしまい、ザウバーの化けの皮が剥がれたのでしょうか?
 レース後のインタビューでは、残念がったり悔しがったり怒ったりして不機嫌... と言うのではなく、ただ苦笑しているように見えました。全く為す術がなかったから仕方がないと言わんばかり。いったいこの車とタイヤでどうしろって言うんだ? と。
 そんな中でも下位争いとはいえ、国際映像が比較的頻繁にルノーのペトロフを巧妙に押さえ続ける小林をそれなりの時間をかけて捕らえていたのが、今レースの唯一のいいところだったのかも。それも最終的には抜かれてしまうわけですが。
 もともと非力なザウバーのマシンが、バレンシアのコースに特に合わなかっただけであればいいのですが。事実上のライバルと言えるトロロッソやフォースインディアがそこそこの結果を残していますし。もしこれが後半戦にかけてのマシン開発競争で後れを取っているためだとすれば、今後はかなり厳しくなってきてしまいます。
 トップチームへの道を確保するには、ここからのレースが正念場となりそうです。

 フェラーリとは対照的に今回マクラーレンは絶不調。両チームともこういうムラがある間は、まともにレッドブルとチャンピオン争いをするのは難しそうです。特にダメなときに輪をかけてダメになるのがハミルトン。リザルトはそこそこですが、タイヤに厳しいドライビング・スタイルを今回は遺憾なく発揮してしまいました。そして落ち込むときは徹底的に落ち込んでいじけてしまうのも彼らしいです。が、一方でタイヤに優しいバトンも今回は不発。これではどうしようもありません。

 次のレースは2週間後、伝統のオールドコース、イギリスはシルバーストーンでのレースです。レッドブルやルノーが採用している排気システムの一部が禁止されるそうで、いったい勢力図はどう変わるのでしょうか?あるいは全く変わらないのでしょうか? 今シーズンの一つのポイントとなるレースかもしれません。

  なお、ヨーロッパGPのリザルトはこちらです。