酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

ナノ一眼 PENTAX Q

 何でしょうねぇ、これ。変なカメラがPENTAXから発表されました。以前から超小型センサーを使用した超小型ミラーレス機を作っているという噂はあったのですが、まさか本当に出てくるとは。その名は"PENTAX Q"。特徴は何といっても「小さいこと」です。サイズは98×57.5×31mm...と、具体的な数字を並べるよりも分かりやすい写真が、WEBにたくさんアップされています。

pentaxq_hand_800

 例えば上の写真*1。手のひらに乗る、どころかすっぽり収まります。この人の手が特別大きいのかもしれませんが。これ以外にも、厚み以外はiPhone4よりも小さいとか、高性能なコンパクト機よりも小さいとか、キーホルダーにちょうどいい大きさだとか(下の方に写真貼りました)。それがありふれたコンパクトカメラではなく、レンズ交換式の本格的なシステムカメラだというのだからすごいです。これは正しくAuto110の再来と言えるのかも。

 まだWEB情報を色々見てるだけの段階なのですが、とりあえず思ったことを書き留めておきました。

超小型本格的システムカメラ

 レンズマウントはPENTAXオリジナルで新開発のQマウント。フランジバックもマウント径もかなり小さくなっています。シャッターはフォーカルプレーンではなくレンズシャッターもしくは電子シャッター式。これはレンズによって異なるようです。同じように絞りも、高性能シリーズと呼ばれているものは機械式絞りとNDフィルターが内蔵されており、一方ユニークシリーズでは開放のみで絞り設定もNDフィルターの選択もできないようです。
 肝心の撮像センサーはなんと、コンパクト機でよく使われる1/2.3インチという小サイズセンサー。12Mピクセルの裏面照射CMOSが搭載されています。ISO感度は125から6400までと、高感度側にもそこそこ強いようです。
 その小さなセンサーには、ガイドレール式ながらもセンサーシフトによる手ブレ補正と、超音波振動によるゴミ取り機能が搭載されています。このあたりもなかなか本格派。撮影機能も一通りのマルチモードを備えていて、カスタムイメージやデジタルフィルター、ホワイトバランスのCTEモードなど、Kシリーズでもお馴染みの撮影機能がよりパワーアップして搭載されています。モードダイヤルとコマンドダイヤルを一つ備えており、背面にはグリーンボタンもあり、操作系もKシリーズに準拠していると思われます。

 ファインダーは背面液晶によるライブビューのみ。光学ファインダーもEVFもありません。あ、光学ファインダーは後付けオプションで用意されるようですが、あれって基本的にドレスアップ・アイテムですよね? 背面の3インチ液晶がボディに占める面積を見ると、改めてボディの小ささに驚きます。背後から見たらどうみてもただのコンパクト機にしか見えません。

 以下仕様を抜粋して表にしておきました。

PENTAX Q
型式 レンズ交換式デジタル一眼カメラ
マウント ペンタックスバヨネット Qマウント
撮像素子 種類:原色フィルター/CMOS, サイズ:1/2.3インチ, 有効画素数:約1240万画素
ダストリムーバブル 超音波振動による撮像素子クリーニング「DR II」
感度 AUTO/125〜6400(1/3EVステップ)
手ぶれ補正 撮像素子シフト式
記録形式 RAW(DNG), JPEG
記録媒体 SD,SDHC,SDXC
液晶モニター TFT広視野角タイプ、3.0インチ、46万画素
オートフォーカス コントラスト検出式、補助光付き
測光 分割測光、中央重点、スポット
露出補正 ±3EV, 1/3EVステップ, AEロック可能
シャッター レンズシャッター:1/2000〜30秒(1/3EVステップ)、バルブ ※シャッター非搭載レンズでは電子シャッター1/8000〜2秒
絞り 開放〜F8 ※シャッター非搭載レンズでは開放のみ
連続撮影 約5コマ/秒(JPEGで5コマまで)、約1.5コマ/秒(JPEGで100コマまで)
内蔵ストロボ ポップアップ式、P-TTL調光、GN5.6(換算28mmまでカバー)
シンクロ速度 レンズシャッター時:全速(外部ストロボでは1/250秒まで)、電子シャッター時:1/13秒
撮影機能 カスタムイメージ11種、高感度NR、ハイライト補正、シャドー補正、レンズ歪曲収差補正、デジタルフィルター11種、HDR、多重露出、インターバル、スマートエフェクト9種
動画 MPEG4AVC/H.264, FullHD/30fps, モノラル音声、最長25分録画
電源 専用Li-ION電池D-LI68、ストロボなしで250枚、再生時間約160分
外部インターフェース USB2.0/AV出力/HDMI(typeD)
外寸 約98mm(幅)×57.5mm(高)×31mm(厚)(ホットシュー、操作部材除く)
重量 約200g(専用電池、SDカード付き)、約180g(本体のみ)

 こう見てみると、本当にちょっとした一眼レフかのような本格派の立派なスペックです。そしてこの表には書かれていませんが、極めつけはボディがマグネシウム合金製であること。これだけでもPENTAXの本気度が伺えます。が、ひたすら高級"感"路線を追求しているわけでもなく、随所に遊び心が見え隠れしているのがまた面白いところ。ボディカラーは白と黒の2色ラインアップされます。

1/2.3インチセンサー

 このカメラについて語るときに、賛否が別れるポイントがセンサーサイズ。私も個人的にはどちらかというとセンサーサイズ原理主義者です(といいつつAPS-C一眼レフしか持ってないですが^^;)。なのでこの極小サイズセンサーを採用したということについて、「う〜ん」と複雑な思に駆られる部分が確かにあります。
 今更小サイズセンサーの弊害をくどくど並べるようなことはしませんが、解像感、ノイズ感、色乗りやダイナミックレンジと言った点で不利だったり、ボケが表現しづらく、絞りの選択範囲もほとんどないなどなど、写真を撮る楽しみの多くの部分がスポイルされてしまうのではないかと心配になりますす。
 しかし、一方でセンサーサイズが小さいからこそ、ここまでボディとレンズが小さくなるわけで、その点m4/3や1/1.7インチなどの中途半端なサイズにせず、一番小さいサイズを選択したという点は、コンセプトの明確さを表していると思います。もちろん将来を含めたセンサーの入手性ということも大きな要因かとは思いますが。
 いずれにしても、センサーサイズが小さいことは妥協の産物ではなく、むしろ筋が通っていると言わざるを得ません。欲しいと思うかどうかは別にして、コンセプトは非常に明確です。

pentaxq_1a

5本のレンズ

 同時発表されたレンズはなんと5本。高性能シリーズとして標準単焦点レンズと標準3倍ズームの2本、ユニークシリーズとして、魚眼とトイ風レンズ2本の計3本。さらに構成のシリーズとして望遠ズームが開発中であることが発表されています。
 高性能シリーズのほうは、名前とは裏腹に実際はいわゆる一般撮影用のレンズ。単焦点レンズは開放F1.9の大口径とはいえ、小さなセンサーサイズでは大きなボケは見込めません。ただレンズは明るいに越したことはないわけで、パンケーキ型の小さいレンズはこのカメラによく似合います。ズームのほうがむしろイマイチ。ズームにしては明るい方ですが3倍というのが何とも。確かに交換式にしてしまうと沈胴機構とか入れられないので、大きくなりがちですが、やはりここはコンパクト機にも対抗して10倍クラスの高倍率ズームなんかが欲しいところです。そう言った選択肢があってこそレンズ交換のメリットがあるわけですから。

 ユニークシリーズのほうはレンズシャッターもなく、絞りもNDフィルターもなく、お遊び用レンズらしい雰囲気です。お値段も1万円を下回るとのことでお買い得。こういったレンズが用意されるあたりからも、このカメラの位置づけとして、それほど真面目に高級システムカメラをひたすら目指しているわけではないことが何となくうかがえます。だからセンサーサイズなんてこれでいいんだよ、と。確かにレンズが交換できることの楽しみ方って、こういうのもアリなんだと思います。何だったら、こういうお遊びレンズをKマウントで出してもらいたいくらいです。
 いや、そろそろKマウント用の本気レンズもたくさん出して欲しいです。DA30mmF1.4とかDA★400mmF5.6とか、SDMテレコンバータとか。おっと、話がずれてしまいました(^^;

ナノ一眼

 このカメラが「一眼」なのかどうか?という点についても個人的には思うところがありますが、製品WEBサイトには「ナノ一眼」とキャッチコピーがついているし、仕様にもやはり「デジタル一眼カメラ」と書かれています。
 しかし、このカメラが「一眼」を名乗ることは逆説的に既存ミラーレス機の「一眼」ぶりを揶揄しているかのように思えます。「ナノ一眼」という言葉には、「マイクロ一眼」というコピーをパクられことに対する嫌味でもあり、システムカメラであることと「一眼」であることは関係がなく、また「一眼」は定義があまりにも曖昧で、さらに「世界最小」ってのはこういうのを言うんだ!とドヤ顔をしている(誰が?)ように思えてきます。
 実態として、もはやこのカメラはミラーレスかどうかも「一眼」であるかどうかは関係ないわけで、単にレンズ交換ができる超小型のカメラ、というだけ。このカメラを見ているとミラーレス機全般を含めた一眼論争もどうでもいいと思えてきます。

pentaxq_d3x

で、買いなのか?

 さてPENTAX信者としてこれは当然買いなのか?と言えば、とりあえず現物を見て触るまでは結論は保留しますが、コンセプト的になかなか魅力的だと思っています。こういうカメラが欲しかった!というのではなく、こんなのアリなんだ!という意味で。

 が、問題は価格。うーん、とりあえずレンズキットが約7万円、ダブルレンズキットで約9万円という価格は微妙です。確かにそのくらいしてしまうのは分かる気がするのですが。K-xレンズキットがモデル末期で4万円以下で買えたことを思うと、せめてレンズキットでそのくらいまで下がらないかな?と思っています。

 あともう一つの問題が実は大きいのですが、どうにも外観デザインがしっくり来ません。うーん、どうなんだろうこれ? ホットシューまわりの妙なペンタ部の残骸のような出っ張りとか、ダイヤル形状と一体化した微妙なグリップ風な部分とか、マウントと左右のバランスとか、なんか写真を見ているだけではしっくり来ません。

 さすがに今回はカラバリ展開がなかったですが、そういう方面の飛び抜けた感じもしないですし、レトロというほど懐古趣味でもなく。その部分は良いと思うのですけどね。なんというかKシリーズのようなキレが感じられなくて、ちょっと残念な感じというのが現時点での印象です。

 まぁ、見た目も現物見るとがらりと印象が変わるかも知れません。(って、最近見た目で全て機材を選んでるような気がするのは気のせいだろうか?)ちなみに発売日は多くのWEBショップで8月5日とされています。まだ一ヶ月以上あります。7月9日には新宿高島屋で体験イベントが開催されるそうです。

 以上、全くとりとめのないファーストインプレでした。

*1:[http://www.imaging-resource.com/PRODS/PENTAXQ/PENTAXQA.HTM:title=imaging resources]からFree to useとされている写真素材を転載させて頂きました