酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

F550EXRの撮影機能いろいろ

 みんぽすさんよりお借りしているFinePix F550EXRのレビュー5回目です。これで最終回となります。このカメラ、多機能すぎて全部は試し切れてないし紹介もできてないのですが、これまでレポートした以外にも色々なことができます。今回は個人的に興味のある、ダイナミックレンジ拡大、背景ぼかし、フィルムシミュレーション、ぐるっとパノラマ、連写重ね撮りの5つの機能をそれぞれ簡単に試してみました。

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 そして最後にF550EXRを約1ヶ月試用しての感想と結論をまとめておきます。盛りだくさんなので、いつもよりもさらに長文です。


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ダイナミックレンジ拡大

 プレミアムEXRオートでも紹介したのですが、裏面照射EXR CMOSに限らず、富士フイルムが以前からずっと力を入れているのが、撮像素子レベルから工夫を加えたダイナミックレンジ拡大です。マニュアルでDRモードにすることで、DR100%を基準に最大1600%まで設定することができます。ダイナミックレンジ拡大モードで撮影するとどうなるのでしょうか? 以下に同じ場所でDR100%、DR400%、DR1600%で撮ったカットを並べてみました(DR200%とDR800%は割愛)

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DR100%, EXRダイナミックレンジ優先モード(ISO400, 1/13sec, F3.5, 24mm相当)
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DR400%, EXRダイナミックレンジ優先モード(ISO400, 1/12sec, F3.5, 24mm相当)
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DR1600%, EXRダイナミックレンジ優先モード(ISO400, 1/12sec, F3.5, 24mm相当)

 ここから分かるのはシャドー部の再現性はほとんど変わらず、ハイライト部の階調に主に変化が現れます。この写真の場合、DR100%では空の明るい部分は飛び気味ですが、DR400%やDR1600%になるとしっかりといろと階調が出てきています。ここには貼ってないDR200%やDR800%のカットも含めて並べてみると、数字通りにその効果が強くなっていることがわかります。ただし、〜16倍という数字ほどの差は見た目の印象では感じられません。シーンによるかも知れませんがかなり微妙なもので、最近流行のHDRのような派手な効果を得るものではありません。
 よほどシビアな撮影でない限り、このDR200%からDR1600%までの4段階を適宜使いこなす、使い分けるのは難しそうです。もちろん選択肢が広いことは良いことですけど。ブラケットみたいに一度に全種類撮ってくれたりすると良いのかも。

ぼかしコントロール

 FinePixでは少し前の機種からサポートされている特殊撮影機能です。撮像素子が小さくレンズも暗くなりがちなコンパクトカメラでは、一眼レフなどで明るい単焦点レンズで撮影したような、背景がぼけた写真を撮ることはほとんどできません。そこで、シャッターを切った時に、ピントが合った写真と、わざとピントを外した写真の2枚を連続で撮影し、対象物と背景を認識し、合成するという手法で背景をぼかしてしまうのがこの機能。なかなか凝ったことをしています。

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ぼかしコントロール:OFF, (ISO200, 1/1700sec, F3.9, 33mm相当)
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ぼかしコントロール:強度3, (ISO200, 1/1700sec, F3.9, 33mm相当)

 上が普通に撮った場合、下がぼかしコントロールを使った場合。ちなみにF550EXRには、自動的に処理前と処理後の2枚のカットを記録することが可能で、上の2枚はその機能を使いました。なので文字通り同時撮影であり、Before/Afterの作例です。
 ぼかし強度は3段階に設定可能ですが、当然この機能を使うからには最強に設定したいところ。それでもこの例のように割と効果は穏やかです。この例だとピントが合った手前の花と、背景と判断された背後の境目は非常に自然です。
 以前、F70EXRを使っていたときにもこの機能はあったのですが、使用可能な条件が非常に厳しくて「背景をぼかせません!」と言われてしまうことが多かったのですが、F550EXRはたいていのシーンでちゃんとぼかしてくれます。これは非常に使い道のある面白い機能だと思います。

フィルムシミュレーション

 富士フイルムのカメラでは、一眼レフのS5 Proや、最新のX100などでも搭載されている看板機能の一つ。富士フイルムを代表する3種類のリバーサルフィルムの色合いや風味を再現するモード設定です。ペンタックスのデジタル一眼レフで言うところの「カスタムイメージ」に相当する機能かと思います。全てのモードにおいて、デフォルトはPROVIAとなっています。なお、プレミアムEXRオート時はこの機能は変更できません。

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PROVIA/スタンダード, プログラムAUTO(ISO200, DR200%, 1/340sec, F8.0, 49mm相当)
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Velvia/ビビッド, プログラムAUTO(ISO200, DR200%, 1/340sec, F8.0, 49mm相当)
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ASTIA/ソフト, プログラムAUTO(ISO200, DR200%, 1/340sec, F8.0, 49mm相当)

 さて、いかがでしょうか? 手持ちで設定変えながら順番に撮ったのでフレーミングがずれていますし、そもそもフィルムシミュレーションを試すにはあまり良いシーンではないのですが。それでも3枚の違いはよく分かります。とくにVelviaモードの鮮やかさは一目瞭然です。
 しかし私はオリジナルとなる各フィルムを使い込んだことはなく、「フィルムらしさ」の部分についてはコメントする術がありません。まぁ、このカメラの性格から考えれば、スタンダード、ビビッド、ソフトと理解すれば良いのかも知れません。
 なお、フィルムシミュレーションモードには上の3種類の他に、白黒とセピアもあります。このモノクロの二つのモードについては特にフィルムとの関連は示されていません。セピアはともかく、白黒は嘘でも"PRESTO"とか名付けちゃえば良いのに(A^^;
 人を撮るときはスタンダードまたはソフトに、風景などを撮る場合はビビッドに、と使い分けは考えられるのですが、プレミアムEXRオートとの共存ができないのは残念です。

ぐるっとパノラマ

 これも最近流行の機能です。オリジナルはソニーのスイングパノラマでしょうか? 以前のパノラマモードと言えば、ガイドに従ってカメラをずらしながらシャッターを複数回押し、最後にそれら個別の写真を合成したりしていましたが、最近は一回のシャッターでカメラをパンしている間に撮影と合成が終了してしまいます。便利になったものです。
 設定として、パンする方向は水平方向か、垂直方向か、さらに画角を360度、180度、120度の三種類から選べます。また同時にパンする方向(右か左か)も選べます。

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ぐるっとパノラマ:水平360度, (ISO200, 1/950sec, F3.9, 33mm相当)

 まずは水平方向に360度。ぐるっと一回転してみました。11:1の超横長写真になるので、サムネイルをこうして貼ると縦方向が縮小されすぎて何が何だか分かりません。記録サイズは11520x1080ピクセルです。ブログ向きではありませんね。というか、そもそもこの手のパノラマ写真って、どうやって鑑賞するのかが分かりません。
 ちなみにこのモードにするとズームはできず、この33mm相当に固定されます。撮影中は液晶画面上に中心線のガイドが出ます。なるべくそれが中心を維持するように気をつけつつ、カメラを一定速度で水平に振ります。とはいえ360度ともなると、かなりいい加減になりがちですが、仕上がりはとても自然でよくできています。

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ぐるっとパノラマ:垂直120度, (ISO200, 1/320sec, F8.0, 33mm相当)

 そして今度は垂直方向。さすがにこっちは一周するのが難しかったので、一番小さな120度に設定。吊り橋の支柱とワイヤーがガタガタになっており、やはり手持ちで人力のいい加減なパンと画像処理の限界が見えます。でも面白いですね、これ。パノラマと言えば水平方向というイメージがありますが、縦方向の使い道も意外にあるのではないかと思います。

 というか、最終的に水平方向にパンして水平のパノラマを撮るにしても、縦方向パノラマに設定してカメラを縦に構えるという方法もあるんですよね。そうすればもう少し縦横比がマシになります。試してみれば良かった...。

連写重ね撮り

 F550EXRは高感度性能も非常に優れているわけですが、単にセンサーやノイズリダクションの改良というアプローチだけでなく、画像合成の手法を使ったノイズ低減機能も搭載しています。それが「連写重ね撮り」というモード。これもF70EXRの時代からFinePixでは搭載されていた機能です。その名の通り、複数枚の写真を撮影し、それらを合成することでランダムノイズを低減しようというもの。
 プレミアムEXRオート時は「インテリジェント手ぶれ補正」という機能をONしておけば、シーンに応じて自動的に連写重ね撮りが行われます。また、モードダイヤルをAdvに合わせれば、手動で強制的に連写重ね撮りを行うこともできます。通常の撮影モード時に付加できる機能ではなく、独立した特殊撮影モードとなっています。

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連写重ね撮り, プレミアムEXRオート,(ISO3200, DR200%, 1/8sec, F3.5, 24mm相当), 夜景
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ISO3200, プログラムオート,(ISO3200, DR400%, 1/4sec, F3.5, 24mm相当)
DSCF0152
ISO6400, プログラムオート,(ISO6400, DR100%, 1/4.3sec, F3.5, 24mm相当)
DSCF0153
ISO12800, プログラムオート,(ISO12800, DR100%, 1/9sec, F3.5, 24mm相当)

 これもまたあまり面白いシーンではないのですが、一応深夜の街角を撮ったもの。露出レベルがかなり違ってるのは謎ですし、そのせいでISO6400とISO12800は暗部のノイズが目立ってる、ということもあるかも知れません。いずれにしてもISO3200との差は歴然としており、やはりISO6400以上は緊急用のおまけモードだと思われます。

 ISO3200で普通に撮った場合と連写重ね撮りした場合の差もかなり大きく、感度にして1段は違っているかのよう。効果は抜群です。しかし、その原理上動いてるものがあるとおかしなことになりますし、シャッター速度が上がってるとは言え、連写中にフレーミングが大きく動くと、重ね合わせが上手く行かない場合もあります。静止した物体を撮るのは良いかもしれませんが、人を撮るのは難しいかも。って、こんな暗闇で人は撮らないとは思いますが。

結論!

 約1ヶ月間にわたってF550EXRを使ってみての感想まとめです。結論から先に言うと、このカメラ素直に「欲しい!」です。その理由は「常に持ち歩いていつでもどこでも安心して使えそうだから」です。

 何でもありの盛りだくさんなカメラですが、基本であるプレミアムEXRオートでほとんどのことが事足りるし、24mm相当からの15倍ズームと合わせ、およそこれ一台持っていればたいていのシーンには対応できます。サイズと重量は超コンパクト、超軽量とは言えませんが、コンパクトカメラとしては十分にリーズナブルな大きさと重さで、常に持ち歩くのに邪魔になることはありません。マクロの性能、高感度特性、AF性能、ホワイトバランス精度なども優れていて、悪条件でも安心して使えるカメラです。

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 大口径レンズを搭載した高級コンパクト機とはかなり方向性が違いますが、ちょっと作画を考えて凝った撮り方もできるので、一眼レフカメラを持って行くほどでもないなぁ、というような場合にもピッタリですし、一方で一眼レフカメラのサブとしても良いのではないかと思います。一眼レフにつけるレンズは厳選して、それ以外のワイド端や望遠ズームの代わりに(必要ないと思うけど保険をかけておきたいような場合)と言った使い方にも向いていると思いました。

 肝心の写りは、私の目で見る限りは十分と思えます。一時期のFinePixはディテールが溶けたような、油絵っぽくなることがありましたが、このカメラではそういうことはありません。多少のトリミングにも十分耐えます。売りの広大なミックレンジも効果は感じられますし、明るめの露出でこってりとした色乗りはFinePixらしくて好みです。

 あとはこれで防水、じゃなくても良いので防滴だったら言うことないのですが。さすがにそれは無理か(^^;