酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

F550EXRのRAWファイル現像

 みんぽすさんよりお借りしているFinePix F550EXRのレビュー4回目です。このカメラはコンパクト機にしてはとても珍しいことに、JPEGだけでなくRAWファイルでの記録が可能となっています。フルオートで使い、JPEG記録するのが大前提のカメラとはいえ、RAW記録ができると言われると、マニア心がくすぐられたりもするわけです。

IMGP3755

 富士フイルム独自の裏面照射EXR CMOSによる広ダイナミックレンジや低ノイズといった特徴は、RAW現像することでどうなるのでしょうか?ということで試してみました。


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 RAW記録に関する設定はセットアップメニューの4ページ目にあります(下の写真)。RAWへの切り替えは、デジタル一眼レフではJPEG品質の設定メニューにあることが多いのですが、このカメラではRAW記録のON/OFF/RAW+JPEG同時記録という形で別メニューになっています。RAWのみをONすると、JPEGの品質、記録サイズに関するメニューは変更できなくなります。

IMGP0931

 RAWファイルのフォーマットは富士フイルムオリジナルのRAF形式となっています。RAWで撮ったら現像しなくてはならないわけですが、F550EXRのパッケージには「RAW FILE CONVERTOR EX powered by SILKYPIX」と言うRAW現像ソフトが同梱されています。その名の通りSILKYPIXのRAFファイル専用のサブセット版です。

 それに加え、私がいつも使っているアドビのLightroomがちょうど3.4にバージョンアップされ、それとともにF550EXRのRAFファイルに対応しました。

 JPEGとRAWの同時記録で撮影し、カメラが生成したJPEGと、上記の二つのソフトウェアでそれぞれ現像したJPEGと比較してみました。なお現像に当たっては、どういう調整を加えるかによって、大きく結果は変わるわけですが、基本的にはソフトのデフォルトまたは"自動調整"を使用しています。あまりにも好みとかけ離れた場合は、マニュアル調整を加えていますが、いずれにしろ私の好みで、しかも手軽に現像したものです。

 では、以下にいくつか作例を貼ってみます。全てフルサイズのままFlickrにアップロードしてあります。

藤:HRモードの場合

DSCF0012
オリジナル(プレミアムEXRオート, HRモード, ISO100, DR100%, 1/300sec, F5.3, 360mm相当)
DSCF0012_2
RAW FILE CONVERTOR EX(プレミアムEXRオート, HRモード, ISO100, DR100%, 1/300sec, F5.3, 360mm相当)
DSCF0012_3
Lightroom3.4(プレミアムEXRオート, HRモード, ISO100, DR100%, 1/300sec, F5.3, 360mm相当)

 最近何度も出てきている亀戸天神の藤です。紫を写真で再現するのは難しいですよね、特にデジタルでは。でも、どれもそこそこ綺麗に仕上がってると思います。が、全部違う紫になっています。どれが本当の色か?というよりは、どれが好みか?という問題かも。背景の緑の出方もまちまちです。敢えて選ぶならRAW FILE CONVERTOR EXが明るくて、どぎつくなくて良いかも。

亀:DRモードの場合(1)

DSCF0057
オリジナル(プレミアムEXRオート, DRモード, ISO100, DR200%, 1/200sec, F5.9, 314mm相当)
DSCF0057_2
RAW FILE CONVERTOR EX(プレミアムEXRオート, DRモード, ISO100, DR200%, 1/200sec, F5.9, 314mm相当)
DSCF0057_3
Lightroom3.4(プレミアムEXRオート, DRモード, ISO100, DR200%, 1/200sec, F5.9, 314mm相当)

 次は同じく亀戸天神の亀さんです。このカットはダイナミックレンジ優先でDR200%で撮影されています。オリジナルのJPEGを見たときに、ちょっとオーバーすぎないか?と感じた一枚。甲羅に太陽が反射していてまぶしいです。そのまぶしさが適切に表現されてるとも言えますが。
 RAW FILE COPNVERTOR EXでも自動露出調整を選択するとオリジナルと似たような明るさになったので、マニュアルで少し露出を下げてみました。私の好みとしてはこのくらい押さえたほうが甲羅の質感もあって良いのではないかと思います。
 一方、Lightroom3.4ですが... ファイルを開いて何もしてない状態では、なぜか激しく露出オーバーの状態。感覚的には+2EVくらいの補正をかけたかのよう。RAW現像なのだから同じように露出を調整すれば良いはずなのですが、さすがにこのオーバー量は何ともしがたく、ここまで下げるのがやっとです。これ以上下げても甲羅のハイライト部分の色つきが目立って階調も失われています。何かが間違ってる気がするのですが、これはまた後述。

 このカットもやはりRAW FILE CONVERTOR EXの結果が一番好みです。

駅:SNモードの場合

DSCF0416
オリジナル(プレミアムEXRオート, SNモード, ISO1600, DR200%, 1/12sec, F3.5, 24mm相当)
DSCF0416_2
RAW FILE CONVERTOR EX(プレミアムEXRオート, SNモード, ISO1600, DR200%, 1/12sec, F3.5, 24mm相当)
DSCF0416_3
Lightroom3.4(プレミアムEXRオート, SNモード, ISO1600, DR200%, 1/12sec, F3.5, 24mm相当)

 次はとある深夜の駅。明暗差も激しいですが、暗くてISO感度が1600まで上がってることもあり、低ノイズ優先モードになっています。オリジナルは蛍光灯が飛んでしまうのはいいとしても、ちょっと明るすぎるくらいかも。でもそんなに悪くありません。蛍光灯の色被りが残っていますが、雰囲気あってこれはこれで良いのではないかと。RAW FILE CONVERTOR EXも似たような結果になりました。もちろん、もっとホワイトバランスを補正することは可能です。
 そしてLightroom3.4。これもまた他の二つとは大きく違う結果となりました。特にマニュアルで調整せずとも緑被りがかなり補正されていますし、ノイズリダクションもよく効いていて、オリジナルよりもS/Nは良好です。さすが裏面照射EXR CMOS、さすがLightroom。
 しかし何よりも違うのは周辺光量と画角。Lightroomで現像した画像は、画面下部には周辺光量低下ではかたづけられないくらいの影が出ており、他の2枚より少し広い範囲が写っています。レンズのイメージサークルよりも外が記録されてるかのよう。

 そこで3枚をじっくり見比べてみると分かるのですが、オリジナルとRAW FILE CONVERTOR EXは、レンズの歪曲補正と周辺光量補正がかけられているらしいことが分かります。しかしオリジナルとRAW FILE CONVERTOR EXの補正結果は同じではありません。オリジナルが最も強く補正が掛かっているようです。

 一方でLightroom3.4はF550EXRのレンズ補正のデータは持っておらず、歪曲補正も周辺光量補正も全くされていないようで、文字通り生のファイルとなっているようです。Lightroom3.4にもマニュアルでレンズ補正をする機能もありますし、もちろんトリミングも可能なので、最終的にはそこまで自力でやる必要がありそうです。先の2枚も恐らく同じ状態なのですが、望遠よりで撮った写真なので目立っていないと思われます。

 レンズ収差補正をマニュアルで丁寧にすることを前提にすれば、色味もノイズ感も良好でシャープネスもあって、Lightroom3.4が一番良い結果が得られそうです。

海:DRモードの場合(2)

DSCF0446
オリジナル(プレミアムEXRオート, DRモード, ISO100, DR200%, 1/125sec, F3.5, 24mm相当)
DSCF0446_2
RAW FILE CONVERTOR EX(プレミアムEXRオート, DRモード, ISO100, DR200%, 1/125sec, F3.5, 24mm相当)
DSCF0446_3
Lightroom3.4(プレミアムEXRオート, DRモード, ISO100, DR200%, 1/125sec, F3.5, 24mm相当)

 最後にもう一枚。城南島から見た東京湾の風景です。ワイド端で撮影し、DR200%に設定されています。オリジナルはちょっとあっさり目ですが、これはこれで良い感じです。が、RAW FILE CONVERTOR EXで現像してみると面白い結果になりました。というか、ホワイトバランスの調整項目で"オート(SILKYPIX AWB)"を選んでみたら、上の写真のように真っ青になりました。PENTAXの一眼レフでいうところのCTEみたいな感じ。もちろんRAWですのでマニュアルで微調整すれば、ホワイトバランスは如何様にでもなります。ただ、こういう色に仕上げることもできると言うことで、やはりRAWは面白いな、と。
 Lightroom3.4のオートホワイトバランスは黄色っぽい微妙な結果になりがちなのですが、このカットも例外に漏れず。それもマニュアルで直せば良いのですが、それよりもこのカットも上の亀の場合と同様、ハイライトを補正しきれません。そして上の駅のカットと同様に、水平線に歪曲が大きく残っていてレンズのイメージサークルの端っこが見えています。

 それにしてもLightroomだけ激しくオーバーとなってハイライトの階調が全く救えないのがよく分かりません。DRモードで撮影した場合、低感度と高感度の画像を一度に撮影するというEXR CMOSの吐き出すRAWデータを上手く扱えておらず、高感度寄りのデータのみ読み込んでるかのようです。レンズ補正についてはまだしも、これではちょっと使い物にならない気がします。

まとめ

 ということで、やはりRAWファイル現像は奥が深かった... というのは当たり前ですが、F550EXRの場合、少なくともRAW現像は添付のRAW FILE CONVERTOR EXを使ったほうが総合的に良い結果が得られます。AdobeのRAW現像については、強力なNRは魅力なのですが、DRモードへの対応についてもう少し様子を見た方が良さそう。

 RAW撮影すればカメラが吐き出すJPEGとは違った結果が得られますし、自分好みの映像に仕立てられるのは確かです。が、F550EXRが吐き出すJPEGはどんな条件でも十分に綺麗ですし、このカメラで積極的にRAW記録を常用するという必要はなさそうです。

 また、RAW+JPEG記録に設定した場合、カードへの書き込み時間がかなり長くなります。書き込み中でも次の撮影もできますし、操作を全く受け付けなくなるようなことはないのですが、書き込み中は電源OFFすることができません。私はシャッター切るととりあえず画像を簡単にチェックして、すぐに電源切る方なので、書き込みが完了するまでカメラを仕舞うことができずに、かなり待たされることがありました。

 いずれにしても、ここぞと言うときに威力を発揮するかもしれないのは事実。コンパクト機といえどもRAW記録できるという点は、大いに評価したいところです。分かる人にだけ使って欲しい、というコンセプトなのだろうとは思いますが、できればこれもまたもう少し設定しやすくして欲しいところです。