酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2011年F1第4戦 トルコGP

 前戦から3週間ぶりのレースがトルコはイスタンブール・パーク・サーキットで行われました。将来の存続が危ぶまれているレースですが、まだ今年でF1の開催は7回目。ティルケのデザインによる近代サーキットの中では一番とも言える、優れたレイアウトのコースです。テレビでも散々言っていたように、長い長い複合コーナー、ターン8が一番の特徴。
 このターン8にも象徴されるとおり、全体的に高速で気温も高く、タイヤにはまた一段と厳しいサーキット。前回、新品タイヤを温存したウェバーが快進撃を遂げたこともあり、タイヤ戦略はより一層重要度を増しています。
 今回は目先を買えて、トップ3以外のドライバーについて注目してみました。

「ピットストップに問題があった」 フェリペ・マッサ/フェラーリ

 マッサは2006年から3年連続優勝し、このコースで最多勝利記録を持っています。しかも全てポール・トゥ・ウィンという完全勝利。このドライバーズ・サーキットを誰よりも得意としていました。しかしそれも戦闘力あるマシンがあってのこと。さらに一昨年の事故以来、マッサのレースぶりはどことなく変わってしまったようにも思えます。
 今回の予選では早々にソフトタイヤを使い果たしてしまい、せっかくQ3に残ったものの、タイヤ温存のためにQ3ではアタックをしないという、何とも情けない作戦に。でもそれは多分正しい決断だったのでしょう。そういう作戦を取らざるを得ないピレリタイヤがやはり異常なのだと思います。
 しかしレースがスタートしてみれば大暴れ。アロンソが結果を残したことからもわかるように、フェラーリのマシンは決勝ではそこそこのペースを持っていたようです。レース前半はポイント圏内でハミルトンやバトン、シューマッハなどとバトルを繰り広げますが、後半には急激に失速。ピット作業の失敗なども響いて、国際映像に頻繁に映っていたわりには、結局スタート順位も守れず、ポイント圏外でレースを終えてしまいました。
 良くなってきたマシンに得意なコース、チームメイトは表彰台獲得となれば、これまで3戦の結果からしても、当然ポイント圏内でのフィニッシュを期待したはず&期待されたはず。ピットストップの問題もあったのでしょうが、得意なコースに熱くなりすぎて、むしろタイヤを痛めてしまったのではないか?という気もします。
 ここまでの3戦ではそこそこのポイントを獲得しているものの、どこかパッとしません。先行きが心配なドライバーの一人です。

「大部分が僕のミスだ」 ミハエル・シューマッハ/メルセデスGP

 最近はフジテレビでも擁護されなくなってきました。私にとっても、現役中は(って今も現役ですけど)好きではないタイプのドライバーでしたが、最近は何となく気になって仕方ありません。昨シーズンはニコ・ロズベルグに完敗しましたが、その傾向は今シーズンに入っても変わっていません。
 今回も中段グリッドからスタートし、多くのマシンと絡む忙しいレースとなりました。バトルの最中に見せるシューマッハの動きは、さすが一時代を築いたトップドライバーと思える緻密なものもあれば、あまりにも無作為すぎると思えるものもあります。その中でも今レースのポイントは序盤のペトロフとのターン12でのバトル。この戦いは結局接触に至り、ウィングを壊したシューマッハの負けとなりました。
 確かに前を行くシューマッハが無理をしてラインを閉めたために起きた接触かもしれませんが、リプレイを見ているとペトロフは明らかにオーバースピードでイン側に突っ込んでいます。アウト側でどちらかというとレコードライン近くにいたシューマッハは、その動きを予測できずに普通にコーナーに侵入しぶつかった... ようにも見え、シューマッハは自分のラインの正当性を主張し、ペトロフを激しく責めるかと思っていました。が、意外なこのレース後のコメント。もちろん当事者が自分のミスだ、と言うからには避けられたことなのでしょう。
 結局この接触による予定外のピットインのおかげで、戦略は大幅に狂ったはず。ロズベルグのレースを見ても、メルセデスGPにはレースペースがあったとは思えず、シューマッハは12位に。ポイントランキングでは小林可夢偉と並んでいます。
 今後の行方が一番心配なドライバーです。

「ポイントは取れると思ってた」 小林可夢偉/ザウバー

 なかなか頼もしいことを言うようになってきました。結果が出ているのだからこの言葉にも説得力があります。タイヤマネージメントの上手い小林にとっては、期待されたレースでしたが、予選でいきなりエンジンが止まってしまい、ノータイムという結果に。もちろんグリッドは最下位です。
 しかし今年のF1ではそれも悪いことばかりではありません。予選を走らなかったと言うことは、新品のタイヤセットが丸々残っているということを意味し、これは前戦でマーク・ウェバーが証明して見せたように、決勝ではものすごいアドバンテージとなる可能性があります。
 そんな周囲の期待は、本人にとっての確信でもあったのでしょう。レースがスタートするとどんどんとポジションを上げ、ポイント圏内はしっかりと視野に入ってきました。あとは何ポイント取れるか?の問題。と思った矢先、勢いが止まります。パンクによるタイムロスと予定外のタイヤ交換。終盤に来てレースの組み立てが大きく崩れます。
 そのために最後のスティントは非常に長くなり、タイヤを持たせるギリギリの走りで、終盤は追い上げてくるマッサとの戦いに。国際映像には映ってなかったのですが、残り3周時点で7秒前後あったギャップは、チェッカーを受けたときには1秒強に縮まっていました。あと1周あったら、DRSで確実に捕らえられていたことでしょう。
 どちらかというと、不運が重なったと言える今回のレースですが、それだけにまた小林のレースの上手さが際立ったとも言えます。この調子で成績を重ねていって欲しいです。

 ベッテルは今レースも圧勝。不貞不貞しいほどの強さです。ベッテルに負け続けているウェバーは、ようやく2位に入ることができました。そして3位も「ようやく」と言う言葉がぴったりなアロンソ。マクラーレンが表彰台にいないのが不思議な感じです。ルノーは今レースでもイマイチ。メルセデスと良い勝負になってきました。ここに割っては入れそうなのは、ザウバーとフォースインディア。ウィリアムズも調子が上がってきたようです。

 さて、次戦からはいよいよ本格的なヨーロッパラウンドへ。2週間後のスペインGPです。これからF1のハイシーズンが始まります。

 トルコGPのリザルトはこちらです。