酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2011年F1開幕戦 オーストラリアGP

 今年もいよいよF1が開幕しました。今年のF1は本当は2週間前にバーレーンGPで開幕する予定でしたが、バーレーンの政情不安により、まさかのキャンセル。いや、正確には延期とされていて、後半戦に行われるかもしれないそうです。いずれにしても開幕戦は2週間遅れて、本来は第2戦として予定されていたオーストラリアGPが事実上の開幕戦となりました。
 ほとんどのチームやドライバーは、マシンやヘルメットに日本に対するメッセージを入れており、国際映像としてドライバーらによるメッセージビデオも作られ、全世界で放映されるそうです。F1はショービジネスですので、そのような態度を取るのは当然とは言え、日本とF1の関係の深さを感じる部分もあり、日本人のF1ファンの一人としては、じんわりと来るものがあります。
 F1がこの災害に対して出来ることは何もありませんが(むしろ資源を大量に消費するスポーツではありますが)、是非10月の日本GPは例年通り盛大に開催されて欲しいと願っています。

「決して簡単なレースではなかった」 セバスチャン・ベッテル/レッドブル

 というのは優勝者のおきまりの文句ですが、それが本当かどうかは別にしても、端から見ていれば圧倒的完勝でした。予選からしてまったく他を寄せ付けないタイムをたたき出し、レースでも一度もトップを譲ることなく、譲る気配さえ見せることなくポールトゥウィン。いや、スタート後追いかけてくるハミルトンに迫られたようにも見えましたが、タイム差はタイヤ戦略や背後で繰り広げられるレース展開を見つつ、完全にコントロールしているかのようにも思えました。
 彼に唯一不安があるとすればスタートだったはず。しかしそれも冷静に上手く切り抜けました。むしろ素晴らしいスタートダッシュ。レッドブルはスタート専用のKERSがついているという噂ですが、真偽の程はどうなのでしょう?
 ニューウェイ作のレッドブルのマシンRB7の速さは今年も健在なようです。それにしてはチームメイトでここがホームグランプリとなるマークウェバーは、かなり苦戦して5位に終わってしまい、このマシンが昨年のように安定した早さを持つオールラウンダーではなく、ベッテルに合わせた特殊なマシンである可能性もあります。いずれにせよ予選でも決勝でもKERSを全く使わずに、この結果をたたき出すのですから、他のチームはとても頭を痛めていることでしょう。
 今年カーナンバー1をつけたベッテルは、今シーズンこそチャンピオンシップのリードすることができるでしょうか? まだ1レースだけでは判断つきませんが、その可能性は高そうです。

「マシンは素晴らしい感触だった」 ルイス・ハミルトン/マクラーレン

 誰もがマクラーレンの今回のパフォーマンスには驚きましたが、もしかしたら一番驚いてるのはドライバー達なのかも知れません。あるいは陽動作戦がぴったり填まってほくそ笑んでるでしょうか。と言うのもシーズン前のテストでは、マクラーレンの新マシンはボロボロで、他のトップチームに比べて明らかにパフォーマンス不足、信頼性不足と思われていたからです。
 それがいざ開幕してみれば、この結果。さすがは名門マクラーレン。ベッテルには歯が立ちませんでしたが、今回のレースで唯一ベッテル+レッドブルへの挑戦権を手にしたのは、ハミルトン+マクラーレンでした。もちろん、フェラーリよりもメルセデスよりも圧倒的に速く、安定感も信頼性もあり、タイヤとのマッチングも悪くありませんでした。
 一方のバトンは出入りの激しいレースで、結果こそ6位に終わりましたが、戦闘力は十分に見せつけたと思えます。ペナルティを受けつつも、結局マッサの遙か前でフィニッシュしていますし。
 このマクラーレンの勢いが今後どうなるか? やはりこの1レースだけでは判断つきませんが、今後のマシンの開発競争の進み具合によっては、やはりハミルトンはベッテルにとって一番の脅威と考えるのが妥当なのでしょう。夏場の熱いレースでは、タイヤの状況次第ではもちろんバトンも侮れません。

「このレースのことはこの先ずっと忘れないだろう」 セルジオ・ペレス/ザウバー

 ルーキードライバーが活躍する姿はとても見ていて楽しいものですが、日本人F1ファンには、今回のペレスのパフォーマンスは、やや複雑な気持ちで見ざるを得ません。耐久性が著しく悪いと言われていたピレリタイヤをもって、1ストップで走りきってしまった彼のレースぶりは、他のチームに大きなインパクトを与えたはずです。直接のライバルとなる中段チームはもちろん、手堅い3回ストップを行ったような、上位チームにさえも。そしてチームメイトとなった小林可夢偉にとっても。
 タイヤ戦略を弄してポジションを奪うというトリッキーな戦略は、昨年まで小林可夢偉が得意としていたものです。これは戦略の巧妙さはもちろんですが、狙い通りに実行するのは至難の業。小林はそれが出来るドライバーとして評価されていました。そのお株をこのレースがデビューとなる新人、ペレスに今回はすっかり奪われてしまいました。しかもフィニッシュ順は小林の上。ペレスにとっては言葉通り、このレースは忘れ得ない大成功となったはずです。
 が、残念なことに、レース後の車検でザウバーは2台とも失格になってしまいました。この騒動がどうなるかは分かりませんが、レーススチュワードの裁定は、よほどのことがない限り覆らないでしょう。ポイントは失ったのは痛いですが、彼のレース内容は誰も否定できるものではありません。

 前評判の高かったフェラーリはパッとせず。スタートの失敗が響いたアロンソは結局4位が精一杯。マッサは様々なドライバーとバトルを展開して、元気が良いようでいながらフィニッシュ順は9位と振るわず。前評判が高かったメルセデスは、最悪のレースとなり、結局今回のレースにおける勢力図は、昨シーズン末の状況とあまり変わりがないように見えます。
 ピレリタイヤにDRSにKERSにルーキードライバーと、多くの新しい要素が加わった今シーズン。今後どう展開していくのか楽しみです。
 次は2週間後、春のアジアシリーズ初戦となるマレーシアGPです。

 オーストラリアGPのリザルトはこちらです。