酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

食いしん坊

 力士料理のあと向かったのは「食いしん坊」と言うわかりやすい名前のお好み焼き屋さん。緩い雰囲気の店名に対し、店構えはかなり上級者向けな雰囲気を醸し出しています。酔っ払っていないと一見では入りにくいはず。とはいえ私たちは一見ではないのですが、かといってすっかり溶け込んでいるとも言えない中途半端な状況。

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 こっそりと暖簾の隙間から中を覗くと、お客さんは誰もおらず、お店のおやじさんが新聞を読んでくつろいでいました。気配を察知したのか、鋭く振り向いたおやじさんと目が合い、おやじさんはおもむろに立ち上がって厨房へ。「いいから入れよ」という承諾の意に違いありません。
 店内はカウンター席のみ。お好み焼きがメインとはいえ、自分で焼くタイプのお店ではなく、カウンター幅一杯の巨大な鉄板でおやじさんが焼いてくれます。小さな厨房は丸見え。鉄板の大きさが際立ちます。映りの悪いブラウン管のアナログテレビが据え付けられているなど、かなり本気で昭和の雰囲気。

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 先にたっぷり飲み食いしてきて、〆のおにぎりまで食べてきたところですが、せっかくなのでお好み焼きを発注。4人で1枚くらいは食べられるはず。具を間に挟んだサンドイッチタイプの広島風。手際の良さを眺めているだけでも楽しいです。できあがると、ポイッと目の前にフィードされてきます。切り方は自由。鉄板の端っこなので冷めないし焦げなくて、最後まで美味しく食べられます。

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 このお店の名物の一つ、カッパハイです。焼酎の水割りに細かく刻んだキュウリがドカッと入っています。ただそれだけ... なのにこれがやめられないほど美味い。実は以前に一度来たことがあって、そのときはカッパハイを頼んだらキュウリが切れていました。激しく残念がる私たちを見て、急遽キュウリを取り寄せて作ってくれたことがあります。
 しかし今回のカッパハイは、その前回のカッパハイよりずっと美味しかったのです。キュウリが違うのでしょうか? 時間が経つにつれて、どんどんとキュウリの味わいというか旨味が焼酎に溶けてきて、何とも言えない風味。甘いとさえ感じるほど。焼酎はごく普通のボトルもの。でも生のキュウリをこれだけ使うと考えると、実は贅沢な飲み物なのかも。すでに十分できあがっているのに、あまりの美味しさにおかわりしてしまいました。

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 お好み焼きで本当にお腹いっぱいになったので、おつまみに銀杏をもらいました。しょっぱいものはお酒と合いますよね。
 お腹いっぱいと言いつつ、その後結局焼きそばまで食べてしまった気がします。鉄板で作る普通のソース焼きそば。でもどこかひと味違います。スルスルと食べられてしまいました。

 映りの悪いテレビに某俳優さんが出ていたのを見て、なぜか話題は幕末論へ。これは危険な話題です。喧嘩一歩手前のお互い相容れない主張で激論を戦わせる私たちを、おやじさんは生暖かく見守っています。所詮酔っ払いの言うことですからね。

 そうこうしているうちに夜も更けてきて結構もういい時間です。ガラガラで我々だけだったお店に、常連さんらしきおじさん達がやってきました。そろそろ潮時かも、と言うことで退却。溶け込めるようになるにはまだまだハードルが高そうですが、是非ともまた行きたいお店です。


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