酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

カメラ遍歴

 先日見つけた古いフィルムをようやく一通り見終わりました。それらの膨大な、しかしほとんどはあまり意味のない写真とともに、昔のことを懐かしく思い出しているのですが、そこで一つ思い立って、これまでに使ってきた「カメラ遍歴」というのをまとめておこうと思います。懐かしいなぁ、という個人的な思い出話である一方、車好きな人にとっての「車歴」に相当するヤツです。その世界における自分の立ち位置を表すというか、自己紹介の一部と言えるかと思います。以下長文です。かつ、かなり自分の世界に入り込んでいます(A^^;

Nikon F


 ここから始めてしまって良いのか分からないのですが、写真を撮ることに興味を持ち始めて、初めて使った一眼レフというのは、間違いなくNikon Fだったと思います。中学生の頃のことです。もちろんこれは自分で買ったのではなく、父親が使わなくなっていたものを勝手に使っていたものです。
 Nikon Fについてはもはや説明の余地は無いと思うのですが、現在のNikon D3に続くNikonのフラッグシップ機の記念すべき初代のカメラです。伝統のFマウントもここから始まりました。我が家にあったのはアイレベルファインダーのシルバー仕様でした。レンズは50mmF2、35mmF2.8、55mmF3.5マクロなどがあったと思います。
 当時、私にはこのカメラの偉大さがあまり分かっておらず、重たくて最高シャッタースピードなどのスペックも低く、裏蓋も変な開き方するし、なんと言っても露出計がないのが不便で、恐ろしく使いにくいカメラだと思っていました。なんとも勿体ないことです。ひんやりした塊感抜群のボディ、ギアの感触、チタン幕横走りシャッターの奏でる音など、良く覚えています。
 その後そのまま父に返したので今はどうなっているのか分かりません。

Nikomat FTn


 これも上のNikon F同様に父から借り受けたカメラです。Nikon Fに露出計がないことを嘆いていると「だったら良いのがあるよ!」ということで手渡されました。当時Nikonブランドはフラッグシップ機にしか与えられず、Nikomatは普及機ブランドだったそうです。
 AEは無いマニュアル機でしたが、露出計は内蔵されており、ファインダー内に+/-表示指針がついていました。カニ爪でレンズのF値を読み取るために、レンズの取り付け時には絞りリングを一往復させる必要がありました。また、シャッターダイヤルが軍艦部ではなく、後のオリンパスのようにマウント付け根についていたのも特徴です。
 露出計がついているというだけで、Nikon Fよりもこちらの方が気に入って、その後よく使っていました。とはいえ、その時代はすでにキヤノンA-1やニコンFA、ミノルタX700、ペンタックスSuperAなどの、マルチモード電子制御カメラ全盛の時代だったので、このNikomatも古くさいカメラであることに変わりはありませんでした。
 で、なぜかこのカメラはいまだに私の手元にあります。ちなみに当時としては珍しいブラックボディ仕様です。すでに露出計用の水銀電池は手に入らなくなっているそうです。その電池はいつ入れたものか分かりませんが今でも露出計は動いています。精度はともかくシャッターなども一通り完動。裏蓋のモルトは腐食してますが、ミラーボックスはまだ無事。レンズはなぜかGN45mmF2.8という、渋いレンズがついています。今度これで写真撮ってみようかな?

Nikon F-501


 ここから一気に世代が新しくなります。先のエントリーで紹介したように高校入学時に買ってもらいました。1986年春のことです。このカメラはちょうどその春に発売になったばかりの最新鋭機。いくつかの実験的AF機を除けば、市場に出ている本格的AFシステムカメラは、ミノルタのα7000とこのF-501だけだった時代です。キヤノンがEOSを発売するのはまだ1年先(キヤノンはT80というAF機がありましたっけ)。
 しかし最新のAF一眼レフとは言え、このF-501は色々な点で微妙なカメラでした。ワインダーは内蔵だけど巻き戻しは手動。マルチモード機とは言え、シャッター優先モードはなし。絞り込みプレビューもないしミラーアップもなし。分割測光もスポット測光もなし。ファインダー内には絞り値の表示もありません。オートフォーカスという最新技術は搭載したけれども、そのベースはごく普通の廉価普及機ベースだったと言えそうです。
 そのAFはそれこそ今に続くシステムの基礎となったわけですが、AFセンサーは自社製ではなく、ハネウェル社のTCLというモジュールを使用し、暗所性能などかなりの点でミノルタαには及びませんでした。いずれにしても今の時代からしたら冗談みたいな性能だったと思います。それでも私はほとんど全ての写真をAFで撮っていました。
 最初についていたレンズはAF35-70mmという当時としては普通の標準2倍ズーム。それにアルバイトをしてAF70-210mmの望遠ズームを買い足しました。さらに、当時から望遠好きだった私は、その後さらに働いてAF300mmF4EDも買った記憶があります。あれ、いいレンズでした。
 高校生時代はこのカメラで過ごし、その後新しいカメラを買ってからも社会人になるまで持っていたのですが、ある日写真に興味を持ち始めた知人に、太っ腹にもレンズ付きでタダであげてしまいました。しかしなぜか35-70mmズームだけは今でも元箱付きで手元に残っています。

Nikon F-601QD


 大学生になってからF-501の後継機として手に入れました。1990年9月発売のカメラですが、確か予約を入れて発売日に買ったと思います。クオーツデート無しとありがラインアップされていましたが、旅先でのスナップを撮ることも多かったので、クオーツデート付きにしました。同時に初めての単焦点レンズとしてAF50mmF1.4を買いました。
 このときすでに上位機種のF-801や普及機種のF-401もデビューしていて、このF-601は5年前のF-501と比べるとかなり近代的なカメラになっていました。フラッシュが内蔵され、AFの性能も大幅に上がり、分割測光も搭載され、液晶表示にダイヤル+ボタンによるオペレーション、巻き戻しもオートなどなど。写真を撮ることに関してはあまり本質的じゃない部分も含めて、私が欲しかったものが全部入っているカメラでした。
 がしかし、なぜか使っていてしっくり来なくて、多分1年くらいですぐに手放してしまいました。何が気に入らなかったのか、具体的には思い出せないのですが。持っていたことは覚えているのですが、どんな写真を撮ったかは全く思い出せないカメラです。

Nikon F-801s


 F-601にモヤモヤしたものを感じていたときに発売になり、店頭で触ってみて一目惚れし、それまで持っていたレンズもあらかた下取りに出して、思い切って買いました。発売が1991年3月ですが、私が手に入れたのは半年後くらいだったと思います。F-801のマイナーチェンジ機で、AF性能の向上とスポット測光の搭載くらいがF-801からのアップデート点でした。
 これまで使っていたF-501やF-601とは明らかにランクが一つ違うカメラでした。AFの動作の緻密さ一つ取ってもそうですし、特に一番大きいのはファインダーの見やすさ。倍率や視野率などのスペックはごく普通でしたが、やはり外見にも大きなファインダー部には大きなプリズムが入っていたのでしょう。一眼レフの命はやっぱりファインダーだな、と一人納得したものです。
 レンズは最初は28-70mmという、当時流行始めた少し広角側に伸びた標準ズームを使っていました。その後AF35mmF2や、AF180mmF2.8EDなど、単焦点レンズばかり使っていたと思います。
 このカメラは海外旅行にも何度も持って行きましたし、初めてF1日本GPを撮ったのもこのカメラでした。とても満足して、その後新発売になるカメラにはほとんど興味を持たないほど気に入って使っていました。
 なのになぜかもう手元にはありません。いつ、どうして手放してしまったのかも覚えていないほどです。勿体ないことをしました。

Nikon F80D


 このカメラを手にした経緯も良く覚えていません。F-801sを手放した後だったのか、前だったのか...? 最近のことなのに印象が薄いのは、この頃はカメラというか写真に対する情熱が一時薄れていたときだったと思います。すでに出始めていたデジタルカメラ(一眼レフではなく)の方に夢中になっていたのでしょう。
 F80の発売は2000年とのこと。PEUGEOT 306に乗り始めたのと同じくらいです。それほど時間をおかずに買ったと思われます。ちなみにこのF80は、上位のF100と共に2006年まで販売され、Nikonのフィルム機としてはF6とFE10を除いて、一般向け普及機としてはほぼ最終製品と言えるカメラです。
 F-801sと比べると一クラス下の普及機なのですが、性能機能はもちろん質感も使いやすさも抜群に進歩していました。何よりも一つ一つの動作音が、ニコンらしくないほどに静かだったのが印象に残っています。ファインダーも見やすく、機能も十分。そこそこ小型軽量で、拘りがほとんど無いなりにとても気に入って使っていたと思います。
 レンズはこのとき、24-85mmF2.8-4という、変わったスペックの標準ズームと、75-300mmの望遠ズームを使っていました。このカメラはその後、友人との間でPENTAX MZ-Sとトレードしています。

Nikon D70s


 2004年に発売されベストセラーとなったD70のマイナーチェンジ版です。2005年春に発売され、すぐに手に入れました。そろそろデジタルの時代かな?と言うことで。それまで15年以上にわたってニコンを使ってきた身としては、当然のようにデジタル一眼レフもニコンから選びました。当時D100という上位機種がありましたが、進化著しいデジタルカメラとあっては、最新こそ最良という図式が明らかだったので、自動的にD70以外に選択肢はありませんでした。
 当時最新の610万画素のCCDを搭載し、ISO200〜1600まで対応。記録はCFカードで、背面液晶は13万画素の2インチ。5点AFや1005分割のRGB測光、〜1/8000秒シャッターなど、一眼レフカメラとしての基本スペックは、十分すぎるほど充実しています。なのに唯一最大の欠点が一眼レフの命であるファインダー。APS-Cサイズでタダでさえ見かけの倍率が低いのに、ペンタミラー式なために、覗いた感じはとても残念なものでした。
 レンズはキットになっていた18-70mm。手ぶれ補正こそ入っていませんがSWM駆動なことに感動したものです。結局新しく手に入れたレンズはこれだけで、望遠ズームはF80Dと共に使っていた75-300mmをそのまま流用していました。デジタルとの相性がどうのなんてことは気にせずに。
 デジタルと言うこともあって、手にしてからそこそこ使いはしましたが、あまり趣味性を感じることがなく、結局飽きてしまいました。それも含めてデジタルっぽいなと。その後また短い写真趣味の停滞期を迎えてしまいます。使わなくなってから、ただ置いておくのは勿体ないと思い売ってしまいました。
 特に思い入れのあるカメラではないのですが、ちょっと勿体なかったかな?と思っています。とりあえず持っていれば、マルチマウント運用できたのに。

PENTAX K-7


 そして現在に至る... と。D70sを手放してから1年くらいのブランクを経て再び手にした一眼レフがこのPENTAX K-7です。一昨年の夏前、ほとんど発売と同時に買いました。最近ではすっかりPENTAXファンのふりをしていますが、ここに書いてきたとおり、本当は20年来のNikon党だったのです。
 再び一眼レフを買おうと思った目的は、この年の秋にF1日本GPに行くことになり、にF1マシンの姿を撮りたいと思ったからです。当然次もNikon... という先入観も相変わらずありましたし、当初は適当に安くて軽い機種に超高倍率な便利ズーム1本でいいや、と思っていました。
 しかし、久しぶりに色々な機種を物色して調べているうちに、店頭でK-7のデモ機を触って、ファインダーを覗いて空シャッターを切ったときに、「あぁ、これだこれ!」と、理屈じゃない何かを感じてしまいました。プレミアムスモールというコンセプトにも牽かれたし、もちろん機能性能などスペック的にもとても魅力的です。
 ちなみにPENTAXのAFは他メーカーと比べて動体に弱いと言われていることを知ったのはずっと後です。でも、問題ありません。ちゃんとF1もそれなりに撮れましたし。
 で、このカメラを手にしてから予想しなかったくらいに写真熱が盛り上がってしまい、その後レンズをやたらに買いまくって(しかも一部はすでに手放して)新たな沼にはまっています。私にとっては写真を撮る楽しさを久々に思い出させてくれたカメラ、として記念すべき一台です。

PENTAX MZ-S


 Nikonのデジタル一眼レフユーザーの知人が持っていたものを、私が死蔵していたNikon F80+レンズ2本と交換してもらいました。詳しくはこちらのエントリを参照願います。
 事実上のPENTAX最後のフィルム一眼レフにして、デジタル一眼レフのベースになり損ねたカメラです。奇妙な形をしており、スペックも微妙なのですが、一通り必要な機能はしっかりと押さえられています。シャッターを切った感触も、K-7に慣れた身からすると、最初はちょっとびっくりしましたが、慣れてしまうと意外に好きになってきました。
 と言っても、やはりフィルムを使う機会は早々ありません。というか、わざわざフィルムで撮ろう!思わない限り、使うことはないのでしょう。手にしてからまだフィルムは2本しか通していません。
 それにしても、35mmフルサイズのファインダーの見やすいことと言ったらありません。やっぱり写真にとって撮像面のサイズは重要だよなぁ、と改めて思ってしまいます。

PENTAX K-x


 K-7のサブカメラとして昨年秋に手に入れました。すでに後継機のK-rが発売され、激安で投げ売りされているのを見て、思わず買ってしまいました。詳しくはこちらのエントリを参照願います。当初はレギュラーカラーの白ボディ+黒グリップを買いましたが、後にグリップを黄色に交換しました。
 サブカメラなんて本当は全く必要ないのですが、でも趣味なのでそんな無駄もそれはそれで良いかな?と思います。K-7も小型でどこにでも持って行けるカメラですが、K-xはさらに小型軽量だし、白いボディはどこか緩い感じがするので、一眼レフを構えていると仰々しい場面でも気楽に使えたりします。
 K-7とは世代的に同じなので操作系や、基本的な機能もほとんど同じ。高感度にも強いしK-7の弱点ををうまく補うことが出来ます。ファインダーがペンタミラー式なのが残念ですが、性能的にも全く問題なくて、本当だったらこれ一台だけでも十分に用は足りそうです。

 ということで、現状手元に残っているのは、K-7、K-x、MZ-S、Nikomat FTnの4台です。フィルムの2台はほとんど使っていませんが。
 こうして振り返ってみると、一つのものを長く使い続けられず、とっかえひっかえしてしまう飽きっぽい性格は全く変わっていないようですね。これからもきっと変わらないことでしょう(A^^;