酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2010年F1第18戦 ブラジルGP

 過去幾度もチャンピオン決定の場となってきたブラジルGPが、今年もサンパウロのインテルラゴス・サーキットで開催されました。昨年は後半戦にポイントが稼げずに苦労したバトンが、2008年には最終ラップの最終コーナーでオーバーテイクをしたハミルトンが、2007年にはまさかの大逆転劇を演じたライコネンが、チャンピオンを決定したのがこのブラジルGPでした。
 しかし今年は僅差で5人のドライバーがチャンピオン争いを繰り広げていおり、ここでチャンピオン決定!という気配ではありません。そんな中、土曜日に雨が降り大波乱の予選結果を生み出しましたが、レースは比較的落ち着いたものとなりました。次の最終戦に向けていよいよチャンピオン争いは大詰めを迎えます。 

「これ以上の力は僕には残っていない」 ニコ・ヒュルケンベルグ/ウィリアムズ

 ウェットの予選をぶっちぎりのタイムを記録して世界のF1ファンをあっと驚かせました。路面がどんどん乾いていく中、Q3は全員ドライタイヤに交換し次々にタイムを更新していきます。うまいことチェッカーの2秒前にコントロールラインを駆け抜けた彼は、最後の最後にアタックすることになりました。
 が、路面状況が少し変わったのでしょうか? 少しだけ前をいくライバル達は結局最後のアタックで伸び悩み、前の周回でヒュルケンベルグが出したタイムを上回ることが出来ません。この次点でヒュルケンベルグの初ポールポジションは決まったのですが、それでも彼は最後の周回でさらにタイムを大幅に更新し、結局2位のヴェッテルに対して1秒以上の差をつけての圧勝。ウェットがらみの幸運とも言えますが半分は彼の力だったとも思います。
 しかし残念ながらレースが始まってしまうと、トップ争いに留まることは出来ませんでした。チャンピオンを賭けて戦っているレッドブル、フェラーリ、マクラーレンに次々に抜かれ、結局8位でフィニッシュ。しかしコメントの通り、この結果は十分満足のいくものだったのではないかと思います。
 来期のシートが危ぶまれていましたが、今回のレースでだいぶ(シート交渉のための)ポイントを稼いだのではないかと思います。

「あとは他の2人がどこにいるか次第」 セバスチャン・ヴェッテル/レッドブル

 これでようやく今シーズン4勝目。鈴鹿での優勝もそうでしたが、彼が良い結果を残したときに思い出すのは、いかにこれまでに取れたはずのポイントを失ってしまったか、という正反対のことです。特に2週間前の韓国GPの悪夢が頭をよぎります。
 スタートでうまくヒュルケンベルグの前に出た後は、ペースをコントロールしながらのトップ独走態勢。ミスかトラブルさえなければ危なげないレース展開ですが、こういう状況で今シーズン、ヴェッテルは何度もポイントを失ってきました。しかし、全開時間の長いインテルラゴスでは、問題なくエンジンもマシンも持ちこたえました。
 これでアロンソから16ポイント差の3位。ぎりぎりチャンピオン争いに生き残りました。いずれにしても次のレースではヴェッテルが一番のキーを握ってると言えそうです。もしアロンソが万が一下位に沈めばウェバーとの一騎打ちに。今回同様の展開になった場合は・・・引用したコメントにあるとおりです。

「それはチームの方針じゃない」 マーク・ウェバー/レッドブル

 2位のポジションで退屈なレースを過ごしてしまいました。予選とスタートでレースが決まるとはこのことかと思います。トラブルかミスがない限り、ヴェッテルの前に出ることは絶望的。幸いアロンソが後ろにいることもあって、最善ではないけれども悪くはない結果を受け入れるしかなかったと思われます。
 でも、チームが本当にダブルタイトルを狙うなら、ここはヴェッテルとウェバーの順位を入れ替えるべきだったとも言えるでしょう。ウェバーも本当はそれを望んだはず。でもチームもヴェッテルもそうは考えませんでした。あくまでも二人のドライバーを公平で対等に扱い、間接的にしろ何にしろチームオーダーは出さない、と。
 うん、それがやはり正しいのでしょう。一番わかりやすいです。フェアを貫くからこそ、次戦では展開次第で(決して仲の良くない)ヴェッテルのサポートも期待できるわけです。

「レッドブルはフェアプレイの方針を続けるべき」 フェルナンド・アロンソ/フェラーリ

 レースではレッドブルの2台に歯が立ちませんでしたが、結局ポイントリーダーの地位を守り、最も有利な状態で最終戦を迎えられます。誰が優勝しようと、アロンソは2位に入ればチャンピオンです。しかし、また次もレッドブルの2台に前に行かれると絶望的という意味では、決して楽な最終戦にはなりそうもありません。むしろ2対1で不利な戦いを強いられると言えるかも知れません。
 ところで上に引用したコメント。正確にどういう言葉をどういう文脈で使ったのか分かりませんが、自らのチームは「フェアプレイではない」と言ってるようなもの・・・というのは意地悪な見方すぎるでしょうか。自分はマッサから全面的なサポートを受けたけど、ウェバーはそうするべきではないと。気持ちは分かりますが虫が良すぎるようです。

 マクラーレンの2台はアロンソに続き、4位5位に入りましたが、バトンは完全にチャンピオン防衛の可能性失いました。ハミルトンは数字の上では24ポイント差ですので、他の上位3人がノーポイントに終わり、自身が優勝すれば大逆転の可能性があります。それが不可能でないことは2007年にライコネンが証明しています。が、それに期待するのはやや楽天的すぎると言えるでしょう。マクラーレンは終盤戦でのマシンの戦闘力が足りなかったようです。
 小林可夢偉は今回も非常に難しいレースを上手くマネージし、ポイントをもぎ取りました。序盤は鈴鹿と逆でオーバーテイクされまくり。セーフティーカーにも助けられ、終盤に2台を抜き返して10位に滑り込む力量は素晴らしいです。次戦はもちろん来期も楽しみです。
 なお、今回でレッドブルのコンストラクターズ・チャンピオンが決定しました。純然たるプライベーター・チームであり、ジャガーを引き継いだとはいえ設立以来わずか6年の新興チームによる偉業と言えます。

 2010年のF1も残すところあと1戦。次は早くも今週末、アブダビGPです。ここで本当に今年のチャンピオンが決まります!