酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

酔って記憶をなくします

酔って記憶をなくします (新潮文庫)

酔って記憶をなくします (新潮文庫)

酔っ払い、それは奇跡を起こす生き物。乗り過ごしや、モノの紛失は序の口。酔って海へ、気がつけば鼻のあたりまで海水が。上司のハゲ頭に柏手を打って拝む。交番のおまわりさんにプロポーズ。タクシーで五万円払い「釣りはいらねえよ」。居酒屋のトイレで三点倒立の練習。ホームレスと日本の未来について語り合う・・・全国の酔っ払いの皆様がやらかした爆笑失敗談&武勇伝が173連発!

 デイリーポータルZの小ネタ道場の主、石原たきびさん編纂による本です。少し前にこの本が出るという情報を得て、発売日を楽しみにしていました。内容はと言えば... タイトルにあるとおり。記憶をなくすまで酔っ払った経験を持つ人々の体験談集です。そこには、酔っ払いにしかできない、数々の珍奇な行動の記録が詰まっています。その一例は紹介文にあるとおり。

 お酒が好きな人なら、長年の間に一つや二つ、お酒を飲み過ぎた末の失敗談があると思います。もちろん私の場合にも数え切れないくらいあります。この本で紹介されている見知らぬ酔っぱらい達の失敗談にクスクスと笑ってしまうのは、とても共感できるからなのです。彼ら彼女らの愚行の数々が、過去の自分や飲み仲間達の姿に重なり、遠い目をして思いを馳せてしまうのです。

 序盤の乗り過ごし編や恋愛編はやや極端なエピソードばかりな気がしますが、紛失編以降は、話の内容自身は猛烈に面白いのですが、酔っ払いが取る行動としてはどれも典型的で、同じ酔っ払いとして共感できるモノばかりです。そうそう、そういうことあるある!自分だけじゃなかったんだ!と。

 やたらに電話をかける。歩いて帰ろうとする。どうやって帰ったかは覚えていない。途中で力尽きて寝てしまう。コンビニでなぜか大量に買い物する。暴言を吐く。全裸で寝ている。身に覚えのないケガをしている。モノをなくしている... などなど。私に当てはまらないなと思ったのは、他人に声をかける(絡む)ことくらいです。いや、それさえ全くゼロではないと思いますが。

 そういう意味では、泥酔経験のある人にしかこの本の面白さは伝わらないかも知れません。酔っ払いに迷惑を被ってる人にとっては不快でさえあるかも知れません。でも、泥酔経験のある人なら... きっとこの本は楽しめると思います。数時間の暇があればあっという間に読み切れます。

 ちなみに、記憶をなくすほど酔うのは、必ず楽しいお酒の席と決まっています。つまらない飲み会でそこまで酔うことはほとんどありません。なので、これからも「適度に」記憶をなくすような楽しいお酒を飲んでいきたいと思います。飲み仲間の皆さん、よろしくお願いします。

 【お気に入り度:★★★★★】