酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2010年F1第12戦 ハンガリーGP

 ドイツGPからわずか1週間後、連戦でハンガリーGPが開催されました。東欧圏唯一のF1の舞台は、カレンダー中でも屈指の低速コース、ハンガロリンクです。F1マシンが進化し、レギュレーションがめまぐるしく変わる中でも、20年前から変わらず「オーバーテイクが難しい」サーキットとして有名です。

 それだけにスタートグリッドが何よりも重要で、トラブルやミスは命取り。そしてピット作戦を上手くこなし、最後は運に恵まれた者の勝ちです。圧倒的な速さをもつレッドブルに対して、マクラーレンに変わって挑戦を仕掛けるのは復活のフェラーリ。しかしその当たり前の図式通りにレースは進まず、オーバーテイクが少ない割に見所たくさんのめまぐるしいレース展開となりました。

「僕は寝ぼけてたかなにかしたんだろう」 セバスチャン・ヴェッテル/レッドブル

 予選でコースレコードをたたき出すほど圧勝し、ここ数戦で鬼門だったスタートも何とか切り抜けました。ラップを重ねるごとにギャップを稼ぎ出し、トラブルさえなければ順風満帆だったレース展開。なのにセーフティーカーに足下をすくわれてしまいました。
 それにしても下らないミスによるペナルティでした。あれさえなければ... もちろん彼は優勝できたことでしょう。あまりにも不注意だったと言わざるを得ません。おそらくセーフティーカー中に10車身以上前の車から離れてはいけない、というルールの存在自体を認識していなかったに違いありません。もちろん私も知りませんでした。
 3位は確かに悪い結果ではありませんが、普通に走っていれば勝てるレースを自らのミスで落としたショックは大きいはずです。しかもチームメイトとウェバーに優勝をさらわれたとなればなおさらです。ポイント差はまだ大したことありませんが、勝利数はダブルスコアになってしまいました。
 レッドブル・チーム内での"ナンバー1"の地位は危うくなってきました。

「素晴らしいスタートだった」 フェルナンド・アロンソ/フェラーリ

 アロンソの今回のレースはスタートに尽きると思います。事前に宣言していたとおり、路面的に有利な奇数グリッドの利を生かして、2番グリッドのウェバーを抜き去りました。あともうちょっとでヴェッテルの前にも出られそうな勢いでした。しかしその後はひたすらポジションを守るだけ。追いかける相手はセーフティーカー前後で変わりましたが、どちらも到底ついて行けるペースではありませんでした。
 それよりも、レースの後半のほとんどをぴったり後ろに迫ってくるヴェッテルを防ぎきることに費やしたようなものです。抜きにくいコース特性からして、ミスさえしなければ抜かれることはありません。プレッシャーにも耐え抜き、ヴェッテルに仕掛けることさえ許しませんでした。
 予選よりもポジションを一つあげた点では、うまくいったレースだったと思いますが、レッドブルとの差は思ったよりも大きく、その点については満足できないレースだったのではないかと思います。ヴェッテルの自滅さえなければ、結局2位の座さえ奪い返されていたに違いないのですから。フェラーリとアロンソには、実は課題の残るレースだったのではないかと思います。

「フェアでもクリーンでもないバトルでかなり頑張った」 ルーベンス・バリチェロ/ウィリアムズ

 ホントによく頑張りました。この抜きにくいコースで、スタートの混乱と下位争いを除けば、ほとんど唯一とも言えるような、コース上でのオーバーテイクシーンを演じました。しかも相手はかのミハエル・シューマッハ、折しもチームオーダー論争がされている最中というタイミング。
 シューッマッハの幅寄せに対し、アクセルを緩めたりラインを譲ることなく、果敢に隙間をすり抜けたバリチェロの勝負心には、素直に感心しました。ポイントがかかっていたから、あるいはレーシングドライバーとして当たり前の闘争心だ、と言う説明よりは、相手がシューマッハだから、というほうが納得いきます。
 それにしても、シューマッハのレースぶりは相変わらずです。というより、下位を走るようになって、その粗暴さが目立っているような気がします。それでも結局1ライン残したじゃないか、とも言えますが、それはたまたまピットウォールが切れていただけ。あのままだったらシューマッハはバリチェロを壁に叩きつけるまで、ハンドルを右に切り続けたのではないかと思います。
 過去の彼の黒いレースの歴史を思い出せば、それは決して穿った見方だとは言えません。

 注目の小林可夢偉はまたもやポイント獲得。今回はチームメイトのデ・ラ・ロサに負けてしまいましたが、スタートグリッドからすれば10台以上のごぼう抜きを再び演じました。どんな状況でも確実にポイントを取れるということは、とても重要なことです。レース内容はイマイチでも、こういう結果を残すことが来期に向けて重要だと思います。

 これからしばらくF1は夏休みとなり、次のレースは約4週間後、ベルギーはスパ・フランコルシャンのレースです!