酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

PENTAX MZ-S

 今更なのですがPENTAX MZ-SというフィルムのAF一眼レフカメラを手に入れました。私はフィルム時代はNikonを使っていましたが、今現在デジタル一眼レフはPENTAXを使っています。私とは逆にPENTAXからNikonに乗り換えたという知人がいて、ふとした思いつきからお互い死蔵しているフィルムのAF一眼レフを交換してみようと言うことに。これはナイスアイディア! ということで、長らく使っていなかったNikon F80DとこのPENTAX MZ-Sを交換してもらいました。

 で、このMZ-Sというカメラ。発売されたのは2001年と比較的最近のこと。PENTAXが作ったフィルム一眼レフの最後から2番目の機種であり、2006年まで販売されていたそうです。この時代のフィルム一眼レフというか、PENTAXのカメラはまったくノーマークだったので、このカメラもまったく記憶にありません。遅ればせながらネットでいろいろ調べてみると... 散々な言われようをした悲運のカメラだったようです。

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 まずなんと言っても目立つのはそのデザイン。「ジャミラ」を彷彿とさせる怒り肩。ペンタプリズムが埋没してしまっています。その高い両肩は後ろに向かって傾斜しており、薄いダイヤルが両側に配置されているという、とても個性的な外観。K-7のようなプレーンなデザインとは対極にあります。が、SFシリーズやZシリーズ然り、AF時代のPENTAXは変なデザインのカメラをたくさん出していました。その後MZ-3などでオーソドックス路線に回帰したかに見えたのですが、フィルム一眼レフの集大成がこれ、ということなのかもしれません。

 基本スペックを見てみると、ファインダー視野率92%、倍率0.75倍、最高シャッター速度は1/6000secでシンクロスピードは1/180sec。AFポイントは6点、測光は6分割、連写速度は2.5枚/secなどなど。スペック的には中級機レベルなのですが、ファインダースクリーン交換可能で、ブラケット機能やカスタムファンクションを搭載し、パーフォレーション間への撮影データを写し込み機能や、外装はマグネシウム合金を使うなどいろいろと凝った造りになっています。発売当時はPENTAXの最上位機種で、お値段も約13万5千円もしたとか。

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 機能的な特徴はその外観にも現れているのですが、ハイパー操作系を採用している点にあります。いわゆるモードダイヤルというものが存在せず、レンズの絞りリングと液晶外周のシャッターダイヤルの操作によって、撮影モードが決まるという方式。プログラムの状態から、絞りリングを回せば絞り優先、シャッターダイヤルを回せばシャッター速度優先、両方回せばマニュアル。グリーンボタンを押すとプログラムまたは絞り優先に復帰すると、文字にするとややこしいのですが、仕組みが分かってしまえば非常に理にかなっています。

 しかし巷で微妙な評価しか得ていないのは、その変なデザイン、中途半端なスペックだったことはもちろんなのですが、このボディは幻に終わったフルサイズデジタル一眼レフ「K-1」のベース機だった、という点にもあるのではないかと思われます。MZ-SのボディをベースにしたK-1はショーに参考出品だけされて、結局発売されることはありませんでした。このMZ-Sにはデジタルになり損なった感が染みついているのです。

 実物の手触りはそんなに悪くありません。まず感じるのは小ささと軽さ。デジタル一眼レフの中では小さいと言われているK-7と比べても小さく、重さは圧倒的に軽く感じます。MZ-Sは縦位置グリップをつけてこそ完成形(ますますK-1に似てきますが)と言われているようですが、個人的には大きく重たくなる後付けの縦位置グリップは嫌いですので、これはこれで良いと思います。

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 ファインダーを覗いてみると、さすがフルサイズ。視野率や倍率はごく普通ですが、やはりAPS-Cの小さなファインダーとは違います。スクリーンは非常に明るく、一見スカスカに感じるのですが、よく見るとピントの山がとてもよく見えます。でも、K-7のほうがスクリーンの出来としては良いかも。

 試しにシャッターを切ってみると... キレは悪くないのですが、甲高い変わった音がします。シングルモーターでミラー駆動、シャッターチャージ、フィルム送りをやっているのでしょうか? フィルム給送がなくなったデジタル一眼レフとはまったく違う音がします。でも悪くはありません。ミラーショックもほとんどないですし、機械的な素性の良さを感じます。

 さて、現時点で手持ちのレンズで使えるのはFA31mmF1.8ALだけです。他のレンズはデジタル専用のDAレンズなのでイメージサークルが足りません。ただし取り付けて撮影することはできます。DAレンズは絞りリングがないので絞り優先とマニュアルが使えませんが、AEもAFも含めその他の機能はちゃんと動くようです。周辺が使えないのを覚悟してわざとDAレンズを使うというのもありかと思います。

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 なおボディと一緒に名玉と言われていたFA24-90mmの標準ズームも付いていたのですが、こちらは残念ながら状態が良くなく、内部がかなり曇っていましたので使わないことにしました。

 さて、すでにフィルム一本撮影済みです。フィルムで撮ってるという感覚は今更ながら新鮮に感じますが、比較的新しいカメラなだけあって撮影感覚は実は最新のデジタル一眼レフと変わりません。レンズもFA31mmなので描写性能に問題はありません。仕上がりを見てみないと何とも言えませんが、135フィルムならスキャンも簡単にできますし、趣味で写真撮るならフィルムで良いかも、という妙な感想を持ってしまいました。

 これからしばらくカメラ、写真ネタが多くなるかもしれません。