酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2010年F1第4戦 中国GP

 今年は本当に面白いレースが続きます。開幕戦は凡庸なレースだったそうですが、その後ここまでの3戦はどれも手に汗握る見所だらけのレースが繰り広げられています。今回の中国GPでは、またもや決勝で雨が降ったわけですが、ただ天候のおかげだけではない何かが、今年のF1にはあるのではないかと確信させるレース展開になりました。
 そのひとつの要因は、給油が禁止されて作戦が単純化されたのも大きいかも知れません。上位だろうが下位だろうが、周回数にかかわらずマシン同士が接近して繰り広げられるバトルは、純粋にドライバーの腕とマシン性能の戦いです。もちろん戦略が無関係になったわけではなく、燃料戦略がなくなった分タイヤ戦略の重要度が高まっています。特に微妙な天候が続いた今回の中国GPではタイヤがキーとなりました。

「僕が考える限り問題なかったと思うけど」マクラーレン/ルイス・ハミルトン

 今回一番目だったパフォーマンスを見せたのが彼だということは間違いないと思います。序盤のタイヤ選択に失敗して大きく順位を落とした後の猛追、快進撃。前にいるマシンを次々に抜き去り、終盤にはタイヤをボロボロにしつつ、それでもトップを行くバトンに追いすがります。こんなにアグレッシブで危なっかしいレースをするドライバーは他にはいません。
 でも、そのアグレッシブさが鼻につくのはいったいどうしたことでしょう?もちろんこれは個人的な意見ですけど。ヴェッテルとのピットロードの事件については、ピットアウト時の争いだけでなく、ピットイン時にピットロードの左コーナーでヴェッテルのインを刺したことからしてどうなのか?と思います。それに二回目のセーフティーカー開けの行動とか。
 もちろんこれらは既に両者に戒告(処分なしに等しい)との裁定が出て、公式な決着はついています。でも見ていて格好いいレースぶりとはとても思えません。そして記者会見での太々しい態度。何だかやなヤツだなぁ、と思ってしまいます。

 ところで... ピットレーンでのオーバーテイクは、アロンソがマッサに対しても行いました。そのアロンソも「何か問題でも?」と言う趣旨の発言を残しています。ハミルトンと全く同じ。同一チーム内だけあって、こちらの方が実はより問題の根は深そうです。

「今日は思い出したくないようなレースの1つだ」メルセデス/ミハエル・シューマッハ

 ハミルトンの快進撃と同じくらい今回のレースで目立ったのは、絶不調のシューマッハの姿。過去の偉大な実績がなければ、ただのダメダメなドライバーにしか見えません。地上波放送の実況アナウンサーも過剰なまでに彼を貶めていました。アンチ・シューマッハな私でも「それは言い過ぎだろう...」と思えるほど。
 確かに彼はひたすらオーバーテイクされまくりました。覚えているだけでもハミルトン、ヴェッテル、ウェバー、マッサ、アロンソ、ペトロフ...。結果的にオーバーテイクされつつも、時折意地を見せることもありました。そんな様子を見て、今回ばかりはなぜかシューマッハを応援したくなってしまいました。
 彼はレース後に「タイヤマネージメントに失敗した」とコメントしています。でも、適切なタイヤ戦略をとりマネージメントをしっかりすることもドライバーの重要な能力の一部です。奇しくもその辺が絶妙に上手いバトンが優勝し、ロズベルグが3位に入ったように。しかしシューマッハにその才能がないとは思えません。まだ彼はブランクを取り戻すためのリハビリ過程なのでしょう。それが成功するかどうか分かりませんが。

「正しい決断を下すのは簡単ではなかった」ルノー/ビタリー・ペトロフ

 今シーズンの新人にして初のロシア人ドライバー。どんな背景と経歴があるドライバーなのか全く知りませんでしたが、前回のレース当たりから目立ち始め、中国GPでは確実に評価を大きく上げました。チームメイトのクピサには成績で負けているのですが、それでもレース内容に何か光るものが感じられます。
 序盤の雨の中をチームの決断に従って、ミスすることなくドライタイヤで走り続けポジションを上げた後、中盤以降はレインタイヤの消耗を上手くマネージメントし、チームの立てた戦略通りの仕事をきっちりとこなしました。それだけでなく、目の前に現れたシューマッハやウェバーとの接近戦をしっかりとものにし、逆にペースの速いハミルトンとは無茶することなくクリーンに戦い、レースを綺麗にまとめ成績も残した手腕は、何か今後の活躍を期待させるものがありそうです。

 ところで、日本とF1をつなぐ最後の砦となっている小林可夢偉。この4戦全く良いところがありません。それは半分以上は彼の責任ではないのですが。でもねぇ... 何かモヤモヤしたものが拭いきれません。チームメイトよりも予選で良い成績を出しているのだけが救いです。

 次からはいよいよヨーロッパ・ラウンドが始まります。上海から欧州へ戻るF1は、アイスランドの火山噴火の影響を大きく受けたようですが、幸い次のスペインGPまでは3週間の中休み。混乱も収拾して何事もなくスケジュール通りに開催されることを期待したいと思います。