酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

夢の夢 −鎌倉河岸捕物控(十五の巻)

夢の夢―鎌倉河岸捕物控〈15の巻〉 (時代小説文庫)

夢の夢―鎌倉河岸捕物控〈15の巻〉 (時代小説文庫)


 金座裏の御用聞き達が活躍する鎌倉河岸捕物控シリーズの第十五巻です。十代目になった政次とそこに嫁いだ"しほ"、手先の亮吉、鎌倉河岸の船宿綱定の船頭彦四郎ら、若い幼なじみ同士が中心の青春ドラマのようでもあります。
 当初こそは九代目宗五郎はじめ、手先連中も海千山千、癖があってしかし腕は確かなベテラン揃いで、事件の解決を巡る捕り物としての筋立てがしっかりした物語でしたが、最近はちょっとその様相が変わってきたようです。
 今回の主人公は今までは脇役に過ぎなかった彦四郎。そして政次と亮吉のむじな長屋さん兄弟の友情物語。事件の背景は確かに複雑なのですが、物語としてはかなり薄くなってしまった感じ。政次の人物像がしっくり来ないのも相変わらず。私はやっぱり亮吉が一番好きです。
 今までは内容をストレートに表した表題が特徴だったこのシリーズですが、今回はちょっとわかりにくいです。「夢の夢」とは...

彦四郎は時折、昔の夢を見た。一人だけの秘密の夢だ。
妹のように可愛がっていた秋乃との再会は唐突にやってきた。
あの夕暮れ、昌平橋の土手で名乗られた瞬間、昔の夢の続きを再び見ることになった。それは幼い日々より何百倍も甘美で何千倍も官能的な、何万倍も耽溺した時間だった。

 彦四郎の見る夢の夢。これまでの爽やかさとはちょっと違って、なにやら色っぽい雰囲気です。これはこれでアリではないかと思います。

 【お気に入り度:★★★☆☆】