酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2009年F1第13戦 イタリアGP

 長かったようで短かったF1ヨーロッパラウンドが今回のイタリアGPで終了しました。舞台となったモンツァサーキットはもちろんフェラーリのホームサーキット。1950年から毎年イタリアGPが開催され続けてきた、伝統のオールドコースです。そこは現代F1ではあり得ないほどの超高速コースで、エンジン全開区間が75%もあり、最高速は350km/hを超えると言われています。

 そんなコース特性のせいでしょうか?今回のレース結果を眺めていると、不思議とエンジンの序列が見えてきます。上位を固めたのはメルセデス、中段がルノー、そして下位にトヨタ。それらの間にフェラーリとBMWが挟まっています。パワーと信頼性、そして燃費も優れるメルセデス・エンジンの威力炸裂です。

「僕がちょっとラッキーだっただけ」 ルーベンス・バリチェロ/ブラウンGP
 ヨーロッパGPに続き今季2勝目を挙げたバリチェロ。ブラウンGPの2台はKERS勢との直接対決を避け、1回ストップ作戦を取りました。その奇襲は見事に的中。ブラウンGPの2台は予選5-6位からうまくスタートを決め、4-5位のポジションでレースを開始すると、重タンクとは思えない驚異的なペースで周回を重ねます。2台はタイヤ選択以外はほぼ同じ作戦。ミスもなく完璧な戦略で大逆転劇を成し遂げました。

 優勝したバリチェロにとって幸運だったのは、予選でバトンよりもひとつ上のグリッドが取れたことかと思います。しかもレースではバリチェロのほうがピットストップが1周遅く予定されていました。レースを通してバトンに比べてペースも安定しており、今回ばかりはシーズン序盤に見られたように「気がついたらバトンが前にいた」という事態は起こり得なかったようです。

 その他にもブラウンGP勢にとって多くの幸運がありました。最も恐れていたコバライネンの序盤のペースがボロボロだったこと、後ろにいたKERS搭載のアロンソがジャンプスタートを決められなかったこと、そして1コーナーの混乱を無事に切り抜けられたこと等々。そう考えるとオープニングラップが勝敗の鍵を握っていたことになります。

「ネガティブな要素はほんの少ししかない」 ジェンソン・バトン/ブラウンGP
 絶好調の序盤戦に続く絶不調の中盤戦を過ごしたバトンですが、それでも彼は依然として圧倒的リードでポイントリーダーの地位にいます。今回のレースでは優勝はならなかったものの、ライバルチームを圧倒する完璧なレースによって2位となったことに、バトン自身もかなり満足し自信を取り戻したようです。

 しかしこれでチームメイトのバリチェロは、チャンピオン争いの最も手強いライバルとなりました。そのバリチェロに今回のレースでは負けたわけですが、その点はあまり気にしていないようです。チャンピオンシップの先行きを考えると、チームメイトの動向よりも、レッドブルの2台を完全に突き放したことが重要です。それが引用したコメントの意味するところかと思います。

 ライバル達にマシン性能で優位を保ち、今回のようにバリチェロと互角に優勝争いができるならば万事OK。優勝できるかどうかは時の運。仮にレースに負けても、チャンピオンは手に入ります。それがもしレッドブルに後れを取ったり、もしくはバリチェロだけが好調を維持するようだと、ガラスのハートはプレッシャーに耐え切れず粉々に砕け散っていたかもしれません。

「結果が全て」 キミ・ライコネン/フェラーリ
 ベルギーGPの優勝を含めて4戦連続表彰台を獲得したライコネン。シーズン序盤の悲惨な状況から見れば、目覚ましい復活を遂げているのは確かです。しかし今回のレース内容は、ブラウンGP勢を抑えるどころか、ハミルトンについていくスピードもなく、むしろ後ろをヒタヒタとついてくるフォースインディアのエイドリアン・スーティルを押さえるだけの我慢のレースとなりました。それは今のフェラーリにとって見た目ほど簡単なことではなかったのかもしれません。

 表彰台に上がれたことは本当にラッキーな棚ボタです。ライコネン自身にとって追加1ポイントはあまり意味がないかもしれません。しかしフェラーリのコンストラクターズ・ランキング3位獲得のためには大きな意味があります。そして何と言っても、モンツァのファンの前で表彰台に上がれたことには、フェラーリのエースドライバーとして、大きな意味があります。

「どうしてもキミを抜く方法を見つけられなかった」 エイドリアン・スーティル/フォースインディア
 ベルギーGPのフィジケラに続き、予選ではまたもフォースインディアがポールポジションか?というスーパーラップを叩き出してフロントロウを獲得。しかしやはりスタートでKERSを持つライコネンに仕留められてしまいました。しかしその後、チェッカーまでの周回でずっとライコネンの真後ろを走り続けます。本来のペースではスーティルのほうが速かったのではないかと思います。

 ブラウンGPの完璧なレース運びもあって、結果は4位。しかしベルギーでのフィジケラと同じくらい、素晴らしくて惜しいレースぶりでした。きっと来期に向けてのストーブリーグでは彼は目玉の一人になることでしょう。

「“ごめんね”としか言いようがない」 ルイス・ハミルトン/マクラーレン
 2回ピットストップ作戦で果敢にブラウンGPと戦ったハミルトン。一時は何とか逃げ切れるかも?というペースを見せましたが、結局2回目のピットインまでに十分なマージンは稼げず3位に陥落。終盤バトンに追いつけ追い越せと、焦ったのかファイナルラップでの痛恨のミスにより自爆。

 ある意味、チャンピオンシップを放棄したからできる、彼らしいレースだったと言えるのかも。こんなドライバーが一人くらいいても良いんじゃないかと思います。

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 ヨーロッパラウンドが終わり、2009年のF1もいよいよ残すところあと4戦。これからはアジア、ブラジル、中東を巡るフライアウェイ戦です。次回は来週末、シンガポールGPです。昨年ファン達を魅了した、摩天楼のナイトレースです!そしてその翌週はいよいよ・・・鈴鹿にF1が帰ってきます!