酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2009年F1第11戦 ヨーロッパGP

 前戦のハンガリーGPから1ヶ月の夏休みを経て、久しぶりにF1のレースがスペインはバレンシア市街地コースで開催されました。レースのない1ヶ月の間も、F1の話題は尽きません。怪我をしたマッサに代わり、ミハエル・シューマッハが復帰すると発表されたかと思えば、しばらく後にやっぱり止めることになったり、残念なことにBMWが今シーズン限りで撤退を発表したり。シーズンも後半にさしかかり、いよいよストーブリーグもくすぶってきたところです。

 バレンシアで行われるヨーロッパグランプリは、去年に引き続き2回目ですが、昨年はなんだか退屈なレースだった、という記憶しかありません。が、今年は同じコースとは思えないほど、それなりに見応えのあるレースとなりました。

「5年経ってもそのやり方を忘れてなかった」 ルーベンス・バリチェロ/ブラウンGP
 今シーズン前半、そこそこ良い成績を残すのになぜか優勝だけはできなかったバリチェロが、実にフェラーリ時代から5年ぶりに優勝を飾りました。素晴らしいマシンを手にしながら、なかなか優勝できないイライラは極限に達し、激しいチーム批判を繰り返したり、引退を口にするなど荒れ模様だったバリチェロですが、今回は逆にバトンの不調に対して予選から彼の好調が目立ちました。グリッド順でもレース展開でも圧倒的にバトンより有利に立ち、チームも今回ばかりはバリチェロの優勝に全力で荷担したに違いありません。それはそれで複雑な気持ちも実はあるのではないかと想像します。

 最終的には今回の優勝は、マクラーレンのピットミスにより転がり込んできたと言えるかもしれませんが、それでもそのわずかで決定的なチャンスを確実にモノにした力は、やはりさすが最多参戦記録をもつベテランドライバーならではです。彼自身のコメントにあるように、レースの勝ち方を久しぶりに思い出したのでしょう。意外に今後、同一チーム内でのチャンピオン争いに発展するかもしれません。

「レースの前半は僕からするとかなりうまく展開できた」 ルイス・ハミルトン/マクラーレン
 前戦で劇的な復活優勝を遂げたハミルトン。マクラーレンの好調さはここに来ても変わらず、予選ではコバライネンとともにフロントロウを独占するほどです。しかしそれは軽タンク作戦だったことが後に分かります。軽タンク作戦が当たるのは、実は非常に難しいことだったりします。しかし、今回のマクラーレン、特にハミルトンは、2回目のピットストップまでは完璧にそれをやってのけました。誰よりも早くピットインしたにもかかわらず、トップを守りきることができたのですから。上のコメントはそのことを指しているのではないかと思います。

 順当に行けばハミルトンは多分優勝できたはず。バリチェロとのギャップとピット戦略、タイヤ戦略の違いを考えるとギリギリでしたが、恐らく逃げ切れるだけのペースはあったのだと思います。が、そのギリギリの作戦は、2回目のピット作業ミスによってあっけなく崩れ去ってしまいました。ピットでロスした5秒という時間はもちろん大きいですが、その結果ロズベルグの後ろに入ってしまったことも、追い打ちをかけました。

 ところで、今シーズンはチャンピオン争いを諦めているためか、昨年と違ってドライビングもとてもクリーンに思えます。昨年までは嫌いなドライバーの一人でしたが、今年は意外に好きになってきたかも... なんて思ってたり(A^^;; 今年の浮き沈みの経験で、ドライビング・スタイルごと成長してくれると良いのですが。

「一番のライバルであるレッドブル勢に勝つことはできた」 ジェンソン・バトン/ブラウンGP
 依然としてポイントリーダーの地位を守り続けているバトンですが、ここ数戦の不調さを引きずったままグズグズなレースを繰り返してしまいました。それでもウェバーとの争いに勝って、ポイントを獲得したのは不幸中の幸い。またチームメイトのバリチェロの優勝に対し、7位にしかなれなかったのは納得いかないことであると同時に、基本的なマシン性能はまだ他のチームに追い抜かされていないことが証明されたと考えれば、そう悪いことでもないのではないかと思います。何かきっかけがつかめれば、また序盤戦のような連勝も夢ではないのですから。

 それよりもシーズン後半を迎えた今となっては、チャンピオンシップを取るために、優勝よりもライバルとの差のほうがより重要です。今回はたった2ポイントしか獲得できませんでしたが、バトンにとっての一番の驚異だったレッドブルの2台が揃ってノーポイントに終わったことは、とても意味あることです。2ポイント差をつけるということは、自身が優勝して、ウェバーかヴベッテルが2位になるのと、ポイント差的には同じ事ですから。

 しかし、チャンピオン争いが7位や8位で展開されるというのは、幾分寂しいものがあります。やはりチャンピオン争いは、毎レース優勝争いでやって欲しいものです。

「今日の一番の問題は、最初のピットストップだ」 セバスチャン・ベッテル/レッドブル
 そうかなぁ? 一番の問題はこのレースウィークで、2台もエンジンを壊してしまったことではないのかな? 今シーズンはレギュレーションで、シーズンを通じて使用できるエンジンは8台まで、という決まりがあります。レッドブルはそもそも前半戦でかなりの数のニューエンジンを投入してしまい、ほとんど中古エンジンしか残っていないはずです。その中の2台が壊れたとなれば、終盤戦のエンジン戦略に影響が出ないのでしょうか? それとも壊れたエンジンはカウント外にして良いのかな? ともかく今後のレース戦略に影響が残らないか心配です。

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 ヨーロッパGP終了時点でのポイントランキングは、依然としてバトンがトップ。バリチェロが2位に浮上し18ポイント差。ウェバーがバリチェロから2.5ポイント差で3位。ベッテルは4位まで落ちてしまっています。コンストラクターズももちろんブラウンGPとレッドブルの一騎打ち。しかしマクラーレンとフェラーリもここ数戦で上昇してきました。特にマクラーレンの復活ぶりを見ていると、チャンピオン争いの権利はなくとも、チャンピオンシップを左右する台風の目となってくるのは確かと思われます。

 次のレースは早くも今週末。カレンダー中屈指の難コースにして見応えのあるベルギーはスパ・フランコルシャンのレースです。