酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

PENTAX K-7 + DA70mmF2.4

 沼にはまってしまいました。レンズ沼という名の沼に。前回に引き続きK-7のセカンドレビューとしたいと思います。

 思ったこと全部書いたのでかなり長文です。しかも浮かれているので写真も多め。写真はどれもレタッチなし、リサイズ、アンシャープマスクと再JPEG圧縮しています。クリックすると1.5Mpixelで開きます。

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PENTAX K-7 + DA70mmF2.4。明るい中望遠とは思えないほどコンパクト。

○ファインダー
 ファインダー視野率100%で倍率は0.92倍、視度補正機構も内蔵しています。前回のインプレでも書いたように、スクリーンは今時の一眼レフにしてはかなり暗め。レンズと被写体によってはざらつきが見えるほど。なるべく明るいレンズを使いたいと思わせるものがあります。でも、代わりにピント(とボケ)がとてもよく見えます。驚いたのはファインダー内表示が非常に豊富であること。全てを把握できるのですが、全てを把握するのは結構大変そう。グリーンの落ち着いた表示は、明るい場所ではやや見えにくいかも知れません。

○オートフォーカス
 AFポイントは11点で、左右端の2点以外は全てクロスセンサー。PENTAXは歴史的にAFが弱かったようですがで、K-7ではかなり改善されているとか。最近の一眼レフを知らない私にはその辺の感覚は全く分かりません。実際、遠近明暗どこでも正確に問題なく合うのですが、DA21mmF3.2ALを使っているときに、時々無限遠に対してピントが合わない(ボケたまま合焦表示が出る)ことがありました。また、AFエリアを示す赤いスーパーインポーズがイマイチ見づらいです。

 AFモードは一般的なSモードとCモードがマウント脇のレバーで切り替え可能。AFエリアはセンター固定と、ユーザー選択モード、自動選択モードがあります。ユーザー選択時はまず、カーソルボタンの中央にあるOKボタンを押してからじゃないとエリア選択ができません。が、この方式でも、ロックが簡単にできるという意味合いもあって、使い勝手は悪くありません。

 ライブビュー時のAFはシャッターボタンではなく、AFボタンで行います(このAFボタンは通常撮影時にも使えます)。コントラストAFはかなり遅め。ゆっくりレンズを駆動しながら、一度ピント位置を行き過ぎて戻ってくる、というある意味本物のコントラストAFらしい動きをしてやっとピントが合います。やはり限られた場面でしか使えそうにありません。

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DA21mmF3.2AL, 1/250sec, F5.6, ISO100, WB: CTE。グリーンが鮮やかだったのでホワイトバランスはCTEに。

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DA70mmF2.4, 1/400sec, F2.4, ISO100, WB: AUTO。咲きかけの紫陽花。近距離で解放だと良くボケます。

○ダストリムーバブル
 最近のデジタル一眼レフでは必須機能になってきた撮像面のゴミ取り機能。PENTAXはこれまで手ぶれ補正機構を流用した独自の振動方式を使っていましたが、あまり効きが良くなかったようです。K-7では一般的な超音波方式に変わったようです。電源ON時に自動で作動していますが、ダストチェック機能と合わせて任意に実行することもできます。

 単焦点レンズを買ってしまったので、レンズ交換することが多くなり、ゴミが入り込むリスクが高いのですが、とりあえずそこそこ効果があるようなので、安心して使えそうです。

○手ぶれ補正
 一眼レフに限らず、デジタルカメラでは当たり前のように搭載されるようになった手ぶれ補正機構ですが、PENTAXはボディ側に搭載しています。どんなレンズでも手ぶれ補正できるのですが、レンズによっては効きが悪くなったり、またファインダーで効果が確認できないというのが欠点。なので個人的には光学補正のほうが好きです。でもまぁ、ボディ側補正のおかげでDA Limitedシリーズのようなコンパクトなレンズができると考えれば、これはこれでアリなのかも。

 ライブビューで手ぶれ補正の効き具合を確認してみると、映像は気持ち悪いほどピタッと安定し、わざと少し手を揺らしてみてもびくともしません。スローシャッターを使ってみたりした限りでは、21mmや70mm程度ならかなり恩恵を受けられそうです。

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DA21mmF3.2AL, 1/6400sec, F5.6, ISO200, WB: AUTO。葛西臨海公園の観覧車。極端な逆光条件。

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DA21mmF3.2AL, 1/60sec, F3.2, ISO100, WB: AUTO。ライブビューで撮影してみました。

○ISO感度、内蔵フラッシュなど
 感度はISO100~3200までが基本で、カスタム設定で6400まで拡張することも可能です。ISO-AUTOは下限と上限をユーザー設定することができます。調整ステップも1段と1/2または1/3段を選択可能。デフォルトは1段でしたが、私はカスタム設定で1/3段刻みに変更しました。

 内蔵フラッシュはGN13でフルサイズ換算28mm相当をカバーというごく一般的なスペック。ポップアップするとかなり高く上がりますが、大きなズームレンズでは、やはりケラレが発生する場合がありますが、私が持っている2本のLimitedレンズはもちろん全く問題ありません。

 もう一つ面白い機能として、水平補正機能というのがあります。これは内蔵している電子水準器と手ぶれ補正機構を使って、撮影時に機械的に水平補正を行うもの。もちろん極端な傾きは補正できません。試しにわざと少し傾けて、ONとOFFで撮り比べてみましたが、確かに補正されていました。でも、何となく気持ち悪いので通常はOFFにしています。

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DA21mmF3.2AL, 1/320mm, F8.0, ISO125, WB: CTE。近所の運河。ホワイトバランスはCTEで。

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DA70mmF2.4, 1/2000sec, F2.4, ISO125, -1.0EV, WB: CTE。逆光の運河。カモメでも佇んでいれば少しは絵になったのに。

○ホワイトバランス
 K-7ではホワイトバランス調整に関わる機能が非常に充実しています。ホワイトバランスを選択するための専用ボタンが用意されていることからも、この点に力が入っていることが分かります。

 まず、基本となるオートWBはかなり優秀です。私はオートを常用するのですが、コンパクト機含め過去手にしたことのあるデジタルカメラの中では、K-7は最も優秀なオートWBではないかと感じました。

 しかも、もしオートで意図と違う絵になってしまった場合、撮影直後であればそのまま撮影済み画像に対してWBを変更することが可能です。これはバッファ上に残った(残した)直近のRAWデータに対して、ポストプロセスをかけ直して再JPEG化する、ことで実現していると思われます。ですので、電源を切ってしまうと変更はできません。

 さらに特徴的なのがCTEと呼ばれるWBモード。これは、一般的なオートWBのように、光源色補正を積極的に行うのではなく、逆に積極的に光源色や被写体色を残そうとするもの。太陽光モード固定とどう違うのか?という疑問は残りますが、ともかく朝や夕方、電球等の人工光源、さらに森の緑や海の青さなど、被写体の色味も綺麗に出やすくなります。今回の作例にはCTEを使ったものを何枚か貼ってみました。

 ということで、オートを基本に、場面によってはCTEと使い分け、失敗したと思った場合は撮影直後補正で修正するようにすれば、ホワイトバランスで悩むことはかなり減るのではないかと思います。

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DA70mmF2.4, 1/400sec, F4.0, ISO125, -1.0EV, WB: CTE。夕暮れの錦糸町駅前の京葉道路。

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DA70mmF2.4, 1.3sec, F2.4, ISO100, WB: AUTO。夜の運河。感度を上げずに超スローシャッター。ブレてます。

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DA70mmF2.4, 1/1000sec, F5.0, ISO100, -1.0EV, WB: AUTO。これも観覧車。

○カスタムイメージ
 この機能はニコンで言うところのピクチャーコントロールに相当する機能です。これもダイレクトアクセスのための専用ボタンが用意されており、単なるおまけではなく、かなり積極的に使うことを意図しているようです。調整可能なパラメータは、彩度、色相、キー、コントラスト、シャープネスといったもの。マニュアル調整もできますが、いくつかのプリセットがあらかじめ用意されています。モノクロ写真を撮る場合ももここから設定します。

 デフォルトは"鮮やか"で、コントラストとシャープネスが少し高めの設定。その他、"ニュートラル"とか"風景"、"人物"などがあるのですが、特徴的なのは"ほのか"というモード。かなりハイキーで、コントラストとシャープネスは低めに設定されているモード。淡くて柔らかい独特の雰囲気の写真になるようです。何枚か撮ってみたのですが、"ほのか"ないい写真を撮るのはなかなか難しそうです。

 ホワイトバランス同様、このカスタムイメージも、バッファに残っている最後の1カットに対しては、撮影後に変更することができます。撮ってプレビュー見てから、白黒に変更して保存などという操作が可能になります。

○ダイナミックレンジ補正
 K-7には大まかに二つのダイナミックレンジ補正機能があります。一つはHDRというもので、これは適正、オーバー、アンダーの3枚を同時撮影し、それらを合成して広ダイナミックレンジな1枚の映像を得るという機能。ただし、HDRをONすると手ぶれ補正が使えなくなるなど、一般撮影用途には向きません。ということでこの機能はまだ試していません。

 もう一つはハイライト補正とシャドー補正。これはニコンでいうところのアクティブD-ライティングに相当する機能です。K-7の場合はハイライト補正のON/OFF、シャドー補正のON/OFF(ON時は3段階)を独立に設定できます。ハイライト補正をONすると、最低感度がISO200に制限されてしまいますので、ちょっと使いづらそう。シャドー補正は特に制限はないようです。

 何枚か試してみたのですが、ハイライト補正は今ひとつ効果が分からず、シャドー補正はここに貼ったサンプルでも適当に弱くらいをかけています。黒つぶれが少しでも押さえられるなら、という感じで。ただし、強くかけるとやはりコントラスト感が失われがちですし、ノイズも増幅されてしまうようなので、やはり必要がない限りOFFで常用する方が良さそうです。

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DA21mmF3.2AL, 1/40sec, F3.2, ISO1000, WB: AUTO。ホワイトバランス的に非常に難しい条件。

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DA21mmF3.2AL, 1/15sec, F3.2, ISO400, WB: CTE。同じ条件でCTEモード使用。これは黄色すぎ。

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DA70mmF2.4, 1/50sec, F2.4, ISO1250, +0.3EV, WB: AUTO。望遠で食べ物撮影もイイかも。

○デジタルフィルター
 基本的におまけ機能だと思うのですが、これがなかなか面白いのです。これは撮影時または撮影後に、色々なデジタルフィルタをかけて、写真を積極的にいじって遊んでしまおうというもの。K-7に用意されているデジタルフィルタは、トイカメラ、レトロ、ソフト、フィッシュアイ、ハイコントラストなどなど。しかも、フィルターは複数かけることもできます。

 カスタムイメージの一機能として、撮影時にデジタルフィルタをかけてしまうこともできるのですが、それよりもむしろ撮影後に、カメラ内レタッチとして使う方が一般的かと思います。一応、仕上がりをプレビューしながら調整できますので。ということで、以下に二枚だけサンプルを貼ってみました。使い道はともかく、撮影済み画像を使って色々遊べて面白いのです。思いがけず気に入ってしまいました。

 でも、この手の機能はコンパクト機にこそ必要ではないかと思ったのですが、調べてみるとOptio W60にも装備されていることに今頃気づきました。フィルタの種類や調整幅はずっと少ないですが。

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錦糸町駅前の写真に"水彩画"フィルターをかけてみました。バスなんかそれっぽいです。

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小さな花の写真に"色抽出"フィルターを適用。マゼンダだけ残しました。対象色はもちろん選べます。

○レンズ収差補正
 レンズの収差補正機能として、歪曲補正と倍率色収差補正の二つがあります。対応レンズじゃないと使えませんが、もちろんDAレンズなら問題ありません。同じシーンをON/OFFで撮影し比較すると、確かに効果は見られます。なので、是非両方ともONで使いたいところなのですが...。

 しかし、これらの補正をONにするとレスポンスに大きく影響します。ざっくり測ったところでは、どちらか一つでもONすると、撮影後のカードへの書き出しに3秒ほどの時間がかかります。ただし両方ともONしたからと言って倍にはならないようです。たった3秒とはいえ、これは結構撮影のリズムが狂います。なので、この機能は通常はOFFで使おうかと思っています。必要なら、RAW撮りしてPC上した方が良いのかも。

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再生サムネイル表示サイズは5段階に調整可能。これは中間の36コマ表示。

○レスポンス
 そしてコレは気づきにくくて、しかしとても重要なことなのですが、K-7の最大の特徴の一つは「レスポンス」ではないかと思います。とにかくメニュー等で撮影設定をいじったり、撮影済み画像を再生など、いちいちの動作がとても軽快です。特に再生モード。縮小サムネイルを多数表示した場合、他のカメラでは実用にならないほど遅かったりするのですが、K-7はさくさくと表示されます。1枚ずつ表示でも次の画像への遷移が非常に高速。連射した写真だったら、ぱらぱら漫画ができるくらい。何をしても待たされる感覚がありません。撮影データも大きく、LCDも92万画素と高解像度ですが、無理をしている感じはしません。

○レンズ
 DA70mmF3.2はフルサイズ換算で107mm相当の中望遠レンズ。解放F2.4とわりと明るめです。なのに全長わずか26mm、重さもたったの130gしかありません。伸縮式のかわいいフードもついています。さすがにこの焦点距離でF2.4ともなると、解放では良くボケます。絞り羽根は9枚で、EDガラスや非球面レンズなどを一切使っていない光学系ですが、とても素直でシャープな写り。近距離側は70cmまで寄れるのですが、これがもう少し... せめて50cmまで寄れたらなぁ、とちょっと思います。

 DA21mmF3.2ALは広すぎず、狭すぎずちょうどいい画角の標準レンズ。全長25mmで重さは140g。変わった形状のフードも付属しています。後玉に1枚だけ非球面レンズを使用しています。絞り羽根は7枚。欲を言えばもう少し明るければいいのですが。せめてF2.8くらい。等倍でチェックしてみると、あまりシャープな描写のレンズではないようです。AFとの兼ね合いか、特に遠距離に弱いような気がしました。とはいえ特に実用上困ることはありません。単焦点1本勝負するには、ちょうど良い画角のレンズです。

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とりあえず、これ以上沼にはまらないようにしたいところです。いや、ホントははまりたいかも。


 以上でとりあえず、一通り触ってみての初期レビューは終了です。またしばらく使い込んで、気づいたことが出てきたり、あるいは次の展開(A^^; があった場合にまた報告したいと思います。

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