酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

2009年F1第7戦 トルコGP

 今シーズン第7戦にしてヨーロッパラウンドの第3戦となるトルコGPが行われました。今年で5回目となるイスタンブールパーク・サーキットのレースでは、過去3年間フェリペ・マッサが連勝を飾っています。前戦モナコGPで復活の兆しを見せたフェラーリ+4連勝目を狙うマッサの組み合わせは、有力な優勝候補の一人だったはずなのですが・・・。

 蓋を開けてみればレースの様相は序盤戦のアジアラウンドに戻ってしまったかのよう。ブラウンGPとレッドブル、それにウィリアムズとトヨタが好調を見せ、旧2強はすっかり下位に沈んでしまいます。フェラーリはそれでもなんとかQ3まで残りましたが、マクラーレンは壊滅的。中高速コーナーの多いこの空力サーキットでは、やはりブラウンGPとレッドブルにまだまだアドバンテージがあるようです。

「マシンは常軌を逸するほど最高」:ジェンソン・バトン/ブラウンGP
 予選でこそ2位に甘んじたものの、やはり今回もバトンの強さが嫌と言うほど目立ったレースとなりました。オープニングラップの9コーナーでベッテルがミスしたのを見逃さず、あっという間にトップに出ると、その後はほとんど一人旅。ガソリンをたっぷり積みながらも、3ストップ作戦で軽タンクのベッテルをも寄せ付けないペースで周回を重ねます。そしてレッドブル勢の状況を見て、第2スティントを長めに取るなど、作戦上の柔軟さを持ち、最後にはパレードランかというほどペースを落とす余裕を見せて、圧勝を飾りました。全く隙がないというか何というか。

 "マシンが常軌を逸してる"だけでなく、バトンの腕と判断力や集中力、チームの技術や作戦など、何もかも"常軌を逸した強さ"です。バトンはこれで今シーズン早くも6勝目。チャンピオンシップはまだ前半戦とはいえ、これはもう決まった... と思ってしまうのも無理はありません。

「僕ばかりが不運な目に遭っている」:ルーベンス・バリチェロ/ブラウンGP
 バトンの好調に対しバリチェロは絶不調。いや過去の予選やレースでは、バトンと同じくらいの速さを見せてはいるのですが。しかし今回バトンのマシンが"常軌を逸するくらい最高"だったのに対し、バリチェロのマシンは"常軌を逸するくらい不調だった"と彼は不満を口にしています。まずはクラッチの設定ミスによるスタートの失敗。そしてエンジンリミッターもしくはギア設定にもミスがあり、ストレートで最高速が出なかったとも(でもバトンや他チームもストレートではリミッターに当たっていたようですが)。そして最後にはギアボックスのトラブルでリタイアしてしまいました。

 ブラウンGPにとってこれが初のレースリタイア。信頼性の高さがブラウンGPの強さの理由の一つでしたが、それが崩れてはどうしようもありません。今回のトラブルにバリチェロはかなり苛ついて、レースぶりもラフさが見られました。そのイライラはバトンがあまりにも調子がいいことと無関係ではないのでしょう。今後、ブラウンGPは待遇格差問題もしくはチームオーダー問題を避けて通れなさそうです。

「3ストップ作戦には驚いた」:セバスチャン・ベッテル/レッドブル
 軽タンクでポールポジションからスタートし、1コーナーを無事に押さえながらも、9コーナーのミスでトップを失い、レース戦略が根底から狂ってしまったベッテル。第1スティントでは思ったほどタイムも上がらず、もはや3ストップを敢行する理由は何もなかったはず...。なのに予定通り3ストップを強行したレッドブル。バトンを始めライバル達も驚いたし、TV解説者や見ているファンも驚きましたが、当のベッテルが一番驚いたのかもしれません。

 結局ベッテルはチームメイトのウェバーにも抜かれて3位でレースを終えました。しかし、悪くすれば表彰台だって危なかったかもしれません。レッドブルはスペインGPでもそうだったように、どうにも作戦上の柔軟さが足りないように思えます。ベッテルは基本的にポジティブな優等生コメントを残していますが、もっと勝ちに貪欲になり、チームに意見を言ったほうがいいのではないかと思えてきます。

「よいマシンと堅実な作戦を与えてくれたチームに感謝している」:中嶋一貴/ウィリアムズ
 12位から超重タンクでスタートしながら、ジャンプアップを果たした上にレースペースを上位並に保ち、終盤にはしっかりとポイント圏内に食い込んでいたはずの中嶋一貴。昨年の彼の良さが戻ってきたかのようなレースぶりによって、ようやく今シーズンの初ポイントかと思われたのですが... その期待はチームのタイヤ交換ミスによってあっけなく消え去りました。

 ピット作業のミスはいつでも起こりうるものですし、それ自体を責めても仕方ありませんが、彼のコメントがあまりにも優等生過ぎてイライラするのは私だけでしょうか。


 さて次はバトンのホームグランプリとなるイギリスGPです。いったいどれだけ盛り上がるのやら。昨年のチャンピオン、ルイス・ハミルトンもすっかり影が薄くなってしまいました。これまでのレース結果から見て、バトン+ブラウンGPの組み合わせが、シルバーストーンでも速くない理由は見あたりませんが、"地元プレッシャー"という今までにない要素が加わります。さてさて、どうなるでしょうか?