酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

EXILIM ZOOM EX-Z400 1ヶ月インプレ

 先日ダイナミックフォトという画像(動画)合成機能が売りになっているのですが、私としてはそれよりも、カメラとしての基本的な部分がどうなっているか →普段の使用用途においての使い勝手はどうなのか?と言う点に着目して色々触ってみました。ちなみにCASIOのデジタルカメラを触るのは初めてです。

 ということで、このEXILIM ZOOM EX-Z400のレビューはWillVii株式会社が運営する国内最大級家電・ゲームレビューサイト「みんぽす」から無償で商品をお借りして掲載しています。(詳細は末尾)

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EXILIM ZOOM EX-Z400のゴールド。コンパクトで角が丸くて今時なデザイン。

○画質
 特に可もなく不可もなく... と言ってしまえば終わってしまうのですが、実際そんな感想を持ちました。1/2.3インチ、1210万有効画素のCCDを搭載、レンズは28~112mm相当で明るさはf2.6~5.8。絞りは詳細不明ですが、ワイド端でNDフィルター併用のf2.6~7となっています(解放+NDフィルターの2段階ではないかと思われます)。感度はISO64を基準に最高ISO3200まで。AUTOではISO400までの範囲で調整されますが、最高感度を変更することは出来ません。市場では10Mピクセル機が多数を占める中で、解像度は高い方ですが、CCDサイズその他の基本スペックはごく一般的なところかと思います。

 撮れる絵を見て真っ先に感じたのは色の濃さ。特に暖色系がとても鮮やかな気がしました。液晶ファインダーに写る絵を見たときはちょっとびっくりしたほどです。露出も意外に控えめなせいもあるかもしれません。一般的な用途向けに明るく写るカメラかと思いましたが、そうではないようです。結構渋い写り方をします。ワイド端でも変な歪みも感じられず線は真っ直ぐ。そして周辺光量も十分。しかし望遠端はちょっとコントラストが不足気味に感じる場面もあります。と言っても、光量が十分あるところでは全く問題ありません。

○AF
 このクラスのカメラでは、最近は顔認識、笑顔認識は当たり前になってきましたが、このカメラには更にトラッキングAFという機能があります。いわゆるターゲット追尾機能です。AFエリアのモードをターゲットAFにしておくと、コントロールボタンの左右を押すことで、被写体への追尾が開始されます。これは子供や動物など、動き回るものを追いかけて撮るのに適しています。あるいは結婚披露宴などでも、新郎新婦の入退場などの撮影にはとても便利かと思います(意外に難しいんですよね...)。

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咲きかけの桜。望遠側でターゲットAFモード使用。

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近所の公園に咲いていた菜の花の花壇。空の色はそれほどでもありませんが黄色が非常に濃くて鮮やかです。

 が、私はもう一つ便利な使い方を見つけました。というのは、いわゆるフォーカスロックのような使い方が出来るようです。最初にピントを合わせたいものを中央のAFフレームに合わせてから、ターゲットAFを作動させると、以後フレーミングを変えてもAFフレームがその被写体を追いかけてピントを合わせ続けてくれるのです。コサイン誤差などとは無関係なカメラですが、近距離の被写体の撮影時など、ピントを気にすることなく、距離方向を含めたフレーミングの調整が可能です。これ、たぶん超便利です。AFエリアをマニュアルでいちいち動かすよりもよほど簡単で確実です。

 ただしAFには不満点が一つあります。しかもかなり致命的。というのも、マクロに非常に弱いこと...。通常モードではワイド端の最短撮影距離は40cm、テレ端で50cmなのですが、マクロモードにしてもワイド端で10cmまでしか寄れません。テレ端は50cmのまま。今時のデジタルカメラとしては遠すぎます。特にリコーの1cmマクロに慣れた身には非常に厳しいスペックです。

 ただし、最短撮影距離は百歩譲ったとして、マクロモードの設定がMENUからしかできないのはさらに致命的。MENUは必ず大分類からスタートするので、マクロに設定するには最短でも4アクション必要になってしまいます。最悪だと6アクション必要。多くのカメラではマクロは専用ボタンが用意されて、1アクションでON/OFF出来ます。Optio W60のように、マクロ専用ではなくAFモードボタンが付いたカメラだと3アクション。この方式ではマクロにするのに手間はかかりますが、その代わり無限遠に設定するのも同じく3アクションで出来るという利点もあります。

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マクロはかなり苦手。ワイド端では使い物にならず。テレ端でもこのサイズがやっと。ブツ撮りにギリギリか?

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このくらいの接写なら問題なし。ミックス光源下でもホワイトバランスは問題なさそうです。

 このカメラの場合、無限遠だけでなくせっかくパンフォーカスモードとか便利なAFモードが用意されているのに、これでは使い勝手が悪すぎです。何もしなくても標準で10cm程度まで寄れるならコレでも良いかもしれませんが、標準で40cmしか寄れない上に、マクロへの切り替えが面倒なうえ、せっかく設定しても10cmまでとあっては、ちょっと悲しいものがあります。食べ物のドアップ撮影をよくやる私にとっては致命的な問題点です。

○操作系
 MENU構成やボタン類の操作性ですが、意外にと言ってはアレですが、とても良くできていると感じました。この辺は各メーカーの色が出やすい部分だと思うのですが、CASIOには慣れていなかったので、しばらくは戸惑いましたが、慣れてしまうとなかなか便利です。

 特に、液晶ファインダー上には常に操作パネルという、よく使う撮影設定や画質設定のショートカットが表示されており、SETボタン一押しで操作パネルのメニューを呼び出すことが出来ます。これはRICOHでいうところのADJボタンに近い感覚です。割り付けはカスタマイズ可能で、最大8個まで登録可能なのですが、選択肢はあまり多くありません。ここに上で書いたAFモード切り替えが割り付けられたらまだ良かったのですが。

 そして、Optio W60などと同様にモードメモリという機能があります。電源ON/OFF時に設定を保持しておく機能と、デフォルトへ自動復帰する機能がカスタマイズ可能です。これは本当に便利です。他のカメラでも是非採用して欲しいカスタマイズ機能です。

 もう一つ感心したのは、背面に再生ボタンだけでなく、撮影モードボタンと、動画録画ボタンが用意されていること。この三つのボタンのおかげで、再生モード、撮影モード、動画モード間がダイレクトに遷移可能(再生→動画は出来ませんが)です。特に、動画録画ボタンは超便利。Optio W60にも欲しい機能です。ただし、惜しむらくは再生ボタン二度押しでも撮影モードへ復帰できればなお良かったのに、と思います。このカメラでは再生モード状態で再生ボタンを押しても何も起きません。

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感度AUTOではISO400まで。目立ったノイズもなく、手ぶれ補正もしっかりと効いてるようです。

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テレ端、マイナス1EV補正。これまた厳しいシーンですが、ちょっとコントラスト不足気味かも。

○動画
 で、そのとっても使いやすい動画ですが、このカメラ、最新機種らしくHD(1280x720pixel)での動画撮影が可能です。フレームレートは24fps。欲を言えば30fps欲しいところですが、Optio W60の15fpsよりはかなりマシと言えそうです。デフォルトがSDに設定されていましたが、あらかじめ動画撮影モード設定をHDに設定しておけば、背面の動画撮影ボタンを押すだけで、いきなり動画撮影が始まります。これはとても便利。

 しかし残念なことに動画撮影中にAFは働きません。せっかくズームは出来るのに。ちなみにOptio W60は動画モードでもズームとAFともに働きます(モーター駆動音が盛大に録音されてしまいますが)。このカメラの場合、どうやら動画撮影中はパンフォーカスに設定されるらしく、ワイド側ならそれでも良いのですがテレ端では約3m以上離れていないとピントは合わないようです。それでもスキーの動画くらいなら問題なさそうですが。いずれにしてもちょっと残念。

○電池
 このカメラを使っていて最も感心したのは電池の持ちです。CIPA基準でも550枚という長寿命は、スペック上だけでなく実使用上でも感じられます。撮影のみならず、いろいろカメラをいじったり、ダイナミックフォトを撮ったり、再生したりしていても電池警告が出ることはありませんでした。約1ヶ月の試用期間内で充電をしたのは1回だけ。それも電池警告が出たわけではありません。この電池寿命はすごいです。オーバースペックと思えるほど。

○ダイナミックフォト
 で、ダイナミックフォトです。私的に唯一使用用途としてあり得るかもと思ったのは、静物撮りです。Photoshopでセコセコと背景処理をしなくても、静物写真が簡単にできるかも。ということで、いくつか試してみたのですが、やはり実用には難しそうです。まず静止キャラクターとして撮影される対象物はかなり高感度で撮影されがちで、ノイジーです。また解像度もかなり低くなってしまいます。その結果、背景画像と合成すると、フレームサイズに対して、被写体はかなり小さくなってしまいます。しかも対象物のエッジがギザギザ。

 下に例として作成した静止ダイナミックフォトを貼ってみました。対象物はGR Digital IIです。背景画像は白い紙に照明を当てて画面一杯にし、露出補正を+2EVにして撮影した画像を準備。別途PC上で作成した全面白の画像をカメラにコピーしてみましたが、背景画像として利用できませんでした。

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ダイナミックフォトの静止キャラクターで撮影。背景は自動的にグレーになります。

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白バックと合成。対象物のサイズは自動的に1/4になってしまうので、ちょっと小さすぎ。エッジもギザギザ。

 静止キャラクターは背景画像に対して1/4のサイズになってしまうので、フレームサイズに対してかなり小さくなってしまいます。しかも切り抜かれた境界線もギザギザ。さらに静止キャラクター画像として撮影した際に影が残ってしまいます。これは、原理的に仕方ないのですが、これを改善しようとすれば、それなりの照明等の機材が必要になり、結局大がかりになってしまいそう。やはりダイナミックフォトがあるからと言って、静物撮りが簡単にできるというわけには行きません。

 ということで、今ひとつ利用用途が思い浮かばないダイナミックフォトですが、飲み会の席で酔っぱらい達を相手に、適当にその場でサンプルを撮影してデモンストレーションを見せたら、大変ウケました。予想していなかったくらい。ですので、図らずも作例はいくつか撮ってみたのですが、ここに貼ってしまうには忍びない、痛々しいものばかりなので省略します。仕上がったダイナミックフォトそのものに意味があるかどうかはさておき、「コミュニケーションのきっかけ」になるというのは本当かも。あーしたらどうとか、こうしたらどうとか、とても盛り上がりました。

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夜景の作例。手持ちで適当にとって見ました。暗いところでもAUTOのままでそこそこいけそうです。

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望遠端ではシーンを選べば背景は良くボケます。ちょっとこのシーンは厳しかったかもしれませんが。

○まとめ
 ということで、初めて使ってみたCASIOのカメラ。食わず嫌いな面があったのですが、慣れてくると意外なほどに馴染んできました。「撮影モード」みたいな旧来のカメラの感覚に捕らわれることなく、フルオート機としての操作系は非常に良く考えられていると思います。写りの面も含めて人にも安心してすすめられるカメラだと思います。それだけにマクロモードの扱いが残念でなりません。

 ダイナミックフォトですが、せめて動くキャラクタと背景画像のサイズ比がもう少し小さくなるか、可変出来るようになればもっと使いやすくなる(=思いついたイメージ通りに撮れる)のではないかと思います。加えて操作はやや煩雑。動くキャラクタの撮影から、背景画像との合成までを一気にやってしまえた方が分かりやすいのに。あと、出来れば動画への変換もカメラで出来れば良いのに、と思います。SDカードでそのまま渡すことって結構ありますので。

 最後に、セミナーで撮影したダイナミックフォトをもう一つ貼っておきます。でも、この機能に関する私の感想(=あまり欲しいとは思えない...)はやっぱり変わりませんが。