酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

スキー2009:安比高原(後編)

 前編からの続きです。安比高原への旅の2日目は20日の金曜日、春分の日で休日です。世の中3連休の人も多く、昨日までとは一転して混雑が予想されます。天気は朝のうちは昨日と同様にどんよりと曇っていましたが、日が高くなるにつれて雲がどんどん取れていきました。気温はぐんぐん上がるかと思いきや... 意外に昨日よりもちょっと寒いくらいかも。

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山の上からも綺麗に麓が見渡せます。

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スキー競技専用のキツツキコース。この日も旗門が立っていました。

---朝
 スキーに出かける前に、朝のことを少しばかり白状しておきますと、すんなりとすがすがしい目覚め!とはいきませんでした。目覚ましが鳴り始めても、あっという間にスヌーズされて誰一人起きようとはしません。そんな状態を延々繰り返し、どんよりした頭の中で、そろそろ9時を過ぎたんではないだろうか・・・、と思って、ようやく起き上がって時計を見てみれば、なんと時間はまだ朝7時過ぎ。早朝から滑る気満々だったのか、同行友人が目覚ましにセットした時間はなんと6時だったようです。実質上の睡眠時間はともかく、二度寝、三度寝を繰り返したおかげで目が覚めてしまい、奇跡的に7時台から活動開始となりました。

 ホテル内でバイキング形式の朝食を食べ、スキーの支度をし、その他の荷物をまとめてクロークに預け、チェックアウトしてゲレンデに降り立ったのは10時頃。追加料金を払ってレイトチェックアウトしようかと思ったのですが、翌日は満室と言うことで断られてしまいました。満室なら仕方ありません。

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西森ゲレンデの非圧雪コースから前森山方向の眺め。とても綺麗です。

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カッコウコースとカケスコース脇にある全長1.2kmのTバーリフト。

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いつどこでTバーに出会っても良いように練習です。うっかり落ちてしまっても慌ててはいけません。

---Tバーリフト
 ゲレンデに繰り出して、まずは昨日ほとんど滑れなかったセントラルゲレンデと西森ゲレンデ方面へ向かいました。ここには非圧雪コースがあったりスキー専用のコースがあったりして、色々な種類のバーンを楽しむことができます。そしてもう一つの目的がTバーリフト。去年偶然ここで出会って数年ぶりにTバーリフトに乗ってみたのですが、その経験は今年行ったウィスラーでも役に立ちました。ここ安比のTバーリフトの特徴はなんと言ってもその長さ。1,253mもの長さがあります。

 ということで、今年もとりあえず1回は体験しておかなくてはということで、わざわざTバーリフトに乗りに行きました。もう手慣れたもので、乗るときに思わず腰を落としてしまうこともありません。至って平和なTバーリフトの旅... だったのですが、ちょうど行程の中間点辺りで、私たちのだいぶ前の方に乗っていた子供が、バランスを崩したのかTバーリフトから落ちてしまいました。その子はかなり慌ててパニックになったらしく、泣き叫んでいてちょっとかわいそうな状況でした。ブーツも脱げてしまったりして。家族はどうしたんだろう?とか思いつつ、降りて助けてあげた方が良いのかも?と、迷ってるうちに通り過ぎてしまったのですが...。

 ちょっと心配になっていたのですが、Tバーリフト降り場のおじさんが気づいていて、すでに下に連絡済みで助けに行ってるので大丈夫だとのこと。ホッと一安心です。あの子がこれでスキー嫌いにならないことを祈ります。Tバーが嫌いになる程度なら良いのですが。

---かまくらジンギスカン
 さて、そんなこんなでセントラルエリアを一通り滑った後はもう昼食の時間です。この日の昼食はすでに前日に予約済み。昨年も行った安比高原牧場のかまくらランチです。スキー場のリゾートセンターからは無料の巡回バスが走っており、それに乗ると5分ほどでスキー場隣の安比高原牧場へ行けます。ブーツも履いたままでOK。昨年はここでチーズフォンデュを食べたのですが、今年は別のメニューにしてみようと言うことで、ジンギスカンにしました。

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ずらっと並んだかまくらは壊れかけ(A^^; 柱入りなので何とか持っています。

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ということで美しい色のジンギスカン!もちろん野菜付き。他にご飯とお味噌汁も付いてきます。

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こういう状況だと、この何でもない缶のスーパードライがものすごく美味い!

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野菜を下敷きにする間接法で上からタレをかけて焼きます。ジンギスカンに作法なし。

 かまくらは昨年と同様に複数がくっついた形で建っていましたが、やはり最近の暖かさのためか、かなり傷んでいる様子。雪だけを積み上げた本物だったらすでに崩れ落ちていそうです。が、ここのかまくらは安定して営業できるように、骨組みの基礎が入ったタイプ。なんとか体裁を保っています。でも中に入ってしまえば関係ありません。ヒンヤリした空間に柔らかい光が充満し何とも言えない雰囲気です。

 そんなかまくらの中で、スキーウェアに紙エプロンを掛けてジンギスカン開始です。シーズン最後だし、ウェアに匂いが付いても気にしない気にしない。いや、数シーズン前はウェアのまま焼肉やったくらいだし、問題ありません。しかしこのかまくらの中で食べる、ジンギスカンとビールの美味いこと美味いこと。ラム肉も特別なものではないでしょうし、ビールも至って普通の缶ビール。何でもないものを美味しく食べる方法はいくらでもあることを実感。雰囲気って大切です。そして逆もまた真なり。

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かまくらの横をポニーがゆっくりと通りすぎていきます。牧場なので色々な動物がいるようです。

---一気に電池切れ
 かまくらランチを堪能してスキー場に戻ってきました。午後4時過ぎのバスに乗らないといけないので、残された時間はあと1時間ちょっと。ゴンドラで再び山頂まで登り、昨日楽しんだセカンドゲレンデへ行ってみることに。この時間になると、この週末を連休で楽しむ人たちもやってきて、ゲレンデには多くの人々が繰り出してきて混雑してきました。と言ってもリフト待ちはほとんどありません。ゴンドラは少し混んでいましたがそれでも5分待ち程度。活気が出てきたのは良いことです。やっぱりスキー場はこうでなくては。

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いつのまにか快晴になりました。

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ゴンドラ乗り場には行列が!でも待ち時間はほんの5分ほどです。

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ザイラーゲレンデ一望。昨日はどんよりしていましたが今日は良い天気でくっきり見えます。

 山頂からセカンドゲレンデを滑り始めましたが、ここで突然重い疲労感がやってきました。人が増えたこと、日差しが強くなって雪が溶けてきたこともあって、なかなか思うように滑れません。残念ながらこの状態で4km近いコースを滑りまくるのは無理っぽい感じです。ゆっくりゆっくり滑りながらザイラークワッド乗り場の方へ進路変更。安全を考えて山頂に登ってからセントラル方面に戻ることにしました。

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セカンド側からは岩手山が綺麗に見えました。岩手山麓のスキー場は八幡平リゾートです。

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ホテル方面を目指します。これで今シーズンの締めくくり。

 ウィスラーほどではありませんが。ここ安比もかなり規模の大きなスキー場ということで、帰れるだけの体力を温存しておくことは重要です。セカンド側からセントラルへ向かうのは距離もあって意外に時間もかかり、体力も消耗します。綺麗に見渡せる岩手の景色を楽しみながら長い長いコースを少しずつ降りてきました。

 ベースまではもう少し。ナイター含め何本も滑った白樺コースは、もうグサグサな雪になっていましたが、今シーズンの締めくくりとして気合いを入れて滑りきりました。

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今シーズンもよく滑りました。また来シーズンよろしく。

---Super Spoort Allstar 今更インプレ
 このスキー板を買ってから今年で3シーズン目。もともと自分の実力よりもかなり上のクラスの板ということもあって、正直なところこれまではやや持て余し気味だったのでした。が、今シーズンになって何かをつかんだような気がします。

 これまでは全く対応できなかったような荒れた斜面や、急斜面、あるいは逆に速度のでない緩斜面。混雑していてスピードをこまめに調整しなくてはならない場面などは特に苦手でした。もちろんそれでも滑れるのですが、かなり疲れてしまいます。が、今シーズン、ふとしたきっかけから、これまで感じなかった板の反応が感じられるようになり、しかもそれを必要なときに引き出すコツをつかんだような気がします。

 そのおかげか、これまで私が最も不得意としていた小回りができるような気がしてきました(実際は中まわりかもしれませんが)。そしてまたそれを試すのが楽しくなってきました。うまくタイミングを合わせてきっかけを作ってやると、何もしなくても勝手に板が回り始めるのです。重さも感じられずライン取りも自由自在... な気がするだけで、実際には右に右に流れていきやすいのですが。たぶん左右のターンの癖が違っているのでしょう。

 また、荒れた斜面や非圧雪では、これまでは板が重たくて思うように回らない上に、跳ねたり刺さったり、ずれすぎたり、または逆に雪面に食い込んで抜けなくなったりして、非常に挙動が不安定だったのが、これまた上手く乗ってるとズバッと安定して、多少のギャップはものともせずに板が走り始めるのです。でも、ある程度ペースが乗ってきたところで、こちらの足が持たなくなるのですが。

 ということで、今更ながらなのですが、久しぶりにまたスキーが上達する感覚が感じられて楽しくなってきました。また来シーズンもこの板で行きたいと思います。今のところは・・・ですけど。 (A^^;
---東京へ
 午後3時過ぎにスキーを終了し、一風呂浴びたら荷物をまとめて宅急便に預け、後は帰途につくだけ。盛岡駅では新幹線まで1.5時間くらいの空き時間があったので、夕飯を食べておくことに。駅ビルの地下にあるレストラン街をうろうろし、適当にピンと来た"磯よし"に入ってみました。丼物などがメインのお店かと思えば、意外にお酒のメニューも豊富で美味しそうな一品料理もあります。飲み屋としてもなかなか良いかも。でもまだ先は長いし疲れもあるので、そんなに深酒はしません。ちょっと舐めただけで我慢がまん。

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盛岡の地ビール、ベアレンのシュバルツ。甘みがある飲みやすい黒ビールです。

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食事は三陸産の牡蠣を使ったカキフライ定食。

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秋田美人を一杯だけ。これは美味いです!


 ということで、今年の安比スキーも無事終了です。たった一泊だったはずなのに、色々ありすぎてもっと長い間いたような気がしてきます。できることなら、二泊、三泊してもっともっと楽しみたいところではあります。でも一泊でも十分に楽しめるてしまうのは、スノーリゾートとしてのレベルが高いからではないかと思います。是非また来年も行きたいと思います。できればハイシーズンに。

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岩手県へようこそ!他にも良いスキー場はいっぱいありそうです。

 今シーズンは滑走日数は少なかったですが、とても密度が濃くて充実したスキーを楽しむことができました。また来シーズンも楽しみにしています!
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 安比高原スキー場  岩手県八幡平市安比高原  5月上旬まで営業(一部コースは3月末まで)

---おまけの戯れ言:スノーリゾートの将来
 昨年来感じていた、日本のスノーリゾートの将来はどうなってしまうのか?みたいな漠然とした不安に対する答えは、今年シーズンになって何となく見つかり始めたような気がします。

 安比について言えば、運転が停止され、ほとんど廃棄されてしまったリフト(特に複線区間)や、セカンドゲレンデのベースにぽっかり広がった広大な空き地(たぶん大規模な開発計画があったと思われます)などを見るにつけ、バルブの面影とその後遺症の深さを見るようでもあります。

 しかし、昨今の国内スキー場の衰退は、単にバブルやその崩壊といった経済状況の隆盛による問題だけではなく、どこかでスノーリゾート開発のやり方と目的を間違い、その結果私たちスキーヤー自身がスキーの楽しみ方を見失ってしまった面もあるのだと思います(もしかしたら原因と結果は逆かも知れません)。

 リゾートとは非日常を体験しに行くところであり、それを求める人々がたくさん集まることで成り立つわけです。もちろんその楽しみ方は十人十色で千差万別。こうするべきと言った決まりはありません。極端な話スキーをしなくたって楽しめる場所であることが理想なわけです。

 安比にはその懐の深さがありそうですし、北海道始めレベルの高いスノーリゾートが日本にはまだまだたくさんあります。もちろん、大規模開発して森林を切り開き、巨大ホテルを建てることだけがリゾートのあり方ではありません。野沢温泉みたいなのも日本にしかできない温泉&スノーリゾートの一つの形だと思います。それこそ千差万別、なんでもありです。

 いずれにしても、「趣味はスキーです」と言えるようなリピーターの一人として、選民意識を持つのではなく、そう言ったことに当事者意識を持ち、気にしていけたらと思います。具体的に何かをすると言うところまではなかなかいきませんが。

 その点、シーズンに1回、あるいは数年に1回でもスキー場にやってくる家族旅行者たちは、とても重要で貴重なお客さんです。子供達がそこで非日常を体験し、楽しいスキー旅行をした思い出を持ち、そして大人になってまたスキー場にやってきてくれるなら、日本全国のスキー場やスキーリゾートの将来もそう暗くはありません。