酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

FUJIFILM FinePix F700

 最近カメラのネタをいくつか書いてみて思うところが出てきたので、手元に残っている古いカメラについても思い出を書いておきたいと思います。まず取り上げるのはFUJIFILMのFinePix F700。このカメラはほとんど衝動買いしたにもかかわらず、非常に気に入って私にしてはかなり長いこと使い続けていました。このカメラが発売されたのは2003年のこと。2月に発表がされ5月に発売とアナウンスされたものの、延期が繰り返され、結局市場に出回ったのは秋も深まってからでした。私が購入したのはほぼ発売と同時でした。発売が半年も遅れた原因はSRハニカムCCDにあったと言われています。

 SRハニカムCCDの詳細はこちらを見ていただくとして、要は特性の違う二つの画素をうまくミックスすることで、高感度とダイナミックレンジを追求したFUJIFILM独自の特殊構造のCCDです。F700はそのSRハニカムCCDが搭載された初めてのカメラでした。ちなみにその後、SRハニカムはF710などに引き継がれましたが、その後発展することなく消え去っています。しかしFUJIFILMは今でも高感度とダイナミックレンジを売りにしたカメラを開発しているところからすると、単にSRハニカムとは別の技術的アプローチをとっていると言うことなのでしょう。

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最近には珍しい横長ボディ。レンズは35mm相当からの3倍ズーム。

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1.8インチの小さなLCDに古さを感じます。光学ファインダーもついていました。


 F700の主な仕様をおさらいしておきますと(→詳細はこちら)、まずレンズは35~105mm相当の3倍ズームで明るさはF2.9~4.9。絞りはワイド端で10段階調整でF8.0まで絞れます。CCDは上に書いたとおりSRハニカムの1/1.7インチ620万画素(S素子+R素子)。RAW記録も可能です。感度はISO200~1600まで(ただしISO1600時は100万画素)液晶モニターは1.8インチの13.4万画素で光学ファインダー付き。露出モードはP/A/S/Mモードの他、4種類のシーンモードもあります。640x320/30fpsの動画記録も可能。横長の金属外装ボディは重量170g。記録メディアはxDピクチャカード(無印Typeのみ)です。

 6年も前のカメラとあって、色々なところに古さが感じられますが、画素数もそこそこあり現在でも普通に使えるスペックは備えています。コンパクトなボディで特に高級感もなく、操作もシンプルなカメラなのですが、実はそのスペックをよく見てみると、RAW記録が可能だったり、マニュアル含めた4種類の露出モードをサポートし、絞り機構もちゃんと作り込まれるなど、実はかなり通な仕様になってることが分かります。SRハニカムCCDも含めて、実は当時のFinePixのフラッグシップとも言えるような位置づけのカメラでした。

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最近撮ったのですが... なんかイマイチですね。黄色っぽいし雲がノイズっぽいです。こんなだったかな?

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6年前のカメラにしてISO800でここまで撮れました。暗部もつぶれてはいません。発色もFUJIらしく派手。

 このカメラ、なぜかJPEGの圧縮度の設定ができません。常にNORMALで記録されているようです。SRハニカムの特性を生かすためには本来はRAWで撮ると面白いカメラなのですが、私はまじめにRAWで撮ったことはありません。圧縮率の高いJPEGですがFUJIFILMらしい鮮やかな発色とSRハニカムによる階調の粘りみたいなものは十分に感じられます。

 そしてなんと言っても感度が高さが撮れる写真に与える影響は絶大です。最低感度はISO200。流行始めた頃のデジタル一眼レフ並みです。手ぶれ補正が一般的ではない時代でしたし、この高感度はブレ防止に非常に役立ちます。また暗い場所で自然光を生かしたままISO400やISO800が普通に使えたりもします。極小CCDで高解像度化をすすめ、感度が低いカメラが増えてきた中にあっては、とても珍しいカメラだったと思います。

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太陽が入った超逆光シーンでもこの通り。レンズも優秀です。ただしCCDに付着したゴミの影が写り込んでます。

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コントラスト感の優れた写真が撮れるカメラでした。スキー場のような雪景色にはぴったりです。

 一方で実は欠点が多いカメラでもありました。まずはAF。せっかく高感度CCDを搭載しているのに、AFは暗いところに非常に弱いという印象があります。しかもピントが合ったふりをするあたりはタチが悪いです。1.8インチの暗いLCDではフレーミングするのが精一杯で、ピントが見えるはずもなく、ちゃんと撮れたと思って後でPCでボケた写真を見てがっかり、ということが頻繁にありました。また、マクロ設定にしないまま対象物に近づきすぎても、極端でない限り合焦サインが出るのです。おかげでマクロに切り替えるべきところで、切り替え忘れてボケ写真を撮ってしまうことも数知れず。

 次に悩まされたのが、CCDに付着するゴミ。購入後2年ほど経過してからは、ボディのどこからかホコリが入り込み、CCDに付着して写真に影ができることがありました。一眼レフのように掃除どころかブロアを吹くことすらできません。一度はちょうどCCDの大量リコールの時期と重なって、CCDごと交換してもらったことでゴミ問題も解決したのですが、二回目にまた発生したときは、放っておいたらいつの間にかなくなっていました。運良くホコリが何かの弾みで移動したものと思われます。

 この辺はボディ構造の脆弱さに問題があるのではないかと思います。使い込んでいくうちにボディの継ぎ目の隙間が空いてきて、ミシミシしたりしていますし、電池蓋のストッパーの爪が折れてしまったり。格別手荒には扱ってないつもりなのですが。

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今見るとどぎついほどの鮮やかさです。この写真もゴミの影が映り込んでいます。

 そして終始悩まされた最大の問題は電池。専用電池はNP-40と言うもので、710mAhしかない携帯電話クラスの電池です(それでも最新のPENTAX Optio W60の電池よりは容量大きいですが)。カタログスペック上CIPA基準でもわずか110枚しか撮影できないことになっています。これでは実用上一日持たせるのがやっと。冷え込むスキー場では、ほとんど使っていないのに時折起動できなくなることもありました。

 当時は予備電池を1個買って何とかやりくりしていましたが、やはり最近の電池が長持ちするカメラと比べてしまうと、その不便さは如何ともしがたいものがあります。当初から使用していた2つの専用電池は、充放電を繰り返したこともあり最近ではかなり実容量が減ってしまい、10枚も撮ったらもう残量警告が出る、というほど極端な状態になっていました。

 最近はほとんど使わないし、高い純正電池を買い足すのは勿体ないけど、カメラ自体を不動にしてしまうのも忍びないと思い、非純正の激安互換電池を買ってみることにしました。互換電池を販売しているメーカーはいくつかありますが、有名どころでROWAジャパンに発注。純正品ではないので、何かあっても自己責任です(火を噴いたという事例は聞きませんが、妊娠したとかすぐに使えなくなったという事例はいくつもあるようです)。互換電池にもピンキリがあるのですが、一応三洋製のセルを使用した高級品(?)を選択。お値段は1,500円ほどです。ちなみに容量は純正よりも大きくなっていて750mAhあります。

 電池問題は実はもう一つあります。というのは時計や設定を保持しておくための内蔵バックアップ電池がダメになってしまうのです。この問題が発生すると電池交換時などに時計やその他全ての設定がリセットされてしまいます。内蔵電池はサービスセンターに持って行かないと交換できません。現在すでに内蔵電池はダメになっているのですが、実はこれで二回目の発症。一度目はやはりCCDリコール時に同時に交換してもらいました。どうやら、長期間使用しないで放置しておくと内蔵電池が放電しきってダメになってしまうようです。今のところ面倒なのでそのまま放ってあります。充電もACアダプタなので、電池交換したり、長期間放置して放電させてしまわない限り問題ありません。交換するとそれなりの費用がかかるでしょうし。

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左が純正の710mAh品。右はROWAのSANYOセル品で750mAh。

 ということで、電池も新しくしたことだし、時折引っ張り出して使ってみようかと思っています。しかも今更RAWに挑戦してみようかと。カメラ本体と同時に購入したxDピクチャーカードは256MB。RAW設定で撮影できる枚数はわずか19枚です。メモリーカードも最近は安いのでもっと大きいのを、と思っても、このカメラで使える無印なxDピクチャカードはもう手に入らないようです。まぁ、今更xDカード買っても仕方ないですしね。

 実はこのカメラの後継機になればと思い、買い換えのつもりで2台ほど別のカメラに手を出したことがあるのですが、結局それらには満足できずにF700に戻ってきたという過去があります。そのくらいこのカメラは気に入ってました。レンズのワイド端も35mmまでだし、AFも弱いし、電池も弱い。けど、SRハニカムが吐き出す当たり前のように自然な映像は、今でも十分に通用する特徴だと思います。F700の後継であるF710とともに、SRハニカム搭載機として、今でも一部の人々に人気があるのが分かる気がします。私のF700は全体的にだいぶ痛んでいて、いつまで持つか分かりませんが、なるべく大切にしたいと思います(A^^;