酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

Optio W60 1.5ヶ月インプレ

 昨年末に主にスキー場での撮影用にと思って購入したPentax Optio W60ですが、その後延べ5日間ほどスキー場で使ってみて、期待通りだったことも、そうでなかったことも、いろいろと分かってきたことがあるので、この辺で中間インプレッションをまとめておきたいと思います。

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ケースは純正のO-CC81(ブルー)、ストラップも純正で防水加工されたO-ST81です。


---画質、露出、感度などなど:△
 まずは画質関係ですが、このクラスのカメラとしては可もなく不可もなく、と言ったところかと思います。端的に言ってしまえば、晴天のスキー場のように光量が十分ある環境下では、とてもきれいに写ります。露出もピントも正確で周辺光量も十分。色乗りも悪くありません。やや無理をした感のある屈折光学系の5倍ズームですが、歪みや解像感などにも特に大きなペナルティは感じません。

 ただし、曇天になると露出が不足傾向になると同時に、コントラスト感のないまるで古くさいデジタルカメラのような絵になることも。さらに光量が不足してくると、手ぶれ補正がないこともあって高感度に設定せざるを得なくなり、ノイズがかなり増えて階調と輪郭が失われていきます。私自身は高感度のランダムノイズをそれほど気にしませんが、このカメラで撮ったISO400以上の写真を見てしまうとちょっと悲しい気持ちになります(A^^;;
 1/2.33インチの10MピクセルというCCDセンサーは、2007年中に発売されたコンパクトデジタルカメラでは主流ともいえるフォーマットだと思うのですが、他社の同スペックのカメラでは基本感度がISO64~80程度であるのに対し、このカメラはなぜかISO50。なぜ基本感度が低いのかはわかりません。でもそれが影響しているのか、とにかく高感度での撮影は苦手なようです。

 スキー場専用機と考えれば大きな問題ではありません。スキー場でも吹雪いて薄暗くなったりすることはありますが、それでもISO400じゃないと写らない、というほど暗くなることは滅多にありませんので。最近はナイターすることもありませんし。

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晴天では当たり前のように綺麗に写ります。ワイド端28mmで小さな光学系の割には周辺まで光量も均一。

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ISO800での作例。こういうシーンは苦手です。でも個人的にはノイズも含めそれっぽくて嫌いではありません。


---オートフォーカス:○
 オートフォーカスの機能は非常に多彩です。顔認識AFは初めて使ったのですが、どうも今ひとつな気がします。と言っても他のカメラと比べたことはないのですが。顔認識をONにしていると、全然関係ないものにも顔認識したり。普通そんなモノなんでしょうか。と言っても通常のAFモードで使えばいいので特に問題はないのですが。その他使ったことはないのですが、笑顔認識やターゲット追尾AFモードというのもあります。

 実用性はともかく、顔認識をON/OFFする専用のボタンがついているのはとても便利です。人物を撮るときだけONして、それ以外ではOFFする、といったことがワンタッチでできますので。これで不要な誤検出はかなり減らせます。顔認識OFF時の通常のマルチAFでは、画面内でコントラストが高い近距離の物体に合わせるという基本アルゴリズムは他と変わらないと思うのですが、その当たり具合はなぜだか非常によくできている気がします。マニュアルAFエリア選択モードが欲しくなることはほとんどありません。

 マクロボタンを押すことで、フォーカスモード切り替えに直接アクセスできることも、ニコンと同じで使いやすい点の一つです。マクロには通常マクロと1cmマクロの二つのモードがあります。通常マクロは10cmまでしか近寄れないのですが、AFが通常時同様に速く、しかもズーム全域で使えます。対して1cmマクロはワイド端のみでAFはかなり遅くなります。必要に応じて使い分けろと言うことのようですが、この辺はよく考えられていると思います。

 また特徴的なフォーカスモードとしてパンフォーカスモードというのがあります。ピント位置が中間に固定されるようですが、もちろん本当にパンフォーカスになるのは、ワイド側で光量が十分にあるときのみでしょう。そもそも絞りも2段階しかありませんし。実質上はすぐにシャッターが切れるスナップモードみたいなものかと思います。使い方次第では便利です。

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カナダのウィスラーにて。白銀の世界ですが、露出もピントも正確で、現地の雰囲気がよく出ています。

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望遠側もこれだけ光量があるところでは期待した以上に綺麗に写ります。

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青空が本当に綺麗に写るカメラだと思います。コントラスト比が高いシーンでも暗部も意外につぶれません。

---操作性、カスタマイズ性:○
 このカメラで一番気に入っているのは操作性。もともとペンタックスのコンパクト機の操作系は、オート専用機としては非常によくできているなぁと感じていました。シーンモード、動画モードも含めて、撮影モード切替はすべてMODEボタンからアクセスし、しかもメニューにはアイコンだけでなく、簡単な説明文も大きな字で表示され、反応も鈍くありません。そして同じように、MENUボタンからはカメラの機能設定や詳細撮影設定にアクセスでき、しかもその中身はかゆいところに手が届く、非常に優れものです。

 操作性で特に気に入った点としては、グリーンボタン(通常はフルオートへの一括リセットのためのボタン)をファンクションボタンとして使うことで、任意の4つの機能を割り当て、ショートカットボタン化することができます。ここに露出補正や感度設定など、とっさに操作したくなる可能性の高い機能を割り当てておくことができます。RICOHのカメラで言えば、ADJボタン、ニコンのカメラで言えばMYメニューに相当する機能です。こういったカスタマイズ可能なショートカットボタンは、オート専用といえども私的には必須の機能です。

 カスタマイズという点で優れているのは、感度AUTO設定時の上限値が決められること。標準ではISO400までとなっていますが、これをもっと低い感度に制限することもできますし、逆にもっと高い感度まで引っ張るように設定することもできます。私は多少ノイズが多くても、暗いところではフラッシュを使わずに高感度で撮りたい方なので、ISO800までは自動で調整されるように設定しています。その画質はかなり厳しいのですが、写らないよりはマシですので。

 このカメラ特有(あるいはペンタックス特有)と思われる優れた設定機能があります。それがモードメモリというもの。これは、電源OFF時にも保持するべき機能設定を細かく決めておく機能です。たとえばストロボモードや感度、測光モードなどは電源OFFしても保持しておきたいけど、マクロやズーム位置、露出補正などは保持せずに、次に電源入れたときには自動的にデフォルトに戻しておきたい、などなど。好みや使い方によって細かくカスタマイズできます。これはすごい機能だと思います。他社も是非まねして欲しい部分です。

---ホワイトバランス、ホールド性、液晶ファインダー:×
 さて、ダメなところですが... やっぱりこのカメラもホワイトバランスがいまいちです。いえ、晴天か曇天かに関わらず屋外の自然光下ではまったく問題ありませんが、電球などの照明下ではCOOLPIX P6000と同様に真っ黄色に振れてしまいます。ニコンといい、ペンタックスといい、老舗のカメラメーカーの作り込みが同じだというのがなんだか不思議です。

 もう一つは問題と言うよりは使いこなしに関わる部分です。初めてこのカメラをスキー場で使用したときに、同じ理由で多くの失敗カットを生み出してしまいました。というのも、自分の手が画面の端に写り込みやすいのです。電源を入れてもレンズが出っ張らないことはこのカメラの特徴であると同時に要注意点であることに気がつきました。ボディ前面と同じ位置(いや。むしろ少し引っ込んだ位置)に前玉があり、しかも28mm相当とわりと広角なレンズを積んでいる以上、そうなるのは当たり前なのですが、スキーのグローブをした手で、写り込まないようにホールドするのは意外に大変です。上下からつまむようにしても、余った指が前に飛び出して、結局写り込んでしまったり。最近は気をつけるようにしてるので、失敗は減ってきましたが、それでもなかなかゼロにはなりません。これは以前のカメラでは起きなかった種類の問題です。

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画面の端に強力な光源があると、スミアのようなものが出やすいです。まぁ、これはこれで雰囲気出ていていいと思いますけど。

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失敗の多くはこれ... 画面端に自分の手が写り込んでしまいます。ホールドにはかなり気を遣わなければいけません。


---HD動画などその他:○
 おまけ機能でありながら購入の大きな理由になったHDでの動画撮影機能ですが、おまけとしては必要十分です。動画撮影時は白茶けたコントラストの低い映像になり、やたらにスミアが発生するのですが、やはり解像度が高いというのはいいものです。15fpsという制限はむしろあまり気になりません。
 また、動画撮影時はズームも可能です。またAFもデフォルトでOFFなのですが、ズームするならAFはONにしておかないと意味がありません。望遠側はもともと被写界深度が浅くピントにシビアですし、それにこの手のズームレンズはズームとともにピント位置が動くようでもありますし。しかし、動画撮影中にAFをONすると、モーターの駆動音が記録されてしまう(しかもかなり盛大に)ところがちょっと残念です。

 動画モードへの切り替えは、MODEボタンからアクセスするのですが、これはスキー中にグローブをつけたままでの操作は困難です。ボタンが小さくて一カ所にかたまっているせいで、どのボタンを押しているのか分からなくなってしまいます。最近、慣れてきてグローブしたままでも何とか操作できるようになってきましたが。こういう点はダイヤルやスイッチ等で切り替えられると便利なのですが、防水にするためにはそうも行かないのでしょう。水中撮影できる必要はないので、防滴程度まで防水性を落としても良いので、もう少し操作系に余裕があればいいのですが。

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照明下でのホワイトバランスは不安定です。確かに白やグレーが画面内にない厳しい条件なのですが...。

---電池:○
 購入時にもっとも心配していた電池の持ちですが、思ったほど悪くありません。スキー場で動画撮影と再生確認も含めて、日中使い続けても十分に持ちます。さすがにアウターの外ポケットに入れておくと、本体ごとかなり冷え切ってしまい、残量警告が出ることがあります。そういう場合も一度内ポケットに入れて少し暖めてやるとすぐに復帰します。電池残量警告の1段階目はかなり早めに出るのですが、そこからもかなり粘ります。

 一応、予備電池を1個買って必ず持って行くようにしていますが、途中で交換が必要になったことはありません。本当に動かなくなるまでがんばれば二日間くらいは持ちそうです。

---結論:○
 さて結論ですが、まぁ、スキー用途としてはこれで十分かと思います。防水である必要性はやっぱり無いような気がしますが、むしろ小さくて薄くて軽い上に、レンズ鏡胴が飛び出ないというのは、ラフに扱いがちなスキー中の撮影にはぴったりです。その裏返しで指が写り込みやすいわけですが、これは慣れでカバーできますし。レンズキャップがないことも却って安心。レンズ前面の保護ガラスは気軽に拭けますし、そもそも意外に汚れません。

 ということで、このままこのカメラを常用できたら楽だろうな、と思い、マクロも使えるし操作性も良いので、普段使いにも流用しようかと思ったのですが、とにかく暗いところでの撮影が不得意すぎます。手ぶれ補正がないこともそうですが、感度が低くてノイズ多すぎ。さらにホワイトバランスも安定しないとなっては、スキー以外での常用はちょっと難しいです。購入目的は達しているので良いのですが、なんかちょっと残念な気がします。あとちょっとで私にとって完璧な常用カメラになりそうなのに。


 でも、このカメラの軽快さを体験してしまうと、Nikon COOLPIX P6000はいかにも大きすぎると言うことに気がつき始めました。いつでも気軽に持ち歩けて、暗いところでもしっかり写るカメラはないものか?とまた沸々といろいろ思い悩み始めています(A^^;